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第2石「紅の巨人」


「オレから自己紹介しよう。歩きながらでな」


 オニキスは宝石蟲の出現を警戒しつつ、蟲巣船の内部を進んでゆく。サファは輝石刀を抜刀し、その刀身が放つ青い光で周囲を照らしながら歩き、ラルドは最後尾を怯えながらついて行く。


「オレはオニキス。《ルーインズ》っていうスカベンジャーのリーダーだ。さっきも見た通り、ワケあって鎧の中はカラッポでな。それについてはこの後、オレたちの陸上船で話す」

「ワケあっただけでカラッポになるんですか? わたしは……ブルー・フジオカ」


 そう答えたサファをオニキスは笑ってみせた。


「偽名を出せるのは賢いが、無理があったな。あの脱出艇は皇族のものじゃないか? それに、その光る剣……輝石刀だろ」


 看破され、再びサファの額に汗が浮かぶ。地球人が月の事情を知っているわけがない。中でも貴族達の、輝石刀に関する情報などトップシークレットのはずだ。その会話を聞いたラルドが歩きながらも二人の間に割って入った。


「あなたもスカベンジャーなら、皇族を捕らえて身代金でも要求するんじゃないですか?」

「オレたちはあくまでゴミ漁りだ。誘拐犯になるつもりはないさ……それに、月からやってくる貴族はごまんといる。たとえ皇女様でも、この星での人間は皆平等さ」

「月からやってくる貴族……? あの、赤い宝玉機と赤い輝石刀を持った男性を見たことはありませんか!?」


 食い気味なサファの質問を聞いたオニキスは歩を止める。

 そして庇うようにして間に立っているラルドの向こうにいる彼女の赤い瞳をじっと見つめ──オニキスに瞳は無いが──サファは視線を感じるほどの何かを彼から汲み取った。


「その前に。これで君の正体が割れたわけだが、改めて君自身の口から名前を確認させてほしい。フルネームでな」


 この男を信用したわけではない。だが、もしかすると彼は兄の手掛かりを持っているかもしれない。どうせ隠せないのならば、と彼女は真名を口に出す。


「……サファ・ツキノ。月面帝国皇帝、ジプサム・ツキノの娘です」


 その名を聞いたオニキスは、意味ありげに深くうなずいた。


「……ああ、確認した。で、少年は」

「ラルド・クジョウ。ただの学生です」

「なるほどな。ラルド、君は貴重な男手だからな、これからは頼んだぞ」

「それってどういう」


 いつの間にか一行は蟲巣船の最奥、大仰な扉に突き当たっていた。オニキスの目当てはこの中にあるらしい。


「君らを砂漠の真ん中に置いてったって、野垂れ死ぬだけだろ? だからルーインズで働いてもらうのさ。まずはこれを運ぶ仕事だな」


 上機嫌な様子のオニキスは壁にある奇妙な装置を斧で殴りつけると、扉がゆっくりと口を開き始めた。

 部屋の中には思わず目を細めるほどの、輝かしい銀色の山が鎮座していた。これらは全てセルジュエルの原石、セル原石である。スカベンジャーたちが宝物庫と呼ぶこのスペースは宝石蟲が蟲巣船を動かすためのセル原石の貯蔵庫であり、見ての通りの宝の山。


 意気揚々と部屋に踏み込もうとしたオニキスを宝の前で待ち受けていたのは、口髭とサングラスが特徴的な中年男性と、銃で武装したその部下たちであった。

 オニキスは彼らを見て一瞬固まった後、わざとらしく肩を落としたが、すぐに両手を広げて友好的アピールをしてみせた。


「やあウンモ! それに《バンガローズ》の諸君! ずいぶん早いご到着じゃないか!」

「そういう貴様はオニキスではないか。今更現れても遅いわ! 先月の都市区域の宝は持っていかれたが、今回はワシらの勝ちのようだな!」

「そうだな! じゃオレたち、宝貰わずに帰るから」

「貴様はここで終わりだがな!!」


 ウンモの部下が一斉に銃を向けた瞬間、サファがオニキスを押しのけて前に出る。

 引き金が引かれ、無数の弾丸が発射された瞬間、輝石刀を横向きに構えたサファは幾つもの青い残像と火花を出しながら目にも留まらない速さで全ての弾をはじいてみせた。


「ウンモでしたっけ? まさにわたしのイメージする通りの穢れたゴミ漁りです。ムカつきますね」

「《ジュエリスト》だと!? またそんな奴を味方につけたのか!?」


 ──ジュエリスト。コアジュエルの力を解放する、特別な資格を持った者の総称。太古から存在するとされるその能力の多くは、未だ謎に包まれている。


「さっき出会った。退くぞ!」

 

