Act.016:港町戦争Ⅴ~繋がりそうな水面下~
雁間亭の息子、カイを殺す。
モスルはヤズドに、ハッキリとそう告げた。モスルがどういった人物で、これまでどうやってきたか大まかながら把握はしていたヤズドではあったが、そのモスルの殺人予告は寝耳に水とでも言いたくなることであった。
「自分の息子にしようとする子供を殺す? 血迷ったか?」
ヤズドは自分達がやったカイに向ける仕打ちを一通り思い出した。直接対面した今日も含め、自分達はカイが死なないように、酷い怪我をしないように気を払ってきていたのだ。そして、それはリーダーであるラシュトの意向でもあった。だが、このモスルを見るとそれも無駄のような気がしてきていた。
モスルはニヤリと笑う。そして、少し首を横に振る。
「別に血迷ってなんかいないですよ」
「何?」
「策がどの方向で成功したとしても、カイにはどのみち死んでもらう予定でしたから。必要ならいつでも殺して構わない。ラシュトさんには事前にその旨を伝えておいたんですが、貴方は聞いていませんでしたか?」
「ああ、初耳だ」
一体どういうことだ?
ヤズドは頭をひねった。今回の依頼主であるモスルは、カイを殺しても構わないと言っていた。だが、今回の仕事をするにあたって、ラシュトはカイを、子供を殺してはならないと言っていた。相反する事だ。
確かに、エマムルド強盗団の掟の中には「不必要な殺生は避けろ」とか「女・子供は殺してはならぬ」といったものは存在する。
それに従うか、従わないか。依頼主の要望のままならその掟に逆らわなければならないが、今までのエマムルド強盗団、とりわけラシュトの行動を見てもその要望に従う、掟に逆らおうとしているようには見えなかった。
にも関わらず、こうして仕事を続けている。それは、もしかしたらこの仕事のさらに先であの子供を殺そうと考えているのだろうか? 掟に逆らおうと考えているのだろうか?
教えろ、ラシュト!
ヤズドの中で疑問は尽きなかったが、その場に居ないラシュトにはそのヤズドの問いかけが届くことは無かった。それ故かヤズドの中でのもやもやは晴れず、着々とこの仕事や依頼主であるモスル=カルバラに対する嫌気が増していたのだった。
◆◇◆◇◆
「愛ではないと思うよ」
雁間亭の店内、カオスはポツリと呟くように言う。それは、モスルの求婚を断ることに決めたツキナが、それでは今まで待ち続けたモスルに対して非常に申し訳ない、と言ったことに対するカオスの答えだった。カオスは自分の言葉に反応し振り返ったツキナの方をきちんと向き直し、その言葉に付け加える。
「あのモスルってジジィは、本当の意味ではアンタを愛してはいないと思うよ」
「そう、なんですか?」
「ああ」
不思議そうな顔をするツキナに対し、カオスはそう即答する。それに対し、ルナもカオスの言う事に疑問を抱き、その疑問をカオスにぶつける。
「何でよ? 愛してなかったら、その人と結婚なんかしたくない。愛しているからこそ、求婚するんでしょうが」
「まあ、普通はそうなんだろうな」
カオスはルナの方を振り返る。
「けどよ、ルナ。お前、仮に愛する人と話しをする時にそいつの何処を見ながら話す?」
「は? 別に愛する人なんていないけど?」
自分には愛する人、最愛の恋人なんていないって分かっているのに何トンチンカンな事を訊いているんだ? ルナは首を少し横に傾けつつ、そう思っていた。
カオスは、そんなルナにお構いなしに話を続ける。
「だから、仮だっつてんだろ? でも分かんだろ。普通は目だろ、目。もしくは、その近辺だろ。その辺り見ながら話すんじゃねぇか?」
