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04 現状の把握と今の心境

 あれから結構な時間が経った。太陽も中天に差し掛かろうとしているのでお昼近いのかも。


 とりあえず考えるだけ無駄なようなので、色々吹っ切ることにした。


 アイコンが消えた理由も多分たけど解ったというか……確定かなぁ。どうやら私が眠っている間にゲームのサービス自体が終了していたみたいだ。


 いや、信じたくはなかったけどね?


 フレンドリストの一言欄に『十年間お疲れ様でした~』やら『またどこかでお会いしましょう!』なんて、軒並みそんなメッセージ残されてたら信じるしかない訳で。


 メッセージの日付から十周年直後までは稼働していたらしい事が確認できた。

 私の記憶では九年と七ヶ月までは覚えているので、その後の数ヵ月の間に何かあったみたい。てか数ヵ月+α?の私の現実での記憶が一切無いのですが……


 そもそも現実の私は生きているのかすら不明なんだよね。肉体や精神に何らかの不具合があれば、普通は強制ログアウトになるはずだし。


 そう考えると一番しっくりくるのは……最近良くみる小説的展開になって、原因は解らないけど死んだ事になるのかなぁと。

 良く言って植物状態だったとしても、生憎私は独り暮らしだったし、人が訪ねて来るのも年に片手にも満たない程度。

 これは確実に餓死してます。死亡案件間違いなしだね!


 ま、まぁ現実(あっち)では思い残す事も無いからいいんだけど。


 両親は高校卒業間際に事故で亡くなったので身内も居ないし、数年勤めたブラックな企業のせいで――入社した時は普通だったのに、代替わりした途端ブラック一直線でした。ケッ――胃に穴開いて吐血した上に救急車で運ばれるし。

 救急車初体験だったのに意識朦朧としてて殆ど覚えてないのが少し残念。


 それを理由にやっとの思いで退社して落ち着けるかと思えば、何故か友人の愛憎劇に捲き込まれた挙げ句悪者にされ、更にSNSで拡散されて元々少なかった友人も居なくなるし……大殺界でしたか?


 そんな訳で現実に未練なんて無い。寧ろこっちでの生活にワクワクが止まりませんよ!

 どうやら子供の頃からの夢を叶える事が出来そうな予感がもう、犇々(ひしひし)とね。


 もしかしたらここは夢の中でいつか現実に戻る日が来るのかもしれないけど、それまではこっちの生活を満喫したいと思います♪




   ◇  ◇  ◇




 試行錯誤した結果、無事?ステータスやらの確認をすることが出来た。


 レベルが一になっていたのと職業が無職になっていた事以外は特に変化は無いみたいかな。うーん、転職した記憶はないんだけどね。


 何故か既得職業ツリーが消えてたけど、スキルはそのまま。約十年間の苦労が無に帰さなくてホント良かった。

 ステータスが全体的に記憶より高い気がするので、何か記憶が無い部分で変わった事があるのかもと思い、隅々までチェックしたら……


 ああ、うん。あったよ、ありましたよ。



 称号『創造者』……全ての生産職を極めた者の証。

 全ステータス・各種アイテム作成成功率・性能大幅アップ。



 確か各職の称号はそれに付随するステータスや成功率のひとつが最大でプラス五される位だったはず。

 はっきりとは覚えてないし、何も作ってないから成功率なんかもどれだけ補正かかってるか解らないけど、ステータス……一割は上がってるような気が。


 えーっと、破格過ぎやしませんかねぇ?


 いや確かにね、数十個あった生産系称号の上位互換なんだから高性能なのは解らなくはないけどさ!



 …………。



 ま、まぁ別に高くて困る訳じゃないし、逆にこれからこの世界で生きていくのには良い事なんじゃない? と思っておこう。実際上がってるんだから深く考えたってしょうがないしね。


 この称号を持っているって事は私が最後に就いていた職業は無事カンストしたんだろう。記憶にないけど頑張った結果が目に見える状態で残ってるのは純粋に嬉しいので良しとしますか。



 それと、これから生活していく上で重要な役割を果たすであろうインベントリの中身については……ほぼ空でした。チッ


 確か、カンスト間際だったので転職前に必要ない物を全て自宅の倉庫に突っ込んだような記憶が。


 一応残留品の内訳としては、初心者にプレゼントするため大量に持っていた、怪我や体力・魔力をそれぞれ回復できる下級ポーション各種と食糧――別にレベル上げで作りすぎて余りまくった挙げ句売れ残った不良在庫じゃないですよ~ええ――と、非常用の最上級ポーションが各十本。予備の片手剣二本と弓、矢は百本あった。防具は今着用中の服と装飾品のみ。

 所持金は半端だった銀貨七枚と銅貨三枚。


 こんなことになるなら手持ちをもう少し残しておくんだったとちょっと後悔した。多分下級ポーションを全部売っても金貨数枚にしかならないだろうし。


 何度か自宅とリンクさせていた移動用の魔道具も使ってみたけど、無反応に終わり戻れなかった。


 自宅は別サーバーで管理されていたはずなので、ゲーム終了時に管理を任せていたNPCと共に電子の藻屑となって消えたんだと思う。

 大事に育てたNPC(子供)達と大量にあった素材が……ちょっとだけ泣きました。





 さて、いつまでもここに留まっていても仕方ないので、とりあえず移動しようと思う。差し当たっての目標は人里に降りる事だろうか。


 探索スキルを範囲最大にして調べたけど、半径二十キロ圏内に街はおろか小さな村すら発見できなかった。

 あ、探索スキルは超精密十メートルから超大雑把二十キロが範囲。大雑把だと大体紙の地図を見ているような感じかな。


 とりあえず東の方に道っぽいのが見えたのでそっちに向かうとして、まずはこの周囲に広がる森から出ることかなぁ。



「じゃ、行くとしますか!」


 両手で強く頬を叩いて気合いを入れると、私は東に向かって一歩を踏み出した。


 私の新たなる冒険はここから始まるのです!


 なんてね♪






お読みいただきありがとうございました。

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