走馬灯 -The Last Song- / TAKA
部屋が暗いな・・・・・・。
明かりを点けて欲しいものだが、今の俺にそれを要求するのは困難なことだろう。
月明かりが差し込むだけありがたいと思わねば。
窓から差し込む光の中に、ふと見覚えのある影が浮かぶ。
・・・・・・そうだな、お前と初めて会ったのは車の中だった。
初対面の俺に随分と馴れ馴れしく話しかけてきたもんだ。
・・・でも、正直うれしかった。
こんな世界でも、お前みたいな奴がいるんだって。
うれしかった。
これから先、生きるか死ぬか。
そんな世界でも、お前が笑ってるのを見て救われた。
俺も一緒に笑えるんだって、元気付けられた。
あの時お前が言った言葉の意味。
今でも理解はしきれていない。
まあきっとすぐにでも分かるさ。
窓を見上げると、いつか見た星空。
かつて一緒に見上げた時とは随分事情は変わったが、あの空は未だ何も変わっちゃいない。
変わらず俺達に夢を見せる。
そうだ、覚えてるか。
「水のない海」
お前がそう呟いたのはしっかり記憶している。
まったくいつ襲われるかわかったもんじゃないのに、いきなり呟くもんだからびっくりしちまった。
思わず聞き返したよ、なんだそれってな。
海ってのは、水があってこそだと俺は思っていたからな。
でもお前は空を見上げていた。
なるほど。
「星の海」な。
えらいロマンチストなことを言うじゃないかとからかってやったら、今度は「砂の海」ときた。
笑ったよ。
俺達は二つの海に囲まれてるだなんて、そんな発想したこともなかったから。
そういやお前と一番長く話していたのは、草むらの中だった気がするな。
敵を待つ時。
敵に近づく時。
敵から逃げる時。
血が植物に付着しないよう、随分気を遣ったな。
お前が撃たれるから悪いんだけどな。
俺は被弾してなかったし。
あぁ、一度だけ俺だけ撃たれた時があったか。
あの時もこんな月明かりだけの日だったな。
灯りなんて使えないし、声も出せない。
あの時は本気で終わったと思ったな。
ふと気が付いたら木漏れ日が俺を照らしていて、何がなんだか一瞬わからなかった。
・・・意識を失った俺なんて、置いていけばよかったのに。
・・・・・・なぁ、なんでだろうな。
どうしてお前は俺を置いていかなかったんだろうな。
そうすればこんなことにはならなかったのに。
俺はすっと銃口を友に向け、引き鉄に指をかけた。




