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Double Lotus  作者: 橘塞人
Chapter1:トラベル・パスCランク試験
3/183

Connect01:金髪ロリと銀色仮面と変態-魔族サイド-

 アレクサンドリア連邦、某地点。乾燥していて緑が殆どない不毛な大地。そこでもマリアがガルイーヴルを倒した時の雷光は視覚で確認出来ていた。それを見た、一人の上級魔族の男が笑う。


「ほう、やるではないか。ククク、アレは人間によるものだろ? 人間風情にもあれ程の魔導師がいるとはな。中々侮れん輩もいるものだ。まあ、俺程ではないがなっ!」


 変態チックな頭蓋骨型ヘルメット(赤い鶏冠付き)の下で、男は面白そうに笑う。鋼鉄製の女性用水着みたいな服を着た変態、もとい魔族の男は笑う。


「ま、人間の、しかも一魔導士のことなんか私にはどうでもいいがなっ! そんなことより、見えるぞ! 分かるぞ! 私のお宝がっ! 今すぐにこのガイガー様が愛で倒してやるからなっ! 首をろくろ首のように長くして待っているが良い! はーっはっはっはっはっはーーっ!」


 馬鹿な魔族の笑い声が不毛な地の乾いた空に響き渡った。が、それを聞いた者は誰も居ないし、誰にとってもどうでも良いことであろう。



◆◇◆◇◆



 そして魔界。魔王アビスの居城。その廊下を、一人の小さい少女が歩いていた。金色の髪を左右に結わえてツインテールにし、ゴシック調のドレスを纏った少女だ。彼女は左右をキョロキョロしながら歩いていたが、真正面に銀色の仮面を被った上級魔族を見つけると、その魔族に話しかけた。


「あ、ロージア。ガイガー見なかった?」

「ガイガー君?」


 仮面魔族は立ち止まり、少女の方を向く。


「そう。アイツに本を貸していてね。いい加減返してもらいたいんだけど、城の何処にも見当たらなくてさ」

「ああ。確か、彼なら何日か前に宝探しに行くって言っていたわよ?」

「宝探し? またか、あの悪趣味野郎は。悪趣味はあの変態的な服装だけにしておけよ。つか、あの服装もヤメロ。目が腐る」


 金髪の人形のような容姿をした少女は、それに似合わぬ毒舌を吐く。だが、それもその仮面魔族にとってはいつものことなので、取り立てて気にせず話を続ける。


「ま、でもガイガー君も自分の趣味だけじゃなく、あの情報も同時に探しているというのだから、アビス様も笑ってお許しになるでしょうね」


 決して趣味等が合う訳ではないが、一応同僚なので、仮面魔族は一応庇ってやる。金髪のツインテール少女は、その仮面魔族の言う事に納得する。


「あの情報? ああ、あれね。別に『あの』だなんて勿体つけなくてもいいじゃん♪ ハッキリ言えばいいんだよ。勇者アーサーを殺す為の情報だってね」

「ええ。その通りよ。あの男だけは何がなんでも許しはしない。16年経っても、何十年経っても、自然治癒なんかでその恨みが晴らされることはない」


 どれだけ時が過ぎようと、家族や仲間を奪われた恨みは薄れない。魔族は、魔王アビスとその配下の者達は、決して勇者アーサーを許しはしない。

 それをミッションA、そしてそれとは別にBとCがあるが、それらはまだ動いていない、動きようのない事柄であった。だからこそ、それらを置いておいて二人は話す。


「まずは人間界に行けるかどうかね。基本的には16年周期で人間界と魔界の扉は大きく開く。ガイガー君が行けるというだけでも、アビス様には貴重な情報となるでしょう」

「まあ、そうね。いずれはあたしも行ってみることになるかもね」


 そう言いながら二人も笑い合う。まだ何も始まってはいなかった。だが、始まろうとしていることの実感はしていた。魔界では。

文字通り「つなぎ」なので、短いです。


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2019/01/08 区切り部分に「◆◇◆◇◆」を追加。

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