 オニキスが懐から出した煙玉を炸裂させてウンモ達を牽制しながら、二人を連れてもと来た道を走ってゆく。しかしこの状況の中で、ラルドは先程の集団の行為と、サファが見せた離れ業を気にせずにはいられなかった。


「あの人たち、容赦なく銃を向けてきた! しかも撃ってきた! ヤバいよ!! サファもサファだ、いつの間にあんな技術を!? そもそも、脱出艇の操縦だって普通の学生に出来るわけがなかったのに!」

「いちいちうるさい! 地球は野蛮で穢れた場所なんだから、これくらい想定済み。だから10年前に兄が消えた後、この環境で生き抜く為の訓練をしてた」

「……どんどんおれの知らないサファになっていくんだな……」


 ──いや、きっとおれが知ろうとしなかった。目を背けていただけなのかもしれない。

 三人が脱出艇の付近まで辿り着くと外から地響きが聞こえた。まずいな、とオニキスが呟いた後、二人を誘導しながら更に走る。やがて外へ繋がる大きな亀裂が見えたあたりでオニキスは通信機を取り出した。


「ヤツらの陸上船が近くまで来ている。メジス、今どこだ!?」

『もう目──鼻──先じゃ。先──ヘリオを行か──たぞい』

「ナイスだ! 外に出るぞ、二人とも!」


 ノイズがひどいが、僅かにメジスなる女性の声が聴き取れた。薄暗い蟲巣船を抜け、青空が広がる砂漠へ踏み出す三人。

 生まれて初めての地球にラルドは両手を広げひどく感激し、サファもその光景に驚いた。


「すごい! 空がどこまでも続いてる! それに、なんだか空気もおいしい気がする! うわーっ、うわーっ!」

「この空、ホログラムじゃない……本物……!?」

「申し訳ないが感動は後回しだ! 来たぞ!」


 暗い場所から出られた安心もつかの間、蟲巣船の陰から重い足音を立てて現れたのは、モスグリーンに塗装され、巨大な斧を持った一つ目の宝玉機だった。


『今日こそ終わりだ、ルーインズ!』


 スピーカーから響く声はウンモではなく、その部下のものだろう。

 そしてバンガローズ所属の宝玉機のベースはおそらく、クオーツ。地球にも流通しているとは、伊達に最も量産されている機種ではないなとサファは感心する。が、そんな場合ではない。


『砂漠のゴミになりやがれっ!』


 クオーツが斧を振り上げようとした瞬間──風を切るような音の後に、機体脚部の関節に金色の大きな剣が突き刺さった。

 飛び散る金属片とオイルを横目にサファとラルドは剣が飛来した方向へ振り向く。オニキスは立ったまま、笑っているような気がした。


『おまたせぇっ!』


 無邪気な声と共に猛スピードで砂漠をホバリングしながら向かってきたのは金色に輝く未知の機体。

 やがて脚部を損傷し怯んだクオーツに近付き、剣を引き抜くと同時に蹴り飛ばし、蟲巣船の外壁に叩きつけたその宝玉機は、《ナイト型》であった。

 太陽光が照り返す金色の装甲が眩しいそのボディには西洋甲冑のような意匠が散りばめられており、コクピットブロックが股間ではなく胸に位置している。その特徴からサファは目の前の宝玉機がナイト型であると見抜いたのだ。ナイト型を動かせるのは、資格を持ったジュエリストだけだ。そしてジュエリストは、月人にしかいないはず。

 故に──この黄金の機体のパイロットは同郷の者である、と気付いたサファは思わず声を投げかけていた。


「おまえは月人ですか!? わたしはサファ・ツキノです!! 兄をご存知ありませんか!?」

『なんて? 誰この子? ちょちょ、足元来ないでって、危ないから!』


 声の主は困惑しながら金色の宝玉機にしっしっ、と手を払う動作をさせる。オニキスは苦笑しながらも既に愛車であるバイク、《二輪種子島》に跨っており、二人を乗せる準備を済ませていた。


「ここはヘリオの、《アラゴナイト》に任せて大丈夫だ。オレたちの陸上船まで戻るぞ!」

「サファ、ここは言うこと聞いておこう!」


 ラルドはまだアラゴナイトに向かって何か言いたげなサファをなだめつつ、二輪種子島の後部に装着された、セル原石を乗せるための荷台に二人で乗り込んだ。

 分厚いホイールを回転させ、急発進した二輪種子島は砂煙を上げながら蟲巣船から離れてゆく。走行中、オニキスは前を見ながら荷台に声を掛ける。


「サファ、さっきは助かった。サンキューな」

「さっき……ああ、銃弾を弾いたことですか。あれはジュエリストならやれて当然の基礎技能です。言われるほどのことではありません」

「そうなのか? ヘリオには出来そうもないが」

「やっぱりさっきのパイロット、月人なんですね」

「まあな。それも含めて後で説明するさ。今は二人を陸上船に乗せてから、オレはあいつの援護に行く」


 話しているうちに進行方向から白いドーム状の物体が迫って来た。それも宝玉機よりは背が高く、しかもドーム状というよりは亀の甲羅の様に見えてきた。いや、本当に亀の形をしている。白い甲羅を背負って両足を前に突き出した巨大な亀だ。


