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Re:音芸神話
「ねぇ、次、君の番だよ」
言われてはっと顔を上げる。
目の前には先ほどまで隣に座っていた人。
キョトンと見つめられて、私は慌てて携帯を閉じた。
視線を少しずらすと、デモの流れている空いた筐体が映る。
そっか、順番回って来たんだな。
「ありがと」
それだけ返すと、私は椅子から立ち上がり筐体へと足を向けた。
その人は私を見届けると、一番右端の椅子へと腰かけ先ほどと同じように携帯を開き始めた。
どうやらプレイヤーは自分たちだけらしい。
その人がどんな腕前だったのかは分からないけれど、なんとなく仲間のような、友達の友達のような、不思議な感覚を覚えた。
きっとそれは気のせいで、ここを離れたらそれまでなんだろうけど。
筐体の前に立つ。
ポケットからカードを取り出すと、私はいつものように筐体にかざした。
電子マネーは十分。
さあ、始めようか。
私は音の世界へとダイブした。




