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第二章「陰と烈剣」

だいぶお待たせしました。第二章の更新です。


前回、初恋の人に似ている(同一)聖剣の民ヴェインの剣主となったセミル。

ヴェインに自分が陰剣だということを隠し創剣の民の領地の最西端の街の

門まで来たが怪しい立て札のせいで立ち往生を食らっていた。

ヴェインが心配そうにこちらを見つめている。セミルは「大丈夫だろう」

と言って門に入った瞬間門番に呼び止められた。「オイ!そこの黒ローブ!」

「なんですか?」と対応する。「そのローブの裏を見せろ!」「裏・・・ですか?」

「そうだ!場合によっちゃあこの町に入れるわけにゃいかねぇ」ローブの裏を見せる。

「刃物は・・・・ねぇな、よし入って良いぞ、後そこの嬢ちゃんも見せてくれ!」

少し恥ずかしいのかおずおずとローブの裾をたくし上げる。幸い何事もなかったが

てててて、とセミルに駆け寄り後ろに隠れてしまった。「すいません、ものすごく

人見知りで・・・」「いやはや、今しがた気づいたがあんた達番だったんだな」

ローブのついでに二人の身だしなみも見ていたらしい、番の証「主の腕輪」と

「剣の首飾り」を付けていることに頷いていた。「セミルさん?」ヴェインが

不思議そうにセミルに聞く。「この街では番自体珍しいんだ、聖剣の民とも交流は

多いが番になれるのは創剣の民が使う魔法と聖剣の民の剣変状態の相性が合わないと

聖剣の民は真価を発揮できないんだ」「へぇ〜」ヴェインはそう言って首飾りを見る。

美しい剣の彫刻されているメダルに裏には「烈剣」と彫られている。セミルが門番に聞く。

「そういえば数年前この街にきたときは門番なんていなかった、しかも何だこの怪しい

立て札は」そう言うと門番は険しい顔になって理由を話した。セミルが任務で訪れてから

二年後、この街に一人の騎士が馬に乗って現れた。その騎士は数日間滞在した後

宿屋の中で死体で見つかった。剣を胸部に突き刺し仰向きで死んでいたそうだ。

自殺だが不審な点が一つあった。死体を見つけた大家が村長に報告しに行っている間に

忽然と凶器ごと死体が無くなってしまった。宿の前にいた野次馬全員に話したが

死体が出て行くところは見ていないと口を揃えて言っていた。それ以来その宿の

血の後から騎士の亡霊が現れ人を襲っているらしい。刃物のチェックはそのためだ。

「いいかい旅人さん、うかつに夜間外に出歩いたりしちゃダメだよ、嬢ちゃんもだ

剣変するのは勝手だが万が一の時までは温存するのを推奨しとくぞ」

その話を聞いて怯えてしまったヴェインはセミルにくっついたままで寝る時も

布団に潜り込んできた。そして深夜、深まった闇の中悲鳴が響く。「っ!何だ!」

セミルが飛び起きる。ヴェインも騒がしさに目を覚ました。セミルはローブを引っ掴み

「ヴェインはここで待ってろ!様子を見てくる!」と言って宿を出て行った。

現場では背中から大量の血を流す女性が手当てされていた。犯人は女性を切りつけた後

「消え去った」と言う。今度は宿から悲鳴が上がった。ヴェインの悲鳴だ。「ヴェイン!」

急いで宿の前まで戻ると部屋で騎士らしき人物がヴェインを襲っている。ナイフを振り上げ

ヴェイン目掛けて振り下ろした瞬間、窓を破って無数の飛刀が騎士の体に突き刺さる。

すると騎士は首を百八十度曲げてセミルを見据えた後沈み込むように消えた。

セミルが投げた飛刀を残して。セミルは部屋に駆け込んだ。「ヴェイン、大丈夫か?怪我

してないか?」余分に持った四本の飛刀を投げ捨てヴェインに駆け寄る。ヴェインは

震えながらローブの内側を指差した。「それ・・・・・何ですか・・・・」ヴェインは

相当怯えているのか後ずさる。セミルのローブの内布が引きちぎられそこには部屋に

散らばっている飛刀と同じ型の飛刀が「ズラリ」と並んでいる。「答えてください!」

