fffff -Midnight Concert- / Five Hammer
リメイク元:音芸神話 ~The music myth Creation~
作者:DIT
http://estar.jp/.pc/_novel_view?w=7680838
市内にある某中学校は、音楽に力を入れている有名校である。
なんと専用の校舎まであり、「音楽館」という名で案内板には書かれている。
しかし、この学校の生徒たちはその名で呼ぶことはない。
ならばなんと呼ぶのか。
「 f 」
[エフ]ではない。
音楽用語である[フォルテッシモ]、彼らはそう呼ぶ。
理由は割と安直で、「3階の一番北側にある教室にピアノが5台置いてある」から。
……というのは表向き。
裏向けにはとある怪談が元になっている。
実際にそれを見た者がいるかどうか定かではないが、その怪談とはこのようなものだった。
深夜。
既に学校には誰もおらず。
非常灯の灯りがチラつく中。
どこからともなく音が聞こえる。
ピアノだ。
音はやがてメロディとなり、音楽となってゆく。
一体どこから……?
辿る内に音楽が2つになる。
そこで気付く。
この学校にピアノが2台以上あるのは、あの教室しかないと。
再び音楽が増える。
音楽館に入る。
さらに音楽が増える。
暗い校舎を進む。
もしかすると誰かいるのかもしれない。
恐る恐る階段へと足を運ぶ。
ついに音楽が5つ重なる。
コンサートのような感覚だ。
二階からさらに上を目指す。
ピアノ達はまるで休むことを知らないかのように、それぞれの音楽を奏で続けている。
まるで闘いでもしているかのようだ。
三階に足を踏み入れる。
学校全体に聞かせるかのように、激しく響き渡る音楽。
それでいてうるさいと感じないのは、彼らの腕前を証明しているということだろうか。
目的の教室に足を運ぶ。
明け方が近い。
窓の向こうにほんのり明かりが見えてきた。
闘いは激しさを増し、燃えるかのような音楽に移り変わってゆく。
教室の前に立つ。
今なおピアノ達は途切れることなく争っている。
ドアに手をかける。
鳥の囀りが耳をよぎる。
ドアの先にはいつもの音楽室が、静かに朝日を浴びていた。




