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01 はじまりのまえ

初投稿です。

文章等拙いと思いますが、宜しくお願いします。


暇潰しくらいになれたら幸いです。

 どこまでも青く澄んだ雲ひとつない空の下で黙々と作業を続けていた手をふと止めて、私は小さく息を吐きだした。


 ここはVRMMO『リグナノーツ』の中にある自宅の庭兼作業場。


 私、江上沙耶(えのうさや)――二十七歳独身・無職。仕事は諸々の事情で五年前に辞めた。後悔はしてないけど、理由はどうか聞かないで下さい――ことサーフィリヤ・ウィオーネがレベル上げと称して結構な頻度で引き籠っている場所だ。


 なぜ引き籠ってレベル上げが出来るのかというと、生産職はその職に見合った行為をすることでしか経験値を獲得できないからである。


 ……ああ、うん。これじゃ意味解らないよね。


 では、初心者の皆さんに『誰でも簡単経験値稼ぎ!』のコーナーいってみよ~!


 まずは戦闘職ですね!

 その名の通り延々戦闘して敵を倒せばおっけー。

 というか武器を振ったり魔法を的に撃つだけでも経験値は入ります。

 危険はあってもある意味とても単純な職業。

 ストレス発散には是非こっちを! オススメですよ!


 そして私が籠る原因の生産職! ヤッホゥ♪

 うん、モノ作り好きなんだけど。好きなんだけどね……


 例えば『裁縫士』なら何百、何千着と服を作り続けないといけない訳です。これがまた結構キツイ!

 あ、受注と販売でも微々たるものですが経験値入りますよ? なんせ生産職は基本商人枠、小売店のようなモノですから。

 生産職って総じて地獄のように単調な作業を延々続けるとても精神力が鍛えられる職業だよね……

 私はマゾじゃねぇぞ! と何度作業中に叫びそうになったことか……!!


 おっと失礼、変なスイッチ入ってたようです。



 まぁ実際作業自体は何処でも出来るんだけど、集中してより高品質なものが作りたい――複雑な造りで高品質の方が経験値が良い。素材の消費を押さえる為にも作る数は減らしたいよね――私は、ついつい静かな自宅作業になってしまうのだった。





    ◇  ◇  ◇





 さて、ここで少しゲームの説明をしようと思う。



 VRMMORPG『リグナノーツ』


 正式稼働から九年と七ヵ月経つ、数多あるVRMMOの中で国内最大手と呼ばれても遜色ない程に成長した大規模オンラインゲーム。


 これだけの年月が経ち、尚且つ新しいゲームが日々増えている中で、多少プレイヤーが減ったとはいえ未だ人気MMOランキングの上位に位置する理由は、なんといっても自由度の高さだと思う。


 定番の剣と魔法がメインの中世ヨーロッパ風ファンタジー世界をモチーフにしたこのゲームは、職業レベル+スキルレベル制を謳っており、その職業の数が果てしなく多い。


 また、職業レベルの上限が二百と固定――初期職の「見習い〇〇」のみ上限五十だった――ではあるものの転職に一切の制限がない為、日替わりで職業を変える事も出来る。


 職業レベルはスキル習得条件であり、スキルレベルはそのスキルの習熟度合を意味する。最大は十。


 そしてスキルレベルはその職業のレベルを上げる事で貰えるスキルポイント(SP)を割り振ることで上げる事が出来る。

 大体職業レベル百二十までのSPで、獲得したスキルのレベルを最大まで上げる事が出来る感じかな。



 このゲーム、まず職業を探す事から始まる。


 基本の物理攻撃職は簡単だった。

 だって使いたい武器を持って一振りすればその職業を『知る』事が出来るから。

 あ、防具からもでした。一例として重鎧戦士とかね。盾職だから武器職と重複して上げられないのが難点かな。


 基本属性の魔術系はその系統の本を一ページ読めば、生産系は道具や工具を手にする、芸術系はそれぞれに沿う行為を試せば『知る』事はできた。


 そして覚えるスキルは各職五~十個と言われていて、一定レベルやある条件で発生するクエストと合わせて、職業レベル百までに覚えられる全てのスキルの習得が出来る……と言われている。


 実際は『見習い職』と『最上位職』以外十個固定なんだけど、知ってる人はどれだけ居るのか。攻略サイトにも載ってないんだよね。

 そして各職の『称号』は、その職のキースキルを開放後、職業レベルとスキルレベルをカンストしないと貰えない訳だけど、攻略サイトに載ってる職業の半分も判明していないらしい。

 らしいっていうのは、私の周りにはその事実を知っている人が数人居るって事。公開されないのは理由があるのかな? 私は情報公開(メンドクサイ事)しないタチだからなぁ。


 まぁ、スキル習得上限と言われていたレベル百以上はステータスの底上げ程度だっていう誤情報も原因の一つだろうけど。








 さて、正式サービス開始直後から始めて紆余曲折の末やっと一つの頂が見えた今日この頃。

 最初は本っ当に色々大変でした、ええ。


 記念すべき初就職は、忘れもしない『見習い裁縫士』。


 剣士が剣を振って魔物を倒し経験値を稼ぐように、職人はその職業に従事することで経験値を稼いでいく。

 だからこれから服とか小物とかいっぱい作るぞ~って意気揚々と始めたのに……すぐに壁にぶち当たった。そりゃもうゴツンとね!


 理由は簡単。材料がね、無かったんですよ……


 大きなリグド大陸にある人族の『始まりの街』であるクラッセン。そこにある小さな布屋さんの在庫なんて高が知れてる。


 この世界、人族が住むのは二つの大陸と一つの大きな島。そこにある、宿屋もない小さな村やお城がある大きな街を全部合わせても三十に満たないこの世界に、いきなり大量のプレイヤーが投入されるんだからどこも物資不足になるのは仕方の無い事なんだろうけど、ね。


 そもそも八割が未開の地という現状で早々素材が手に入る訳もなく……


 もちろんすぐに転職しましたとも。


 まずは素材集めから始めねばいけないのですね!

 私のワクワクを返せ!


 ってことでまずは基本の見習い剣士から。

 途中ちょっと生産に浮気しつつも――ポーション欲しさに植物学者→薬学士→調合士を上げた――なんとか最上位職の『剣聖』まで頑張った。


 その後は弓系職やソロ必須?だと思う隠密や探索スキル獲得の為に盗賊系職を経て魔術系職に転職。

 魔法系も今後のアイテム作成を考えて、ついでに属性魔術系最上位の『大魔法使い』まで上げてみた。


 初めの三年間はそんな感じに戦闘職をウロウロしつつ素材を集め続けることになったのも今では良い思い出だ。


 課金して最大まで拡張したインベントリと、同じく課金して得た自宅の倉庫に目いっぱい素材が貯まった所でやっと生産職に転職した。


 そこから足りない素材を随時集めつつ、自宅に引き籠って延々作業し続けた訳ですよ。


 七割方自給自足+仲間が格安で素材を提供してくれたおかげで元手も然程かからず、片っ端から作り続ける事六年と数ヵ月、この作業にもやっと終わりが見えてきた。

お読みいただきありがとうございました。

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