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Double Lotus  作者: 橘塞人
Chapter3:地上最強の魔女
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Connect08:金髪ロリと銀色仮面と父の誕生日-魔族サイド-

 魔王アビスの居城は静寂に包まれていた。普段からそう五月蝿くはならない場所ではあるのだが、一部では例外がある。そんな例外の部屋でさえも、この日はとても静かであった。部屋のあちらこちらがレースで飾り付けられ、家具には可愛らしいシールが貼られ、たくさんの可愛らしいぬいぐるみが置かれている、魔族のものとは思えぬその部屋の持ち主、フローリィがおとなしかったのだ。

 フローリィはその日、珍しく静かに本のページをめくっていた。そこに、たまたま近くを通りかかった銀の仮面をつけているロージアが少し立ち寄り、フローリィに話しかける。


「何を読んでいるの?」

「ああ、ロージア。これ?」


 フローリィはその本の背表紙をチラッとロージアに見せてやる。そうしながら、それがどのような本なのかロージアに簡単に説明してやった。


「世界珍品百科。城の書庫にあったものよ」

「ちん、ぴん?」


 ロージアは少しひいた。フローリィまで死んだ誰かさんのようになってしまったのではないか、と危惧したのだ。だが、それは杞憂に終わる。


「もうすぐ父様の誕生日だからね。何かプレゼントをあげようと思うんだけど、ありきたりじゃつまんないからさ、何か変わったモノでもあげようと思って、ここに何かないかな~と思って見てたんだ。そんで、GETしてプレゼント・フォー・ユーってな訳よ」

「成程。それで?」


 ロージアは安心した。心底安心した。フローリィがガイガーのような変わり者になってしまった訳ではなかったからだ。


「で、何か良さそうな物はあったのかしら?」


 安心すると、ロージアはその話題に楽しく参加出来る。


「そうねぇ」


 フローリィは今まで見ていたページをパラパラと見返して、あるページでその指を止める。指を止めて、ロージアにそのページを見せる。


「これなんてどうかしら?」

「ブラックエンド・ダークセイバー? 闇属性のインテリジェンス・ソードね」

「いいでしょー?」

「いいわね」


 魔王アビスは闇属性の魔法を得意としている。だから、それがどのような剣なのかは知らないが、彼に使えなくはないだろう。無用の長物にはならず、とても喜ばれる一品とロージアには思われた。

 もっとも、本当の親子ではないにしても、愛娘であるフローリィからの誕生日プレゼントならば、何であっても父親が喜ばない筈がないこともロージアには分かっていたのだが。


「それじゃあ、これに決まり♪」


 フローリィは嬉しそうな顔をする。そのプレゼント(候補)が、父親の役に立つ物であると分かればそれだけでいいのだ。


「では、今度GETしに行こうね、ロージア」

「ええ、分かったわ」


 と言ったところで、ロージアははたと気が付いた。


「あれ?」


 いつの間にか、関係ない筈である自分もその探索への参加が決定されていた。いつの間にか、巻き込まれていたのだった。


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