「あれがルーインズの陸上船、《ハーフシェル》だ!」


 ハーフシェルの名が示す通り、その陸上船は前方部分だけが亀のようになっていて、後方部分はまるで作業用重機を乱雑に配置したような外観となっていた。船の下部には巨大なキャタピラが見えている。

 二輪種子島はハーフシェルとすれ違い、大きくUターンしてから後部にある、おそらく格納庫(ハンガーデッキ)と思われるシャッターが開いていたのでそこから船内へと入っていった。


 格納庫は宝玉機の為のものらしく、天井もほぼ10メートルきっちりなのであろうことがブルーシートに包まれて立っている一機が示していた。ひどく汚れていることからおそらくメンテもされずに放置されている機体なのであろう。

 にしてもこんな場所にキッチンやテーブル、ベッドまで隅に置いておくのはどんなセンスなんだとサファは顔をしかめる。そんな彼女に笑いかけるオニキス。


「初めてここに来た奴は、皆そんな顔をする」

「でしょうね」

「色々と話したい気持ちはあるがまずは目先の問題だな。ブリッジまで向かおう」


 ずんずんとオニキスの後をついて行くサファの傍らで、ラルドは未だに「今自分は何をしているんだ?」という気持ちが拭えないままではあるが、仕方なく二人に同行していく。狭い小汚い廊下は左右に幾つか扉があったものの一本道で、オニキスが突き当たりの扉のバルブを回してブリッジまで到着した。


 部屋を半周している見晴らしの良い窓から察するに、亀の頭部分と思われるその場所もせいぜい定員四人までが限界といった感じで、シートも二つしか確認できない。

 一番奥には立って舵輪を握っている桃色の髪の女性の後ろ姿と、シートの片方には黒い着物の上から白衣を羽織った、黒髪に紫のメッシュが入った、左目片方だけの眼鏡と……顔の左半分は火傷のような痕がある、不健康そうな目つきの小柄な女性がサファとラルドに視線を移した。


「……。まあ、とりあえずそこにおれ」

「メジス、オレはヘリオの援護に回る。二人を頼んだぞ」


 それだけ言い残し、足早にブリッジを去ったオニキスのおかげでこの女性がメジスだと把握した二人。サファが窓からハーフシェルの下を覗くと、再び二輪種子島に跨ったオニキスが蟲巣船の方へ猛スピードで砂煙を上げ離れて行った。メジスは義手の左手で頬杖をつきながら、遠くの蟲巣船の様子を見据える。


「今敵は一機だけじゃが、おそらく増援が来る。さっさと引き上げるべきかもの」


 そして蟲巣船の更に向こう、遥かな地平線にそびえて見える山のような移動物をメジスが右手で指差す。彼女曰く、あれはバンガローズの中型陸上船、《モルゲンロート》。あれでもハーフシェルよりも大きいが、彼らは更に超大型陸上船を所持しているらしい。


