砂漠をふたり 3
1週間前の、あの時のことを思い返す。
地球とは明らかに違うと理解る未知の生物だらけの環境に、世界に、惑星に、いきなりたった1人でぽつんといて、誰もいなくて。
突然の状況に不安になったあの時。
服装もド○クエみたいな旅人風な格好だし、剣を下げてるし、サラリと流れ、目に入った長い青銀の髪を思わず掴み、自分の髪だと愕然とし、視界の高さも違うし、手の形も爪の形も、皮膚のすべらかな感触も、あったはずのホクロがなく、二の腕も筋肉質で、でもきめ細やかな肌質だし、なにより、胸がないし、確認した下半身は旦那や息子よりもご立派なジュニアだしで、頭から湯気でそうだと思った。
よく読んでたラノベの異世界転生、転移ものを思い出して、まさか!?と思いつつ、アラフォーな私ことおばさんは一か八かで恥ずかしながら!「ステータス オープン」と口にしたら、目の前の空中に現れた透明なプレートに愕然。
それに書かれた情報やリアルなウィ○アム・フ○ンクリン・ミラーに激似のアバターで、自分が既に脳硬塞で倒れ、死亡した同時刻、接する空間で偶然、この別の世界を創造し管理している神とも言われる存在、超生命体の力の片鱗の影響で、私の魂が異空間にできたブラックホールのような性質の裂け目に引っ張られてきたのだとか。
説明文に書いてあった。
そのまま魂を消滅させるとか、この世界の輪廻に組み込ませようかとか思考したらしいが、私の魂に触れた際の記憶や感情に興味をもち、結局眷属として自分とリンクしたままにしたとか説明文にあった。
(超生命体・・・案外私という存在が面白くなったのか?)
私の記憶を読み、四十代のおばさんである私が、カッコいい男になりたかったとか、無意識下の願望を読み、チートな15歳の若い男の肉体を構築し、魂を入れ、反則的な能力まで与えてくれたと知った。
(うん、グッジョブ!ありがとー!神様~!女より男が生きやすいよね!
でもこの世界の常識、全く知らないんだけどー!リンク繋がってんなら直接説明とかさ~?
ガイドとかナビとか付けてくれても!)
結局。
新しい体に馴れるまで、四苦八苦し、結果、1人じゃ心細かったから、相棒を創った。創れた。
それが、ガルムだ。