「あ? それって、愛するとか愛していないとかそれ以前に、人として当然じゃない?」
「では彼、モスル=カルバラは違ったということですね?」
何言ってんの? と言いたげな顔しているルナの横で、リスティアはそのようにカオスに確認調で訊ねる。そして、そのリスティアの問いにカオスは首を縦に振る。
「ああ、勿論そうだ。奴は顔見ながら話してたんじゃねぇ。奴が見てたのは胸だ、胸」
その上でカオスはカイの方を向いておちゃらけた顔になる。
「胸と言ってもカイのじゃないぞぅ」
「そんなの分かってるって」
真面目にすべき肝心な所で、絶対にボケるというカオスの嗜好は分かってはいたが、ルナは一応そうつっこんでおいた。そんないつものカオスの様子を知らないリスティアは、ちょっと困った顔をしながらそのカオスの続きを補填する。
「お母様の、ですよね?」
「ピンポーン。リスティア大正解♪」
「だから、そんなの誰でも分かるってば」
ノリノリにボケを飛ばすカオスに、仕方無しにそれにツッコミを入れるルナと、それを端からニコニコと見ているだけのマリア。彼等三人にしてみれば、ルクレルコに居る時と同じいつもの出来事だった。だが、他の面子はどうしたら良いものなのか分からず、ただオロオロしていた。
「わ、私ですか?」
ツキナは困った顔をしていた。
カオスはそんなツキナの声を聞いて、くるりとまたツキナの方に視線を戻した。そして、ちょっと視線を下にして胸を見てみた。既に一人子供がいるからなのかも分からないが、普通の女性と比べてツキナの胸はふくよかそうに見えた。
余り見るとマリアからお仕置きされそうなので、カオスはすぐに視線をツキナの顔に戻す。そして、少し真面目そうに思える顔で返事をするが。
「そう、その巨乳を!」
またふざけた顔に戻る。
「舐めるように! むさぼるように!」
段々楽しくなってきたのか、カオスの顔はどんどん悪乗りが進んでいった。その一方で、ツキナはカオスの顔が恐いのかモスルの思惑が恐いのか、その顔は恐怖の割合が増していった。
カオスはノリノリだ。
「ジュビニュラヒュラって感じ! ブェラヴァラジョリャヒャミョルュア」
「ひいぃいいいぃいぃぃっ!」
その時、聖拳が飛んだ。ルナだ。ルナの正義の鉄槌によって、カオスは空の星となった。アヒタルの雁間亭に、再び平穏が訪れたのだ。
「と、まあ、それ自体はどうだっていいんだけどな」
ルナの鉄拳から早々に復活したカオスは、飄々とした感じで言い放つ。その様子から、さっきまでのは前フリでちょっとボケてみただけ、知っておくべきなのはこれから言うのだ、ということを姉であるマリアは理解していた。そして、その通りになる。
カオスはちょっと真面目な顔に鳴る。
「だとしたら、気をつけることだ。奴はカイなんてどうとも思っていない。寧ろ、疎ましく思っている筈だからな」
「まあ、そうなるでしょうね」
カオスがちょっとシリアスに締めたところに、リスティアもそう言って頷く。モスルの紳士的に思えるカモフラージュの影で少し漏れるその邪悪なる節々、そしてカルバラ財閥そのものの悪い噂。そこから、モスルがろくでもない男でなかったとしても、少なくとも人から褒められるような人間ではないのは見て取れていた。
警戒するに越したことは無いのだ。だが、証拠を挙げて何かしらの案件で捕まえることが現状では出来ないので、こちらからすることは何も無く、ただ防御に徹するしかないというのもまた事実。
カオスは溜め息をつく。自分にはもう何もすることは無い。