「要はバンガローズがこの辺りで一番強大なスカベンジャー集団だということじゃな」

「要は一番面倒なのに目を付けられたんですね」


 そういうことじゃ、とサファの返しに肩をすくめるメジス。

 この船も現場に近付きつつあったその時、ブリッジに通信が入った。最前線のアラゴナイト、ヘリオからだ。


『増援──三機! ちょっとキツい──しれない!』

「やはりな。オニキスを向かわせた。合流と共に引き上げる準備をせい」

『お宝は諦める──の!? あのワケわか──ない女の子がいなければ、間に合っ──かもしれないのに!』

「命令じゃ、撤収の準備。いいな」

『ボクが頑張ればいい話じゃないか! 倒して──るよ三機くらい!』

「ヘリオ!」


 メジスの命令を聞く様子が無いまま通信が切られる。明らかにまずい状況になった上に失礼な物言いをされたサファはメジスに問う。


「ムカつきましたね。先程デッキで見かけた機体を使わせていただいても?」

「何を考えておる、駄目じゃ。オニキスの許可も要る」

「その許可出す人が死ぬかもしれないんですよ? 宝玉機の操縦は頭に入っていますから、お構いなく」

「サファ、待って!」


 有無を言わさずブリッジから出ようとした彼女の行く手を塞いだのはラルドであった。


「冷静になってくれ! 彼らは多分ベテランだし、部外者のおれたちが口を挟むことじゃないよ!」

「ああ、もう……ッ勝手に付いてきておいて……わたしの邪魔ばかりしないでッ!!」


 迷いなくサファは握り拳でラルドの頬を殴りつけ、壁に叩きつけられ倒れた彼には目もくれず扉を蹴り開けて走り去る。

 そんな様子を見たメジスが困惑しながらラルドに声を掛けた。


「ど、どういう関係じゃ」

「幼馴染みですよ……!」


 口元の血をぬぐい、サファの後を追うラルド。メジスは一人でブリッジに残っている操舵手の背中に投げかけた。


「少し空ける! 西に見える岩山の陰にハーフシェルを停止させておいてくれい!」

「わかったけどすぐに戻ってぇ~!」


 操舵手の返事を聞いたメジスは左脚が義足であるため走れないながらも、早歩きでラルドの後を追った。


 ひと足先にデッキへ辿り着いたサファはブルーシートが掛けてある機体に近付き、勢いよくそれをひっぺがす。二人に止められる前に、即座に乗り込むつもりでいたが、全身が露になったその機体を見上げながらサファは立ち尽くしてしまった。


 見覚えがある。

 この赤い装甲の色味、くすんだり煤けてたりしているが、確実に自分は知っている。しかし「いや、そんなはずは」と思い直し、足元だけではなく機体全体が見える位置まで後ずさりしてみる。

 四肢の赤い装甲が殆ど損失し、内部フレームが剥き出しになってしまっているものの、胸に搭載された輝きを失ったコアジュエルと凛々しい顔つきが確認できた。もう、疑う余地も無い。

 この機体はサファの兄、ルベラ・ツキノの愛機。《ロードナイト》だ。


「どうして。なんで? これが?」


 追いついてきたラルドとメジスがサファの背中とロードナイトを確認する。振り向いたサファは声を震わせながらメジスに問いかけた。


「なんで、これがここにあるんですか。兄は……どうなって……? 兄は……兄は」


 うわごとのように繰り返しながら、膝から崩れ落ち項垂れるサファ。

 ボロボロの愛機。姿が見えない兄。もうこの事実そのものが、結果を物語っているのではないか? 地球まで降りて来た意味は何だったのか? 今にも折れそうな気持ちがサファの精神を蝕みはじめ、赤い瞳が光を失う。

 ラルドは駆け寄るべきか、そっとしておくべきかで動けずにいたところ、メジスがサファに歩み寄り隣に立った。そしてロードナイトを見上げながら告げる。


「こいつのパイロットは、生きておる」

「え」


 サファが顔を上げる。メジスは見上げたままで、表情は窺えない。


「オニキスの恩人でな、あいつが若い頃に命を救ってもらったそうじゃ。赤い輝石刀を握ったその男は名乗りもせずに、この機体だけを置いて姿を消したらしい」

「赤い輝石刀!?」


 サファは確かに覚えていた。幼少の頃に見た、赤い刀を振るい、勇敢に戦う兄の背中を。


「何を想ってこの機体を置いて行ったのか、どこへ消えたのか。その真意は不明じゃが、月から来たその男は心優しく偉大な人物であった……と、オニキスは話しておる」

「それは兄です……間違いなく兄です!!」


 サファの瞳に光が戻る。兄、ルベラは生きている。この星のどこかで生きているのだ、という可能性が生じると一瞬の不安はたちまち消え失せ、立ち上がる元気を取り戻した。

 そして輝石刀を抜刀し、ロードナイトへ向けたかと思えば胸の装甲が前方へスライドし、コクピットハッチがひとりで開いた。ハッチから垂れ下がった昇降機に足を引っかけ、上昇していくサファ。


「思い立ったら即行動! メジス、戻ったら改めてお話を聞かせていただきます。今はオニキスたちの援護へ向かいましょう」

「許可は出していないと言ってるじゃろ! それにメンテもろくにしていない機体じゃ、まともに動かんぞ!」

「わたしの輝石刀が認証されていますから、動きます!」


 首辺りまで上昇し、コクピットへ飛び込む前に改めてその頭部を眺める。

 真紅の装甲、鋭い目つき、閉じられた口腔部。間違いなくこの機体は自分が幼い頃に憧れたロードナイトそのものであるとサファは確信する。

 現在は損傷が激しく、各部の装甲が剥がれフレームが剥き出しになってしまっているが、辛うじて稼働できる程度には応急修理を受けているようだ。折れてしまっているV字アンテナを見ると心が痛むが、考えるのは後だ、とシートへ飛び込み、ハッチを閉じる。


