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女神様に会いました

誤字や表現が少しおかしいかもしれません

 オレの目の前に突如現れた女性はこの世のものとは美しさを誇っていた。


 自分でいうのもあれだが、オレは結構女性の美的感覚が薄い方かもしれない。オレは世間一般的にいわれる“美しすぎる”とか“可愛すぎる”と言われる女性を見ても、あまりピンと来ない。


 友達からも「遊馬あすまが“かわいい”と言ったら、相当可愛いということになるな」と言われるぐらいものだ。


 あてにならないかもしれないが、そんなオレがこんな風に感じるぐらい彼女はとても美しかった。


 ただ、どう見ても日本人ではなかったし、この世界の住民ではなかった。


 なぜならば、まずこの女性の容姿は髪はサラサラのウェーブがかかった長い金髪に青い宝石のような瞳が特徴的であり、さらに目、鼻、口と完璧な配置の人類には考えらないかもしれないぐらい美しかった。


 ヨーロッパ系の美女の完成系とも見える彼女であったが、極めて変わっていた所がある。


 服装だ。この女性は月桂樹げっけいじゅの冠を頭に被り、まるでギリシャ神話に出てくるような衣服を身にまとっていた。


 オレは何となくだが、察した。こいつも本の世界から飛び出した存在だ。


 これらのことから、オレはこの女性が女神だと判断したのだ。


 それにしても、この人が言っていた能力とは一体?


 後、3階に行かせろよ。早く帰ってゲームやりたいだよ。


「まず、褒めようか。お主、よくぞわたしが与えた“能力”あのクトゥルフを沈めてくれた。これでしばらく本の世界の連中は出てこないと思うぞ」


 いや、お前もそうだろう。しかも、上から目線で腹が立つ。

 

 とぼけてやろう。


「・・・。あの、さっきからあんた何言ってんだ?オレは図書館に漫画を返しに来ただけなんだが。それよりもここ早く出た方がいいじゃないのか?家の人が心配してるぜ」


 オレはわざと馬鹿にするように、女神にこう言った。

 

 当然、女神は怒り出し、


「なんじゃ、その言い方は!とぼけるではない!!お主が能力を使い“せかいのふね図鑑”の本の世界に行き、そのままでっかい船を出して、クトゥルフを倒したのを私ははっきり見たぞ!」