「じゃ、そんな訳で帰るか。ゴー・ホーム」
この締め方が、カオスのお気に入りだったようだ。その場に居た、カオス以外のメンバーがずっこけた。だが、そのカオスの後ろですぐにそのずっこけから立ち直ったマリアが、そのカオスにツッコミを入れた。
「でも、カオスちゃん。それじゃアレックス君とトラベル・パスを忘れているわよ~」
「お?」
アレックス・バーント。エマムルド強盗団のデブにナイフで刺されて負傷、今は病院で診てもらっている。トラベル・パス。カオス、ルナ、アレックスの三人はこのCランクに合格し、そのパスを受け取りにこのアヒタルの町までやって来ていた。
作者だけでなく読者も忘れているだろうが、そんな経緯があったのだ。カオスは決まり悪そうにあさっての方向を向く。
「忘れてたぜ。そんな奴がいたな」
トラベル・パスは、センターの場所が既に分かっているのですぐ取りに行ける。しかし、アレックスはこのアヒタルの病院に行ったのは分かっているが、どの病院に行ったまではカオス達に知らされていないので迎えには行けない。けれど、アヒタルの警察によって連れて行かれたので、その警察の方で何とかしてくれる筈。
リスティアの方をカオスは向いた。
「アレックスの野郎は、一度警察を経たとしても結局はここに案内してもらえるだろう?」
「ええ、そうでしょうね」
一通り経緯を聞いてあるリスティアは、即答でそう答えた。カオス達全員がこの雁間亭に来ているのは、リスティアをボディガードに任命したエクリアを始めとして警察は知っている。それ故、警察にカオス達が誰も居ない以上どのみち彼はここに来るしかないからだ。
カオスはそれを聞いて、アレックスは放っておいても構わないと解釈した。では、後はトラベル・パスだ。いい加減もう出来ている筈なので、それをセンターから受け取ってきて、この雁間亭でアレックスと合流すればそれでこちらとしては一件落着となるだろう。そう考えた。
「じゃあ、こうしようか」
カオスはこれから自分達がどうすべきなのか、自分の意見を述べた。
「トラベル・パスは俺がパーッと全員分取って来るんで、全員ここに待」
「一緒にいくよ」
「一緒にいくわ~」
待機しろ、と言いおえる前にルナとマリアの反論がハモった。カオスはそのハーモニーに少し驚いた顔をして、その二人の方を振り向いた。
「アンタ一人に任せておくと、鉄砲玉のように戻ってこない恐れがあるからね」
「そうねぇ」
「ひどっ!」
そう解説するルナに、それに同調するマリア。自分に対して全然信用度の無い発言に、カオスとしては何かしら文句の一つでもつけてやりたいところだったが、どうせ何言っても受け入れてもらえないだろう、と分かっていたのでやめた。
カオスは軽く息を吐く。別に1人で行かないと自分にとって都合が悪い理由は何も無いのだ。つまり、ルナとマリアが一緒に居たところで何の問題も無い。こだわる必要は無いのだ。
「まあ、いっか。三人で」
カオスは妥協する。そして、一応として雁間亭に残るリスティアにお願いしておく。
「じゃ、パッと行ってくるんで、リスティア。後は頼んだよ。もしあの肉ダルマ、もといアレックスが来たらここで待つよう言っておいてくれ」
「分かりました」
カオス達はそうして雁間亭を後にし、歩いてセンターへと向かった。そちらへはのんびりと向かう。アレックスは病院での診察、及び会計を済ませた後、警察を経由してから雁間亭にやって来る。結構時間はかかると思われたからだ。
そんなのんびりとした後姿を見ながら、これ以降別に用の無い暇人なリスティアも穏やかに微笑んでいた。