 このナイト型と呼ばれる機種は宝玉機の一種であるが、圧倒的な性能を誇るこの機種は十九機しか存在しないと言われており、ジュエリストしか起動できない点が一般的な宝玉機との違いだ。

 コクピット全体が球状の全天周囲モニターであることは他と同じだが計器類は無く、右側の輝石刀セット用コンソールと左側の操縦桿だけであることからこちらの方が若干スペースに余裕がある。


「ほこりっぽい……戻ったらピッカピカにしておかないと、こんなんじゃ兄さんに返せない」


 シートベルトを締めながらぼやくサファ。見知らぬ土地へ来てから張りつめていた神経が、見知った光景であるロードナイトのコクピットへ入ったことで一瞬緩むも、今から操縦するのは自分で、兄の膝に乗せてもらっていた頃とは違う、と再び緊張感が高まる。


「実際にやるのは初めてだけれど、兄さんと同じようにすればいいだけ。やればできる、きっとできる……」


 自分に言い聞かせながら輝石刀の青い刀身をコンソールの穴へ勢いよく刺し込む。

 すると全天囲モニターが映し出され、ロードナイトのコアジュエルとツインアイが青く輝いた。無事に認証したようだ。

 そして右側の操縦桿は、差し込んだ輝石刀の柄をそのまま握る形となる。


「ロードナイト、人機一体!!」


 サファが叫ぶと、ピリピリとした痛みと共に両手の指先から青い宝石の薄い膜が伸びてきた。両頬にまで青い宝石の膜が伸びると、自分とロードナイトの視界がリンクし、デッキのシャッターがすぐ目の前に感じられた。まるで自分が巨大化したかのような不思議な感覚だ。

 左側に操縦桿が付いてこそいるものの、ジュエリストと人機一体したナイト型は、ほぼ思考と直感だけでアクションが可能である。これがマニュアル操作を行う通常の宝玉機との大きな違いだ。

 顔を下に向けると、足元にはメジスとラルドがいた。


「観念してシャッターを開けなさい! 破壊されたくなければ!」


 こうなっては仕方ない、とメジスは壁のボタンを押すとシャッターがゆっくりを開きはじめ、砂がデッキまで入ってきた。外の様子は、流れている砂漠の景色が徐々に減速し、停止したところであった。先程メジスが言った通り、一旦岩山の陰でハーフシェルが停止したのであろう。「サファ、絶対に無理はしないでくれ!」というラルドの声は聞こえないふりをしながら、ロードナイトを一歩ずつ前進させる。

 輝石刀の柄を握っている、青い膜に包まれた右手を見て先程ラルドを殴り飛ばしたことをふと思い出す。しかし今はそちらに意識を割いている暇はない、と思い直す。


「嫌いなわけじゃない。10年間、ずっと近くで見ていてくれたのも分かってる。でも、今は自分のことだけで精一杯なんだ……」


 コクピットで、誰にも聞こえないようにつぶやくサファ。

 直後、邪念を振り払うように両手で二度、自分の頬を叩く。正面を見据え、遂にロードナイトは砂の大地へと一歩を踏み出した。











 遠方から放たれたキャノンの弾を受け止めたアラゴナイトの剣がはじき飛ばされる。

 衝撃で体勢を崩し、砂に足を取られ仰向けに転倒したアラゴナイトに追撃せんと斧を振り下ろすクオーツ。咄嗟に左手に持っていたもうひと振りの剣で受け止めたものの、この状況で先程の砲撃支援型派生機──《クオーツキャノン》に狙い撃ちされてしまってはマズい。


「させるかァ!」


 二輪種子島に乗ったオニキスがバイクの先に付いた銃口をクオーツキャノンへ向け、射撃する。手前に着弾し、砂柱を上げてキャノンの視界を阻害しアラゴナイトの窮地を救う。

 その隙にアラゴナイトは剣が落ちている方向へ右手を広げ、手首を射出する。鋭い爪で剣の柄を掴んだ右手首はワイヤーで巻き戻され、右腕へと戻ると同時に両手の剣のパワーでクオーツの斧を押し退け、立ち上がった。


『ワイヤーハンドくらいボクにも使えるっての!』

「ヘリオ、ここは不利だ! こっちに来い!」


 砂漠の丘の上で二輪種子島のオニキスが手招きし、アラゴナイトは腰のホバリングスラスターを使い滑空しながらそちらへ移動する。

 丘の向こうには、巨大なガラス張りの屋根を持った建造物が砂に埋もれることなく、そのままの姿で現存していた。

 他の建物が砂に埋もれている中で原形を保っているそれはおそらく、ショッピングモールと呼ばれていた施設の成れの果てだ。逃げ込むには絶好のスポットだと言わんばかりにガラス張りのアーケードへ続く道が口を開いている。


