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Double Lotus  作者: 橘塞人
Chapter5:トラベル・パスBランク試験
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Connect12:マリフェリアスの悪い予感と予選の終わり

 首都アレクサンドリアのどこかの喫茶店、アイスティーの中の氷が揺れる。マリフェリアスは何も目に入らないような様子で、ただ外の景色を眺めていた。その顔はカオスと接していた時と比べて、非常に真剣なものであるように見えた。


「心配ですか? 二人が」


 リニアはそう解釈してマリフェリアスに訊ねた。口ではああ言っておきながら、本当はカオス達が心配でしょうがないのだろう。そのように思えたのだ。

 だが、勿論マリフェリアスは否定する。


「心配? まさか。負けたら、結局はその程度の力しかなかったってことよ。心配なんてもの、この私がするわけないわ。寧ろ、何でそんなこと訊くのよ?」

「いえ、何かそのような顔をしていらっしゃったので」


 そう言うリニアに、ミリィとメルティが代わりに答える。


「マリフェリアス様、素直じゃないから」

「ねー♪」

「うるさい。黙れ」


 マリフェリアスはこれ以上何か言われると嫌なので、二人を制止させる。

 そう、本当にそうではないのだ。実際、こんな試験の結果なんてどうでもいいと思っている。命のかかっていない試合の連続でしかないのだから、試験そのものに危険は無い。憂慮すべきなのはカオスの魔法をアーサーが危険視するかどうかなのだが、予選で負けるような実力しかカオスが持っていないのだとしたら、どんな属性の魔法だとしても、それをアーサーが知ることはない。予選を突破したのならば、次の試合からは公に公表される。そうしてしまえば、カオスは大衆を味方につけられる。強大な力を人々の平和の為に行使しようとしているのに、それが危険かもしれないという理由でカオスを抹殺するのは、国益上非常に宜しくないと、誰でも分かる筈だ。

 要するにこの試験がどんな結果に終わろうとも、出場しただけで心配は消えたと言っても過言ではない。マリフェリアスはそう考えてはいた。


「ただ」


 それでも心配は尽きない。


「な~んか起こる気がするのよねぇ」


 そんなカオス関連とは別方向で。

 魔女としての勘なのか、マリフェリアスはそんな気がしてならなかった。そして、それも杞憂であって欲しいと願っていたのだった。



◆◇◆◇◆



 その頃Aブロックでは、予選の決勝戦が終わっていた。1分が過ぎ、両者共にリングの上に立っている。判定だ。

 審判は、判定を下す。


「判定、勝者16番! 16番、本戦出場決定!」

「よっしゃああああああああっ!」


 勝者となったアレックスは、拳を強く握り締め、それを高々と掲げながら大声でその喜びを表す。頭のてっぺんから足の先まで、身体の全てでその喜びを力一杯表現しているかのようだった。


「「「…………」」」


 その様をカオス達は冷ややかな目で見ていた。


「何か、もう合格したような騒ぎだな、アレックスは」

「アレ見ちゃうと、こっちは冷めてきちゃうよね~」


 カオスとルナは、そのように言い合う。

 予選突破というのは、ただ第一関門を通過しただけに過ぎない。ただの通過点であって、ゴールではない。通過したところでどうということではない上、そのように有頂天になられてはさらに元々薄かった喜びはさらに薄く感じるようになるものだ。

 カオス、ルナ、そしてリスティアはそのように思っていた。もう白けてしまったが。

 そんな思いとはお構いなしに、最後のAブロックの覇者が決まり、予選通過者全員が出揃った。そのことから、Aブロックの審判は次の予定を発表する。


「え~、これでAからPまで16ブロック全ての代表が決定しましたね。それでは、これから明日以降の本戦の組み合わせの抽選を行いますので、各ブロックの代表となった方はこちらにいらっしゃって下さい」


 そう言って、審判は本戦の組み合わせ抽選の準備を行っている別の場所に、カオス達予選通過者16人を案内する。その予選通過者の16人は、以下の通りである。



A:アレックス・バーント

B:クロード・ユンハース

C:カオス・ハーティリー

D:リスティア・フォースリーゼ

E:ガイル

F:オーディン・サスグェール

G:ルナ・カーマイン

H:ジェイク・D

I:ベス

J:Dr.ラークレイ

K:ケヴィン・アノス

L:クライド

M:アッシュ

N:デオドラント・マスク

O:ナイヤ・ソヴィンスカヤ

P:コルラ・モルコーネ



 尚、Oブロックの860番となっていたドグマ・ブランコッテは当然の如く予選の1回戦で1発KO負けとなったのだが、最早リニアも含めて覚えている者はいなかった。


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