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改稿中 人と龍  作者: 小宮山 写勒
十一章
116/144

3...........

 捕らえた多くのドラゴンが地下へと連れられていったこと。アーロンとユミルがロベルトとともに地下へと降りていったこと。地下へ降りるためにはロベルトやアーチャー、それに研究員といった特定の者が持つIDが必要であること。


 男の口から吐き出させた情報は、どれもこれも充分に俺たちの益になるものだった。


 しかし、残念なことにアリョーシというドラゴンが地下のどこにいるかまでは男は知らなかった。地下へ運び込まれるのをみて、それっきりだということらしい。アリョーシの居場所が分からないままだが、ひとまずはアーロンを目指して降りていくことが先決のようだ。


 そう思い立った矢先のことだった。ふとした拍子に男の口から<あの自警団の女>という言葉が飛び出した。


 アマンダをそう言い表すことは、先程彼女の名前を呼んだことからまずない。

 

 では、誰だ。

 

 この場にいるはずのないもう一人の女、その顔が俺とアマンダの脳裏に浮かび上がる。


 ガブリエルがここにいる。それは俺たちに期待をもたらした。


 「彼女は、どこ?」 


 アマンダの顔から微笑みが消えて、ただ冷たい無が彼女の顔に浮かび上がる。まずいと思ったのか、男は一瞬口を紡いで見せたが、アマンダが銃口を向けてみるとガブリエルが一階の牢に囚われていること。そして、その牢を開けるためにはセキュリティルームに入って鍵を開ける必要があることも、打ち明けた。


 聞くべきこと全て聞いた。 


 アマンダは男の顎を銃底で思い切り殴りつける。うまく気絶したことを確かめると、男を階段の影に寝そべらせる。


 放っておけば出血多量で死んでしまうかもしれないが、運が良ければなんとか生き延びるだろう。すぐに殺してやらないのは、喋ってくれた男への一つの礼儀があったのかもしれない。


 影の中に隠した男から目をそらし、俺たちは階段を降りた。


 この建物は外からみたところでは、五階建ての横に長い構造になっている。階段を降りることくらいはわけないが、問題になるのはいくつもある部屋のどこに、ガブリエルやセキュリティルームがあるかということだ。


 これまで通ってきた屋上付近の階でさえいくつも部屋が並んでいたのだから、下の階がより多くの部屋を抱えていることは容易に考えられる。その一つ一つを探さなければならないとなると、面倒に思うのは無理ないことだろう。


 だが、その面倒を解決してくれたのはアマンダとトムだった。


 一階へと降り立てば、すぐに二人は動く。慣れた足取りで物陰に二人は別れ、敵の男二人を一挙に捉える。


 片方は喉を締めて気絶させ、もう片方はアマンダによる尋問にかけられる。敵を排除しつつ、かつ場所を絞り込める。合理的で効率のいい仕事に、俺は内心で拍手を送った。


 さて気絶させた男達をロッカーなりトイレなりに隠してから、いよいよ一階の廊下を進んでいった。男達の言葉によって大方の見取り図を頭に叩き込んである。そのため勝手知ったる我が家のように、足取りは淀みなく、かつ素早かった。


 道中、軽快に当たっていた男たちを難なく眠らせていくと、セキュリティルームの前へとやってきた。扉の脇にカードを読み込ませる端末が備え付けられ、簡単には開けられないような作りになっている。

 

 俺たちは扉を挟み込むように両脇に分かれる。そしてアマンダが奪っておいた男たちのIDカードを読み込ませた。

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