『丘が死角になって見えなかったんだ……!』

「あの建造物だ、逃げ込むぞ!」


 オニキスの二輪種子島を追ってアラゴナイトはホバリングし、二機はアーケードの中へと消えて行った。

 この地球における戦闘ではレーダーはほぼアテにならない。粒子化し砂に混じったセル原石が発する磁場が計器類に影響を与えるからだ。備え付けのレーダーに宝石蟲や宝玉機のジュエルが反応するのはせいぜい至近距離に寄られた時だけである。つまり敵に身を隠された場合、目視で探し出す必要がある。


 二輪種子島とアラゴナイトがモール内へ逃げ込む姿を遠方から視認する、斧を持ったクオーツ。少し遅れて先程アラゴナイトを砲撃した、右肩に大砲を装備したクオーツキャノンとハンマーを手に持ったウンモのクオーツが丘の上に並び立った。


『ヤツらめ、いい場所を見つけたな。三人で固まって行動するぞ。この廃墟をルーインズの墓石にしてやれ!』

『『合点!』』


 三機が砂煙を上げながら丘を滑り降りてモール内へ消えた後、丘の陰からひょっこりとサファのロードナイトが顔を出した。

 このままでは二人が危ないが、今のロードナイトは丸腰だ。その上殆ど装甲が付いていない。四肢に攻撃を貰おうものなら一撃でフレームがへし折れ、瞬く間に戦闘不能となってしまうだろう。工夫が無ければ、敵は倒せない。ホバリング機能すら失っているロードナイトはモールの入り口まで走って近付き、立ち止まる。コクピット内のサファが顔を上げると、ロードナイトも空を仰いだ。


「流石にワイヤーハンドは使えてよ、兄さん」


 ロードナイトはガラスになっていない方の屋根へ向けて両手を突き出すと両手首が勢いよく射出され、十本の爪が屋根のフチに食い込む。ワイヤーの巻き上げが始まると一瞬宙に浮いたロードナイトは壁に向かって両足を着き、巻き上げの勢いを利用して壁を駆け上がり見事建物の上へ、屋根をへこませながら着地すると共に両手首を両腕に戻した。

 このワイヤーハンドはナイト型含む全宝玉機の標準装備。本来は大型宝石蟲へ組み付くための装備だが、地球では宝玉機同士の戦闘に利用する者も少なくはない。


「二人を探さないと」


 ロードナイトはガラスを踏まないよう、慎重に屋上を進んで行った。




 モール内は大きな吹き抜けになっており、三階建てで構成されているようであった。かつては人々が買い物を楽しんだであろうショップの多くはシャッターで閉じられ、店の名前も潰れてしまって確認できない。ところどころ割れた天井から光が差し込んではいるものの全体は薄暗く、水が枯れ果てた噴水台の中央に立つ女神像が虚しく天へ手を伸ばしている。


 金髪の少年、ヘリオは柱の物陰に膝立ちで身を潜めているアラゴナイトのコクピット内で思案していた。

 咄嗟に建物へ逃げ込めたとはいえ、宝玉機三機に対してこちらは一機と車両が一台。不利な状況には変わりない。地の利を活かした不意打ちで一機でも減らせれば……と考えを巡らせていると、外の様子の確認に場を離れていたオニキスが走ってアラゴナイトの足元まで戻ってくる。


「オレは二階まで上がってヤツらを引き付ける。その隙に後ろから一撃で一機仕留めるんだ。できるか?」

「ボクも同じようなこと考えてた。やってみせるよ」

「頼んだぞヘリオ。お前だけが頼りだ」


 そう言い残し、再び二輪種子島に跨ったオニキスは停止したエスカレーターを強引に走り上がっていった。彼の言葉に気分が高揚したヘリオは尚更失敗できないと覚悟を決める。不意打ちのターゲットは唯一飛び道具を持つクオーツキャノンだ。


 二輪種子島が吹き抜けに沿うように供えられた二階の通路を突き進み、モール内へ進入したウンモたちの視界に入る。するとウンモのクオーツを先頭にクオーツキャノンが後に続き、物陰のアラゴナイトはその背中を捉えた。二機が二階を見ながら走り出そうとした瞬間を狙い、柱から飛び出すアラゴナイト。狙うはキャノンの背中だが、あることに気付いたヘリオは背筋が凍る。


「一機足りない」


 斬りかかろうとしたヘリオの視界が揺れる。アラゴナイトの背中が壁に叩きつけられ、ツインアイの黄色い光が点滅した。打ち付けられた頭の痛みを堪えながらヘリオが顔を上げると、斧を持ったクオーツが眼前に立っていた。先程姿が見えなかった三機目だ。