とオレにきつく言い放った。


「あら、見てたのか。それなら自衛隊でも呼んできてくれよ」


 こいつ。一体何の登場人物かわからないが、少しは手助けしろよ。


「お主・・・。そろそろ空気読んだほうがいいぞ・・・」


 むっ。それもそうだな。


「まぁ、そうだな。では、本題に入ろう。とその前に自己紹介いいか?」


 オレがそういうと女神は何かを思い出したように、


「おおそうだったな。お互いに何も知らない状態だったな。お詫びと言っては何だが私から自己紹介しよう」


 そういうと、女神は改まってこのように自己紹介してくれた。


「私の名前はアテナ。戦いを司る女神だ。で、隣にいるのは私の配下のメンテだ」


「よろしくお願いします」


 やはりというべきか。オレの予想通り、女神だったな。


 オレが知る限り、アテナはギリシャ神話に出てくる女神である。


 彼女の言うとおり戦いを司る女神であり、その誕生は父ゼウスの頭から生まれるというとんでもない誕生をしたそうだ。


 その後、彼女は戦いの女神らしく色々な怪物と戦ったり、自身の信者には恩恵を与えている。


 ところが、この女神はかなり性格に難があり、自分より美しいといった女性を蛇女メデューサに変えてしまったり、神殿を汚した奴は容赦なく殺害しまうそうだ。


 ただ、ある人が彼女の裸体を思わず見てしまったときは、視力を奪ったかわりに預言の力を授けたりするよくわからない一面もある神様だ。


 おまけに貴意も極めて高く、女神でありながら一切男を寄せ付けなかったそうだ。


 普通にこんな女神ならさっきの蛸神クトゥルフと戦えるだろ。戦いの女神だし。


 隣にいるメンテというのは彼女の配下の下級女神、ニンフだろう。


 なるほど。アテナほどではないけど、こちらも中々の美女だな。


「おい、私たちはしっかりと名乗ったぞ。お前も早く名乗れ。異世界の住民よ」


 おっと、そうだ。


「オレの名前は遊馬望あすまのぞむ。今日返却期限の漫画を返しに来ただけの男だ」


 オレがそう名乗ると、アテナは頷き、


「そうか。では、望よ。お主に“使命”を言い渡す前に、この場所でおきてる現象についてと何故3階にいけないのか説明しよう」


 アテナはそういうと、オレが感じた疑問について述べてくれた。


 まず、アテナがこの場所に来たのは1週間前だった。


 何でも気付いたら、この場所にいたそうだ。


 最初は彼女は自身は女神だから、この場所がどこだかわかるだろう。そう思っていた。


 ところが、この場所についてまったくわからなかった。


 おかしいと思った彼女は外に出ようとしたが、何と不思議なことに建物から出ようとすると自分の体消えていったそうだ。


 慌てて、彼女が引き返すと見たことのない化物たちがそこにいた。


 アテナは必死に戦ったが“絵本の世界の住民”にはどういうわけかわからないが、ダメージを与えることができなかったそうだ。


 ただ、一部は倒すことはできたそうだ。


 さすが、戦いの女神。


 彼女が2階に進むと、たくさんの小説のキャラクターたちがいたそうだ。


 しかし、ほとんどがクトゥルフにやられた。


 奴にやられた人たちは皆霧となって、本の世界に戻るそうだ。


 そうすれば、元の世界に戻れるとメンテもそう進言した。


 しかし、彼女はそうしなかったそうだ。


 何故なら、彼女は戦いの女神だからだ。


 何としてでも、この世界で勝利を勝ち取りたかったそうだ。


 そこで彼女はこの現象の原因を探った。


 すると、一つのことが分かった。


 どうやら、何者かが“次元水晶”を叩き割ったため、自分も含め本の世界の住民が飛び出したそうだ。


 “次元水晶”の欠片は7つに分かれて、様々な本の世界へ行ったそうだ。


 その過程でもう一つ分かったことがあった。

 

 それは先程オレがやって見せたとおり、神格を本に戻すと一時的に小説のキャラたちは元に戻るらしい。神格を除いては。


 それから、彼女は“本の世界に出入り”できる能力を編み出した。


 これはこの世界の住民にしか使えないらしい。


 早速彼女は3階にやってきた人にためそうとした。


 しかし、それが叶わなかったそうだ。


 3階はとんでもないことになっていたからだ。


 ライトノベルの主人公たちが一斉に出てきたそうだ。しかも、こいつら全員が神格を上回る実力者であった。


 しかも、皆性格が悪いものだから、元の世界に戻ろうと必死なためアテナを狙ったそうだ。


 このままでは進めないと感じた彼女はある少女に頼み、とある本の世界に行ってもらい、欠片を取ってきてもらおうとした。


 けれども、その世界で何者かの妨害に合ったらしく、未だ帰ってきてないそうだ。


「・・・おまけに三階のあのやれやれ共はどういうわけか、この世界の住民に恨みを抱いているらしい。やつらはこの世界の住民を見ると、真っ先に獣ように襲い掛かってくるってことだ。私に分かるのはここまでだ」

 

 話が長過ぎて半分聞いてないが、要は三階にはラノベの主人公たちが大量発生しているとわけか。


「・・・なるほどな。三階の奴らがいるから、オレは漫画を返せないとあなたは言いたいわけか」


 だいたいのことはわかったかもしれない。


「それであなたはオレにどうして欲しいんだ?」


 オレがそういうと、アテナは待ってましたと言わんばかりの顔で、


「うむ!よくぞ、聞いてくれた!」


 そして、オレは巻き込まれる。


 日常から非日常へ。


 物語へ。


「お主には“物語の世界に行く能力”を使ってもらい、本の世界でこの世界の暴走の原因なった欠片と私の不注意で行方不明になった少女を救って欲しいのだ」

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