SEED / DJ YOSHITAKA
それはただの石ころだった。
道行く人に蹴られてはまた蹴られ、石ころもそれが当然だと思っている。
誰も見向きもしない。
自身さえも見ていない。
自分が何故生まれてきたかなんて考えもしない。
ただの石ころだった。
季節は秋。
緑一色から様々な色彩に世界は溢れる。
僕は一人ぼっち。
「人に成る」と書いて成人。
僕は未だ人に非ず。
いつになっても大人になれない。
何が足りない?
何か足りない?
僕は首を傾げる。
傾げただけで何も考えてはいない。
何もかもが足りない。
しっかり生きてきたはずなのに。
ちゃっかり生まれてきたくせに。
僕は静かに目を閉じる。
現実から目を背けるために。
そしてゆっくりと身を流れに任せた。
痛いほどの静寂に目を開ける。
そこに君がいた。
君は誰だ。
問おうとしてやめた。
僕こそ誰なのかわからないから。
君が笑う。
音も立てずにくすくすと。
全てを知っているかのように。
波も立てずにころころと。
全てが知っていることのように。
そしていなくなる。
いや違う。
初めから誰もいなかった。
最初から静寂しかいなかった。
僕は気付いた。
あぁそうか、君なんだね。
僕は手を伸ばす。
何も見えていない空間に。
誰もいない世界に。
すがるように。
求めるように。
突如世界が産まれた。
心地よい風と共に僕は笑った。
君と同じように。
はじけるように。
僕は再び手を伸ばす。
今度は全てがいる世界に。
今度こそ君がいる世界に。
僕が色付く。
一体どんな色をしているんだろう。
君はそれを教えてくれる。
君が僕の手をとる。
もう僕は一人ではないと。
僕に明かりが灯る。
相変わらず大人にはなれない。
だけどいいんだ。
それでもいいんだ。
君が教えてくれた。
僕は知っていた。
あぁなんて眩しいんだろう。
君が見ていた世界とは、こんなにも美しかったんだ。
石ころはようやく気付いた。
自分は石ころではなかったのだと。
自分には意味があるのだと。
季節は夏。
「それ」は自分の内から弾けるような何かを感じた。