「ヘリオ!!」とオニキスが叫ぶ声が聞こえ、二輪種子島が引き返そうとするもキャノンの砲撃により通路の一部が崩壊し、回り道を余儀なくされる。その間にもアラゴナイトに迫ったクオーツが斧を振り上げていた。


『"この不利を覆すにはまずキャノンを狙うはず"とウンモ様が予想されておったわ! ナイト型は高く売れるからな……コクピットだけを潰す!』


 自分の無警戒で陥った絶望的な状況を前に、声すら出せないヘリオはただ目の前の敵機から視線が外せなかった。

 ──ボクはこんなところで死ぬのか。せっかく地球まで降りてきたのに。あの子に何も出来ないまま。


「コハク……」


 思わずそう呟いた瞬間。

 ヘリオが見上げたクオーツの、更に後ろのガラス張りの天井に、何かの影が映った。


 上方向から大きな、ガラスが割れる音。

 眩い陽光が差し込み、キラキラと輝きながら舞い落ちる破片と共に、大の字で落下する紅い機体。

 それに気付いたクオーツが後ずさりし回避を試みるが既に遅く、落下してきたロードナイトに組み付かれ、クオーツの背後にあった噴水台の女神像を粉砕しながら押し倒される形で四肢を押さえつけられ、身動きが取れなくなった。


『新手だと!? こいつもナイト型か!』

「流石にマシンパワーはこちらに分がありますね。それでは、"いただきます"」

『何を!?』


 コクピット内のサファが大きく口を開くと、ロードナイトの口腔部も火花を散らせながら縦に開かれ──クオーツの胸部に搭載された球体、セルジュエルに噛み付いた。ロードナイトの牙でがっちりとセルジュエルを固定すると、そのまま力任せにクオーツからセルジュエルを電源ケーブルごと引き千切り、アラゴナイトの足元に吐き捨てる。

 冷却、及び整備性向上の為剥き出しに搭載されたジュエルは、宝玉機最大の弱点である。仮想敵が知性を持たない宝石蟲であるからこそ問題視されなかったものの、地球での宝玉機同士の戦闘においてはその限りではない。

 クオーツの一つ目が光を失い、全機能を停止すると強制的に股間のコクピットのハッチが吹き飛び、慌てて脱出したパイロットはウンモの機体の方まで駆けて行った。もう動かないその右手から斧を奪い取り、噴水台の上に倒れたクオーツを踏みつけるようにして立ち上がったロードナイトは斧を肩に担ぎ、左腕を垂らしたまま両足を広げたポーズで、ウンモのクオーツを睨みつけた。


「さあ、形勢逆転ですよ。命が惜しいのであれば逃走をオススメします」


 啖呵を切ってみせるサファのロードナイトの背中を見つめながら、アラゴナイトのヘリオは冷や汗を流していた。


「あの声、さっきの女の子? スクラップ同然の機体と、人機一体して……本当に、何なの……?」


 同じくロードナイトに乗っているのがサファだと気付いたオニキスは、二階で二輪種子島に跨りながらその機体を眺めている。


「……やはりその機体に乗れるんだな、サファ・ツキノ……」


 大きく割れたガラスの天井の向こう側には青空と、更に遠くには天高く伸びるタケノハシラと、その上にはぼんやりと月が浮かんでいた。











 ツキノミヤコでは皇女サファ・ツキノ誘拐事件に関する取材陣が皇城の門に殺到していた。

 皇女殿下を誘拐した犯人は帝国軍士官であるアンダル・イズミ。殿下を連れて地球への脱出を図ったアンダルはオービタルリング付近で皇帝直属の精鋭部隊と交戦の後、聖戦の戦火に紛れて行方をくらませ、依然として逃亡中である。殿下が乗せられた脱出艇は地球へと落下したようで、帝国軍は早急に殿下を保護するべく捜索隊を地球へ降下させる準備を進めているとのこと。

 なお、脱出艇にはケトリ高校の男子生徒、ラルド・クジョウも人質として共に乗せられていたという。彼の両親、クジョウ夫妻は涙ながらに息子の無事を祈る声を上げている。


「……とんでもない濡れ衣だな」


 アンダルが居るのは月から少し離れた宙域に位置する資源衛星、《マヨヒガ》。

 皇都に住めなかった者、地球から逃げてきた者、ふたつの星を行き来する旅人やならず者どもが集まる無法地帯、故に最も自由な場所である。外部こそただの岩の塊であるが、内部に広がる街並みは、白いビルが立ち並ぶ皇都とは対照的に背の低い、小汚いトタンの屋根が工業地帯の合間に幾つも点在するというものであった。

