表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜の中の図書館  作者: 無名人
2/16

リアの日記


 退屈(たいくつ)しのぎで(はじ)めた日記(にっき)だったが、(おも)いの(ほか)(たの)しかった。リアは、(ほん)()んだ(そと)世界(せかい)想像(そうぞう)していた。

 この世界(せかい)にはリアが()(こと)()いものが沢山(たくさん)ある。(ほのお)()()がる(やま)(ゆき)(おお)われた草原(そうげん)というものもある。また、(いく)つもの(うみ)()えた(さき)には黄金(おうごん)(みやこ)という場所(ばしょ)があるらしい。リアはそれを自分(じぶん)他人(たにん)()いた文章(ぶんしょう)から想像(そうぞう)する(こと)しか出来(でき)ない。だが、それだけで毎日(まいにち)()ごす(こと)出来(でき)た。



 リアがいつも(あそ)んでいるのは二階(にかい)だ。(たい)してレオンが仕事(しごと)をしているのは一階(いっかい)図書館(としょかん)だ。そこにはリアの部屋(へや)以上(いじょう)(ほん)沢山(たくさん)ある。(ほん)大好(だいす)きなリアはそこにある(ほん)()みたいと(おも)っていたが、レオンは何故(なぜ)()めるのだ。

「お(にい)ちゃん、この(ほん)()んじゃだめなの?」

駄目(だめ)だ、ここにある(ほん)はとても()いものじゃないからな…。」

レオンはリアにそう()うだけで、(ほん)内容(ないよう)までは(おし)えてはくれなかった。それなのにレオンはこの(ほん)()んで(なに)やら(かんが)()んでいるようだった。一体(いったい)(なに)()いてあるのだろうか。


 レオンはリアに注意(ちゅうい)するのはそれだけではなかった。この図書館(としょかん)一階(いっかい)(ほか)地下室(ちかしつ)があるそうだ。そこには(けっ)して(はい)ってはならない。リアはそこに(はい)(ため)(とびら)一回(いっかい)だけ()(こと)があった。その(とびら)錠前(じょうまえ)()いのに(かぎ)厳重(げんじゅう)()けられてあった。一体(いったい)、この(とびら)()こうには(なに)があるのだろう。レオンは一切(いっさい)(おし)えてくれない。

「お(にい)ちゃん、やっぱり(へん)だよ…。」

リアはそう(つぶや)いた(あと)二階(にかい)(もど)った。



 それから、(ほん)(ひら)いて羽根(はね)ペンでこう()(はじ)めた。

『この図書館(としょかん)()てから、お(にい)ちゃんは(わたし)(なに)(かく)しているような()がします。この図書館(としょかん)色々(いろいろ)とおかしい(こと)沢山(たくさん)あります。図書館(としょかん)(ほん)(だれ)かに()まれる(ため)にあるはずなのに、(ほん)はお(にい)ちゃんにしか()めせん。図書館(としょかん)にやって()るお(きゃく)さんも()ません。それに、毎日(まいにち)食事(しょくじ)()るのに、キッチンはとても綺麗(きれい)使(つか)っている(かん)じがしません。お風呂(ふろ)もありますが、お(にい)ちゃんは(はい)っていません。それなのに、お(にい)ちゃんは(よご)れていません。この図書館(としょかん)にはおかしな(こと)がよく()きますが、(いま)(わたし)はここで(すご)すしかありません。(そと)()たらお(にい)ちゃんに(おこ)られてしまいます。いつかは(そと)()たい。でも、そんな()()るのでしょうか…。』

リアはそこまで日記(にっき)()()げた(あと)天井(てんじょう)見上(みあ)げた。リアの部屋(へや)一人(ひとり)()ごすには充分(じゅうぶん)(ほど)(ひろ)い。それなのに、リアは(せま)場所(ばしょ)()()まれているかのように窮屈(きゅうくつ)(かん)じていた。


 リアは毎日(まいにち)(ちい)さな(まど)から(そと)(なが)めていた。図書館(としょかん)(そと)魔物(まもの)()むといわれる(ふか)(もり)だ。(ひる)でも薄暗(うすぐら)く、時折(ときおり)(なに)かの(うめ)(ごえ)(さけ)(ごえ)()こえる。何故(なぜ)、このような不気味(ぶきみ)場所(ばしょ)図書館(としょかん)()てられたのだろうか。そして、自分達(じぶんたち)はそこで()らしているのか、リアには()からなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