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05 宝の山発見!

 目が覚めてから今日で四日目、私は未だ森の中を彷徨っていた。しかも目覚めた草原から南に約三キロ地点を、だ。


 いや、だってさぁ!

 ここレアな植物の宝庫なんだもん!


 ゲーム時代ならポーション百本分集めるのに現実の時間(リアル)で十日は掛かった薬草が、ここ四日でもう二百本分以上集まってる。


 月明かりのある深夜にのみ咲く『月輝草』の花弁も、空が白け始めてから太陽が顔を出すまでにしか採れない貴重な『リユケの花』の蜜露(みつつゆ)も、群生しているものだから採り放題でしたよ!


 もうね、見つけた時はアドレナリン出まくったね!

 おかげでテンションMAXな私は今まで一睡もしてないよ! ウフフ~たっのし~い♪


 あ、ちなみに月輝草の花弁はエルダートレントの樹液と世界樹の葉を混ぜれば『最上級魔力回復ポーション』に、リユケの蜜露はジャイアントキラービーの巣から採れるローヤルゼリーとロースティア大山脈の奥地で採取できる岩蜜を混ぜ合わせて『最上級体力回復ポーション』ができるんだよ!


 各種下・中級ポーションの素材になる薬草も一通りあったので、素材分とは別に数株ずつ根を傷付けないように採取しておいた。インベントリ内なら時間も止まるので、いつかまた自宅を持てたら薬草畑を作ろうと思う。



 その他にも肉厚で焼くと激ウマな上、素材としても優秀な『マコウ茸』等キノコ類やハーブ類なんかも、兎に角色々大量にゲットできた。


 中でも一番凄いレア物は、芳醇な香りとサッパリとした甘さで栄養価も高く、どんな食べ方をしても最高に美味と言われる果物の女王『宝果桃(ホウカトウ)』!


 野生動物や魔獣にも大人気なこの果物は、実が育ちはじめてから熟すまでが非常に早い。そのため熟したそばから食べられてしまうのが常で、見つけるのは至難の業だったりする。

 運良く見つけたとしても一個採れればラッキーってな位超希少な果物だ。

 ゲーム時代に食べたくて散々探したけど見つからず、見かねたチームの仲間が一個譲ってくれたのが良い思い出です。


 それが今、目の前に! 鈴生りですよ!


 す・ず・な・り!!


 見つけた時は暫く放心状態でしたとも、ええ。


 どの植物でも全部採らなのは基本なので、大体八割位━━それでも六十個以上あった! 普通は一本に十個も生らないはずなんだけどね?━━いただいちゃいました♪




   ◇  ◇  ◇




 今居る場所の素材を粗方採り終わった私は、探索スキルを使って周囲を確認してみた。


「うーん、やっぱりどう考えても変だよねぇ?」


 頭の中に展開された半径五百メートルに設定した探索の結果には、動き回る青や赤の光点が幾つも表示されている。青は無関心、赤は害意有りな生物がそこに存在しているということだ。

 ということは、この森には相当数の動物や魔物・魔獣が居るはず。


「採集の邪魔されないのは良い事なんだけど」


 スキルを使ったまま移動すると、光点も一緒に移動していく。大体私を中心に、二百メートルの範囲で壁でもあるんじゃないかと思うくらいキレイな円を描いているのが解る。


 目覚めてから今まで、一度も生物が視界に入らなかった事に違和感を覚えてはいた。でもここまで避けられているとは思わなかったんだけどなぁ。


「……はっ! もしかして臭いとか!?」


 二百メートルも臭うってどれだけ臭いの!? と思いつつあちこち嗅いでみる。目覚めた時埃っぽい感じもしなかったから気づかなかったよ!

 それに、この四日間夢中でお風呂の事なんかすっかり忘れてた。


 そもそも私はどうして屋外で、どれくらいの期間眠っていたのかも解らない。

 まぁそれは今考えても答えが出るものではないし、そんな無駄な思考(こと)に時間も使う気はないのでスルーしとく。


 問題は私が汚れてて臭いかもしれないって事!


「うー思い出したら無性にお風呂に入りたくなってきた! 土魔法で風呂桶作って水出せば……」


 いやいや、こんな所で裸になるのはいくら露天風呂が好きでもナンカチガウ。


 でもせめてサッパリしたい!

 もうっなんであのゲームに小説みたいな生活魔法なかったかな! ってゲームだからだよ!


「ん? 浄化って水と光にあったな。ちょっと試してみようかな?」


 水属性の浄化は『状態異常(物理)』、光属性の浄化は『状態異常(精神)』に有効だ。簡単に言うと水は毒系、光は呪い系の浄化ってこと。火属性にもあるけど、アレ攻撃魔法だし。


 早速順に使ってみると、私の身体が水色と白色の薄い膜に包まれた。エフェクトはゲームの時と同じだね。

 数秒で膜は消えた……けど、特に変わった感じがしない。ちょっと頭の中がスッキリしたような気がしなくもないかなーってくらいか。


 はい、結果は『無意味』でした。

 解ってたけどね、ちょっとだけ期待したけどね。

 諦めついでに、もひとつ小説ネタの火水風魔法でミスト&ドライヤーをやってみたけど、サッパリとはちょっと違う感じがした。

 お風呂の偉大さを再確認しただけだった。




 さて、試しに一キロ程移動してみたけど、状況は変わらず。相変わらずの二百メートルキープです。


「原因もはっきりしないし、放置でいっか」


 今はそんな些細な事に構ってる時間は無い。

 もっと重大な案件が発生しているからだ!


 そう、移動したことで探索結果には様々な素材が、無数に表示されているのだから……


 ダメだ。

 ニヤニヤが止まりません。

 テンションMAX再びですよ!!


「ヒャッハー! 祭り再開だぁぁっ」



 素材(これ)を採り尽くすまで私の採集(祭り)は終わらない!





お読みいただきありがとうございました。

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