◆◇◆◇◆
トラベル・パスのセンター。ここでは説教も終わり、昼食も終わり、顎鬚の男性係員とその女性部下がいつも通りの業務体系に戻っていた。昼が終わり少し経ったこの頃では、センターへ向かう客足は途絶え、二人は暇を持て余す事となっていた。
顎鬚係員は窓から外の景色を眺めながら溜め息をつく。
「ふう。ホント、人ってのは来る時は嵐のようにやって来るくせに、来ない時はピタッと来なくなるもんだな」
そう独り言を言っている彼の後方で、女性部下は机に向かい書物を広げていた。彼女はその文面を一生懸命追いながら、あるページの、ある文句をその目にした時、思わず驚嘆の声を上げてしまった。
「ええええええええっ! 嘘っ?」
「!」
突然後ろから部下が大声を上げたので、顎鬚係員はびっくりして体勢を崩した。転びはしなかったものの、彼の心臓は全力疾走した後のように猛スピードで鼓動していた。
「な、何だ? どうかしたのか?」
何か事件があったとは思えなかったが、部下が驚いた声と顔をしていたので、上司として一応部下を気遣い、彼は何事か訊ねてみた。
「先輩、大変です」
女性部下は、普段より幾分真面目な顔つきとなった。
「大物女優、ドリアン=トレイシー。でででで、電撃結婚ですっ!」
彼女の手元から書物が落ち、その表紙が露わとなった。タイトルは『週刊・芸能レポート』。芸能人のゴシップ系週刊誌だった。
「!」
顎鬚係員の鉄拳が炸裂した。女性部下は、あっと言う間に空の星となった。
「って、ひどっ! 職場内暴力ですか? パワハラですよ! DVですよ!」
そう言い、自分の咎は棚に上げて、彼の暴力を咎めようとする女性部下に、顎鬚係員は一喝した。
「やかましい! 仕事中に週刊誌なんか読んでんじゃねー!」
「だ、だって、あの超大物女優のドリアン=トレイシーですよ?」
「って、どうでもいいけど大物大物って言う程ドリアン=トレイシーは有名じゃないだろ?」
「えー、先輩。何言ってるんですか。すんごい、超大物じゃないですか。物理的にっ!」
ドリアン=トレイシー、28歳。女性。身長188cm、体重264kg。笑顔が実に気持ち悪いキワモノ女優。前にアヒタルの劇場で行われた舞台で怪人役を見事に怪演し、その気持ち悪が実にピッタリだったと思ったのを顎鬚係員は思い出していた。
顎鬚係員は再び窓の外に視線を向けた。
「桜も散り、新緑の季節となった。夏ももうすぐなんだな」
「ちょっと待て。シカトかい。スルーかい。人がボケたんだからつっこむ。これ、常識」
どつかれてまでボケを演出したのに、女性係員のボケは完全に無視された。笑いの分からない上司に少し辟易しつつ、彼女は暇なのでどうすればこの上司を笑いの世界に引きずりこめるか考えを巡らそうとしていた。
その時、ガラッとセンターの入口のドアが開かれて客が入ってきた。顎鬚係員は、ボケをスルーされて打ちひしがれている部下を放っておいて、さっさとその来客の方へと向かっていった。
来客、それはカオス達だった。その顔はちゃんと覚えがあるので、顎鬚係員は開口一番に感想を漏らす。
「おや、遅かったですね」
一時間程度待つのも嫌そうな素振りをしていたくせに、ここにやって来た時間はその一時間をかなりオーバーした後だったからだ。
まあ、覚えていたならそう言われるだろうな。
そう思っていたカオスは、クククッと笑う。だが、いちいち説明するのは面倒臭いし、その必要性も無いので軽く返しておいた。
「ま、色々とあったからな」
「…………」
アヒタルの町を回るだけで何があるんだよ?
