死して、やっと人間になった私
ある画家がいた。
彼女は子供の頃から白い肌に憧れた。
金色の髪に憧れた。
自身の肌を白く塗るのはいい
だが親の目からすると、髪を金色に塗るのは許し難い行為だった。
眼を青く塗るのも同様だ。
けっして、外国人に自身を擬することを否定したかったわけではない。
そんな深い考えが親にあったとは思えない。
ただ世間の理に外れることが許せなかっただけだ。
長じて絵の技術を得ると、画家は自身を白人に擬して描くようになった。
親はただ娘が芸術家になったとだけ解釈した。
芸術大学の卒業作品だった。
題して『死して、やっと人間になった私』