天空の夜明け / Cuvelia
「みんなここまでよくやってくれた」
そう言って彼は杯を掲げた。
「数々の溢れる欲望を抑え、よくぞこの地にたどり着いた者達よ」
彼の口はまだ止まらない。
「暗黒の時は終わった、今宵は騒ごうじゃないか!」
そして「乾杯!」と高らかに声を上げれば、周囲は一斉に歓喜の渦に包まれた。
ここのたどり着いた多くの冒険者達。
時間と精神と肉体とを消耗し、それでも目指したこの地で、ひとつの時代が幕を閉じようとしている。
彼らはそれを惜しむように、愛でるように、そして喜んだ。
どこからか楽器を持ち出しては演奏したり、冒険者同士でこれまでの武勇を語ったり、一人ゆったりと気持ちよさに身を委ねたり。
これから来る新たな時代に思いを馳せ、私は彼らをぼんやりと眺めていた。
この暗黒の時代を乗り越えた彼らなら、どんな世界が来ようともやっていけるに違いない。
私はふっと微笑む。
こうしていると、まるで私も彼らの輪にいるようで……でもやっぱり私は彼らではなくて。
そんな複雑な気持ちを私は表す術もなく、唯一知っている「微笑み」で私は私を表現した。
宴はまだまだ終わらない。
遠くで鳥が囀る音が聞こえる。
夜明けが近付いて来ているのだろう。
しかしそれはまだ数時間も先のこと。
私は太陽が昇ってくるであろう先に目をやり、そしてその場を後にした。
申し遅れた。
私の名は「キュベリア」と言う。




