3〜天才と天災〜
サファイア:この名前使うの久しぶりだなぁ…
サファイア:まぁこの時間は統計学的に誰も来ないだろうし…
―龍さんが入室しました―
龍:こんにちはー
サファイア:あ、こんにちはー
龍:珍しいですね、この時間に人がいるなんて
サファイア:いや、暇してたんで…なんとなくここでぼやいてただけですよ
サファイア:龍さんは?
龍:あはは、自分も同じ理由ですね
サファイア:あ、やっぱり?わかります!
龍:時間があるときはここ覗いちゃうんです
サファイア:ですね…
龍:本当はここに情報集めの目的で来てたんです
龍:凄腕の中枢さんの連絡先教えてもらったんで、ここに来る意味なくなったのに、なぜか気がついたらここに来ちゃってて
サファイア:自分は龍さんと話すの、楽しいですよ
サファイア:自分と同じ匂いがしますから
龍:えっ
サファイア:あ、やめてください真剣に受け止めないで!
龍:すみません、一瞬サファイアさんがストーカーに思え((ゲフンゲフン…なんでもないです
サファイア:うちには家内がいますぅ…
龍:それはすみません…
サファイア:もう、冗談キツすぎますよ
龍:悪気はなかったんです
サファイア:悪気あって言ってたらセクハラですよ?ケーサツですよ?
龍:警察ごときにこの俺様は止められん!
龍:貴様らにはもったいないが、封印されし左手の力…解放する時が来たようだな
サファイア:龍さんが壊れた!
龍:くっ…やはり、俺様の邪眼が左手に反応して疼く…!
サファイア:ちょ、誰か助けて…;
龍:と、いうのは冗談で
サファイア:まぁ本気でおっしゃってるようなら、まずはその精神状態を疑いますね
龍:冗談ですって!
サファイア:でもこのご時世、そういうやつがいてもおかしくないですもんね
龍:ですね…本当に、いつ殺されるか
サファイア:他人の恨みを買わなければ、殺されることはほとんどないと思いますよ
龍:恨み…子供の頃に万引きをしたときは、恨みを買ってしまったでしょうか…
サファイア:え…さぁ…?
龍:半分冗談です
サファイア:…残りの半分は一体なんでしょう…
龍:ご想像にお任せします
サファイア:まぁ、でも万引きくらいならまだいいんじゃないんですか?やってることは立派な犯罪ですが
サファイア:それに比べて僕は…犯罪でないにせよ恨みを買うことをたくさんしましたから
龍:…俺はサファイアさん、いい方と思ってますよ
サファイア:ありがとうございます
龍:何しろ、反省ができるんですから
サファイア:すみません…
サファイア:…あ、仕事が入ってしまいました…
龍:あらら、残念です
サファイア:またお話ししましょうね
龍:こちらこそ
―サファイアさんが退室しました―
―龍さんが退室しました―
天才は、暗い部屋でパソコンと向き合いながら嗤う。
「…まさしく天災だね、僕の誘導尋問を避けるなんて…」
天才は心底楽しそうに、口を半月状に歪める。
「さて、この天災がどう動くのか。僕は“2つの人格”を使って観ていることにしよう」
ノートパソコンが閉じられ、部屋は完全な深淵に包まれた。
サファイア:IQ180超の天才。もう一つ名前を持つらしい
龍:サファイア曰く天災。世間話から冗談まで幅広くこなす