彼はそうつっこんでみたい気も無くはなかったのだが、余り突っこんで訊くのもマナーに反すると思っていたし、訊いたところで正直に答えてくれるとも思えなかった。そして、ただの興味本位だからどうでもいいという結論に達し、全て止めた。
彼はすぐに自分の職務へと戻る。職務、今の職務は彼等に対するトラベル・パスの交付だ。だが、彼はすぐにカオス達がここで申請した時とは違うのに気付いた。
一人足りない。
「あれ、角刈りで大きい人は?」
アレックスを待っていたら、帰る頃には日が暮れてしまうかもしれない。そう思い、カオスはその係員に一つ提案する。
「ああ、アイツはちょいと体調不良でここに来れなくなっちまったから、アイツの分預からせてくれる?」
「…………」
彼等は明らかにあの角刈りで大きい人の友人である。それは間違いない。トラベル・パスにはどのクラスにも写真が貼り付けられてあるので、他人のパスを持ったところで何のメリットも無い。
本来は良くはない。だが、彼等にも何かしらの事情があるのだろう。
「余り良くないけれど、まあいいでしょう。分かりました」
そうして、カオス、ルナ、アレックスのトラベル・パスは無事に交付された。カオスとルナは、落としそうにない自分のポケットにそのパスをしまい、アレックスの分は教師で年長者であるマリアに預けた。
これで、ここでの用事は終了。もう、用は無い。後はアレックスを回収してルクレルコに戻るだけだ。
カオスは少し背伸びをして、センターのドアの方に視線を向けた。
「じゃ、とっとと戻るか」
「あ、忘れるところだった!」
ルナとマリアを連れて、カオスはまた雁間亭に戻ろうとしたのだが、その時顎鬚係員の出した大声によってそれは阻まれた。カオス達は立ち止まり、その顎鬚係員の方を振り向いた。一旦は職場の方に戻り、カオス達から少し離れた場所に居た彼だったが、駆け足でカオス達の方に近付いてきた。
「カオス・ハーティリーさんちょっと待って下さい」
「俺?」
トラベル・パスのセンターの係員に、何か言われる心当たりは全く無いカオスは少し不思議そうな顔をした。
「ええ。ついさっき、と言っても一時間位前なんですが、ここにカオスさんの妹を名乗る人が現れたんですよ」
「妹?」
「はい」
カオスは腕を組みながら天井を見た。そして、その首を下げてあさっての方向を見た。そうしながら、色々と考えを巡らせてみた。
妹ねぇ。心当たりは無い。が、カオスは一応隣に居る姉であるマリアに訊ねてみた。
「姉ちゃん。俺に妹なんているのか?」
「さあ~。分からないわ~」
その場に居るカオスとマリア以外の全員がずっこけた。自分の家族をわざわざ姉に訊ねる弟に、それを知らないと言う姉。どう見てもおかしな光景だった。
「って、自分の家族くらい分かってんでしょーが!」
ボケとしてはイマイチだが、どうせいつも通りカオスはすっとぼけてるんだろうと思い、ルナは一応カオスにそうツッコミを入れる。だが、その隣で微笑んでいたマリアが、ルナにカオスのとぼけた発言の弁護をする。
「あら~ルナちゃん。でも、カオスちゃんが知らないのも無理ないのよ~?」
「え?」
カオスが自分の家族を知らないのが無理ない?
マリアはいつもとぼけたような人だが、カオスと違って人をかついだりするような性格ではない。だから、そんな常識的に見ておかしな事を言ってルナをからかうようなことはしないだろう。
ルナ自身、それは分かっていた。だから、二人の言っている事は完全なデタラメではないと思っていた。だが、それでもルナの中に何かしこりのように残るものがあった。
そんなルナに、カオスは姉の言っていた言葉を補足してルナに説明してやる。
「ま、そういうことだ。俺自身、俺と血の繋がった人間は誰一人として知らねーからな」
「は?」
ルナの頭はますますこんがらがった。
目の前でそんなことを言っている男はカオス・ハーティリー。その隣に居るのは姉であるマリア・ハーティリー。既にここに一人存在している。それ故に、カオスの言っていることはおかしい。
ルナはそう思っていたのだが、それはおかしくない。根底から違うのだとカオスはその後に補足する。
「俺と姉ちゃんは血が繋がっていない。俺はハーティリー家の養子だからな」
「え?」
養子?
カオスはあっさりとそう言った。ルナにとってその寝耳に水的なカオスの発言は、ルナの頭をますます混乱させた。