 その一角にあるレトロな雰囲気を醸し出す小さなバーのカウンター席でハチミツジュースを飲みながら、汚いローブのフードを深く被ったアンダルはテレビ中継のレポーターの声を聞いていた。カウンターに店主の姿はなく、客も自分以外にはおらず、それほど広さもない。

 待ち合わせの時間にはそろそろだが、と腕時計を確認した時、ふいに店の入り口に設置されたドアベルが乾いた音を立てた。


「ちょりぃーっす、おじサマ」


 入店してきた少女がアンダルに声をかける。あずき色のぱっちりした瞳に長い黒髪には青と白のメッシュ、セーラー服に紺色のハイソックスを穿き派手なストラップが大量にぶら下がった学生鞄を肩に掛けた少女が手を振りながらアンダルに近付き、隣に座った。

 そんな彼女の姿を見たアンダルは少し呆れる。


「その格好で会うのは誤解を招くからやめなさいと言ったはずだがな」

「えー、いーじゃん。この街でおじサマと会う時に一番溶け込めるスタイルはコレなんだからさ」


 流石、"七変化のガネット"と呼ばれるだけあるプロ意識だな、とアンダルはこの情報屋の少女、ガネット・ヤクモに感心する。それからはテレビに顔を向けたまま、声のトーンを最小まで落としながらガネットが切り出した。


「……昼間のアレ、見事に逆利用されちゃったね。サファにゃんの計画が筒抜けだったってコトでしょ」

「我ながら迂闊だった。そればかりか、地球を目前にして私は殿下を……」

「それについては、オービタルリングにいるパリピに聞いてみたよ。帝国は地球の電波に、"皇女殿下へ懸賞金をかける"って旨の放送を流す準備をしているらしい」

「懸賞金だと? あの星のゴミ漁り共に対してか?」


 つまりそれは地球でサファが生きているという裏付けになったことにアンダルは一旦安堵するが、懸賞金というワードは聞き捨てならなかった。


「そ、つまりお尋ね者。連れ戻すんじゃなくて、始末してほしいってこと。まーじ卍」

「ニュースで言っていることとまるで逆ではないか。やはりあのルヴィエルという男は陛下の命令で殿下を……!」


 陛下は一体何がしたいのだ、と怒りに震えるアンダルの隣でガネットは彼のハチミツジュースのグラスを手に取り、一口啜ってから鞄から取り出した液晶型情報端末に目をやった。


「で、おじサマはどうすんの。お尋ね者のままサファにゃんを探しに行くのは難しいと思うけど、それでも行く?」

「殿下の身に危険が迫っている以上、じっとしているわけにもいくまい。やはり帝国は何かを隠したがっているようだ」

「ま、そう言うよね。でも」


 "非常事態につき衛星軌道上に大部隊展開 聖戦後、間髪入れずの出撃"という写真付きの記事が表示された端末の画面をアンダルに見せながらガネットが言う。


「強行突破は無理。確実に乙る」

「むむむ」

「とりあえず今は自分の安全を確保した方がいいと思う、あたしが道案内するからさ。心配なのはわかるけど、こういう時ほど遠回りが近道だったりするんだよ」


 やけに冷静で的確なガネットの口ぶりにアンダルは疑問を覚えた。まるで彼女も自分と同行するかのようではないか、と。


「君からは情報を買うだけで今後は巻き込むつもりなどなかったのだが、まさか同行するつもりなのか?」

「ま、いちおー長い付き合いだしね。それにあたしはリターンが望めない賭けはしない主義だけど……今回に関しては帝国の目的を暴いてやったら、何かイイことがありそうな予感がした」


 にかっ、と笑ってみせるガネット。親と子ほども年が離れたこの少女を危険な目に遭わせたくはないが、彼女も危険な仕事を幾つもこなしてきているプロだ。頼れる相手が少ない今、ガネットと行動することがサファを救うためのベストな切り口となるだろう。


「すまない、ガネット。少しだけ力を借りよう」

「楽しみにも頼りにもしてるゾ、おじサマ☆」


 地球へ降りたサファ達とは別に、宇宙では奇妙な二人組が帝国の謎を暴くべく行動を開始するのであった。


【ロードナイト】

ナイト型と呼ばれる少数生産の高性能宝玉機のひとつ。

動力にはセルジュエルではなくコアジュエルが使用されており、資格を持ったジュエリストでなければ起動させることができず、基本的に月の貴族にのみ与えられる機種である。

現在のロードナイトは経年劣化によって損傷が激しく、装甲の殆どが失われ内部フレームが剥き出しになってしまっており、本来の性能を引き出すことが出来ない状態。

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