ヴェインは初めて声を荒げた。「まず、落ち着いてくれ」セミルがそう言うとローブと

散らばっている飛刀を部屋の隅に置く。「全部話すよ、門番にもね」いつの間にか門番が

部屋の戸口に突っ立ったまま驚愕の顔を浮かべていた。まずセミルは二人に自分の職業を

明かした。「俺の職業は王宮直属、暗殺専門の執行集団・・・陰剣の元団長だ」

門番が「き・・・・・聞いた事があるぞ・・・確か数年前にこの街にきたって、もしかして

あの時の飛刀使い・・・・・それがあんたか?」「おまえ、あの時の野次馬のデブ野郎か」

数年前、正確には五年前この街に執行対象の聖剣の民だけを売りさばく商人が逃げ込んだ。

その時にお得意の飛刀を使い、見事商人の身柄を拘束したのがセミルだった。

「何となく見覚えがあった・・・・やっぱりあの飛刀使いなんだな!」「そうだよ」

ヴェインからは門番は少しセミルを尊敬しているよに見えた。ヴェインは先程の飛刀捌きを

頭の中でシュミレートしていた。セミルが立っていた位置から窓まで、ざっと30メートルはある、さらに窓は二重ガラスで高さもある。その距離でありながら窓目掛けて真っ直ぐに

しかも二重ガラスを突き破る威力である。「相当な訓練を積んだ暗殺者」とヴェインは

セミルを再認識した。がヴェインはそんなセミルが頼もしくもありカッコよくも思えた。

しかもヴェインが刺されそうになった十数秒の間にローブの内布を引き破り飛ばした飛刀の数

約十六本。つまり左手で左脇の内布を破り右手でまず四本、次に右手で同じ動作を行い

左手で四本。最終的に両手で八本を正確に「十数秒」で投げ込んだのだ。最早人間ができる

範疇を越している。ヴェインは「すごい・・・・」としか言いようがなかった。ぼんやり

見つめてくるヴェイン、セミルが見るとヴェインは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

おそらくヴェインはセミルに対して好感を抱き始めているのだろう。「さて、現場検証だ

あの騎士はうつ伏せになってから沈んでいった、取ってしまったが床に刺さっていた

飛刀の向きから推測するに間違いないな」セミルは刺さっていた部分をひと撫でする。

「さらにあの騎士は実体じゃない、確かにそこには物体はあったが血の一滴もない」

ヴェインが「つまり・・・」セミルが「本当に亡霊が居るとは思えない、恐らく・・・・

聖剣の民が関わっている可能性がある」門番が「何だって!」だいぶ驚く。「門番さん、

俺たちはまだ試してはいないがヴェインが剣変して俺が魔法を使えば時空を切り裂く事ができると思っている、なら刺された人間・・・凶器ごと消えた死体、それを操る事ができる

剣主と聖剣の民がいてもおかしくない、文献で見た事がある銘は死操剣(しそうけん)だ」

死操剣、その剣で刺され殺された死体は腐ることもなく使用者の傀儡と化す。さらに

実体化、幽体化の他物体化も出来る死体になる。刺さなければいけないと言うセーフティが

ある代わりにうまく使えば今回起こった事件のように犯人は直接手を下すまでもなく死体を

操り犯行に及ぶ事ができる。「とんでもねぇ剣だなぁ・・・」門番は呆気にとられている。

ヴェインが袖を引き訴える「何とかしないと・・・」「ああ、この事件は俺が担当する」

放っておけばまた被害が出る、そんな恐ろしい剣があるなら回収しなくてはならない。

「待ってやがれ亡霊め、絶対に剣主も剣も俺が引っ捕えてやる・・・ヴェインを襲った罪、

ただじゃ済まさねぇぞ!」ヴェインを危険な目に合わせてしまった自分に不甲斐なさを

感じつつも今回起こった事件で「陰剣の本領」を取り戻したセミルであった。





これからも投稿(不定期)していきます。

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