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005(終)

 女帝・芭浜玉(ば ひんぎょく)の名はリンドーコ帝国史を語る上で、かつては、大きく扱われたものである。

 多くの物語の主題となり、国営放送の連続時代劇でも複数回取り上げられ、尊敬する人物として挙げておけば安牌とされた時期もある。


 ダチョー王国に帝都を占領されながらも、副都を始めとした帝国の各都市を巡って兵力を纏め、奪還。

 唯一生き残った皇族として女帝の座に就いた、乱世の女傑。


 実際のところ、それらの評判は国内や周辺国家へ向けたプロパガンダに過ぎない。

 政治力も指導力もない箱入り娘をトップに据えて国家を運営するため、政府が流した情報が元になっている。


 研究が進むに連れ、その内実は明らかになった。

 浜玉が帝位に着いたのが偶然かつ消去法に過ぎなかったこと。

 単なる勢いで帝都に侵略してきたダチョー王国軍に占領地を継続して統治する能力がなかったこと。

 奪還作戦やその後の治世にも、浜玉帝がほぼほぼ関わっていなかったこと。


 今や国史の教科書でも年表に小さく記される程度、それが浜玉帝の刻んだ蹄跡だ。



 再婚後に生まれた息子に帝位を譲って上皇となった浜玉は、晩年、己の命を救った馬の子孫らと共に、穏やかな日々を過ごしたという。

 名馬ミロード号は、リンドーコ帝国のターフに輝く一大牝系の祖となった。

 多くの人々に夢を与えたミロード号の血統は、浜玉の名が忘れられた今も尚、深い感謝をもって愛されている。



≪了≫

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