another:Macuilxochitl / TOMOSUKE
夜も優雅な繁華街。
自慢の尻尾をふりふりしながらその猫は往く。
彼は黒猫。
人は彼を「不吉」と呼ぶ。
窓から窓へ。
飛び移る姿はまるで怪盗。
獲物は魚?
それとも吉兆?
夜の闇に紛れ、彼は今日も走る。
彼を見る者はなく、孤独とダンス。
地上の星空を泳いでは、宝石箱の中で跳ねる。
夜は彼の支配下なのだ。
ギラリと光る瞳。
人々はそれを街灯だと勘違いする。
そして次の瞬間首を傾げるのだ。
今そこに灯りがあったよな?
相方も首を傾げる。
さあ?
最後ににゃーんと鳴けば物語は完成だ。
笑う黒猫。
笑い合う人々。
そこに「不吉」など無く。
そこに「不吉」など亡く。
そこに「不吉」など失く。
だけれど人々は「不吉」と言う。
それが可笑しくて犯しくって。
黒猫は笑う。
やがて雨粒が模様を描き。
闇はさらに闇で染まる。
それでも黒猫は走る。
走る。
走る。
誰かとすれ違ったような気がする。
多分、知っている人。
人。
だから黒猫は振り返った。
知っている人だから。
そして再び走り出す。
今度は笑って。
嬉しくて。
その人は倒れているけれど。
きっと彼のことなんて覚えてないけれど。
思い出すような意識もないけれど。
嬉しくって。
久しくって。
だから黒猫は鳴く。
にゃーと鳴く。
ねぇ、また話そう。
次の来世で会う時まで。
僕と君の"meme"を。
次の来世で逢う時まで。
雨はまだ止みそうにない。




