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音芸神話 - yukito's side story -  作者: 七海 雪兎
第三章 -expander-
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リリーゼと炎龍レーヴァテイン / 黒猫ダンジョン

不敵に微笑む彼女。

傍らには真紅の龍。

彼女と生を共にすると決めた龍。

あんなものが彼女の片割れだとは。

私は恐怖した。

彼女は龍に選ばれた。

しかもそれが炎龍だと言うのだから。


「ねぇ、そこの貴方」


ようやく声をかけられる。

こうして彼女らの前に立ちはだかってしばらくのことだ。


「貴方は、会いにきたの?」


「誰に」などと聞き返すほど私は野暮ではない。

ましてや炎龍の前で冗談など。

いくら私と言えどそこまで死にたがりではない。


「だとしたら残念ね」


会うことは難しいだろうと考えてはいた。

しかし彼女は暗に無理だと告げる。

何故か。

そんなのあの炎龍を見た時点で分かるに決まっている。


「だって貴方、ここで死ぬんだもの」


言うが早いか、ニンマリと笑う彼女の傍らから炎が飛び出す。

彼女が吐いたわけではない。

慌てることなく横っ飛びで躱す。

心臓は悲鳴を上げそうなほどビクついているが、ここで死ぬわけにはいかないのだ。

炎の塊が私を掠めて後方で爆発した。

熱い。

なんて熱量だ。

躱したというのに服が焦げ付きそうだ。

裸でここを抜けるのもなんだか間抜けな姿なので、出来れば服を維持して……当然生きて、ここを突破せねば。


そのためにはどうすればいい?

剣の無力化を図るか?


必死で考える。

しかし突破口は見えない。

何度も叩き付けられる高熱を、何度も紙一重で躱す。

遊ばれているのは明らかだ。

だがそこにきっと糸口が見えるはず。

そう信じてひたすら遊びに付き合うしかない。

クスクスと彼女は笑い、ゴウゴウと龍は息巻く。

そこに何も見出せない。

それでもやらねばならないのだ。


「退屈ね、もっと楽しませてくれないかしら」


これでも精一杯"お遊び"に付き合っているというのに、何がご不満なのだろう。

口には出さない。

わざわざ怒りを呼ぶ必要はない。

今のところ直線的な攻撃しかしてこないおかげで、まだ私は生きている。

服はところどころ焦げてしまったが、まだ服と呼べるだけの機能は残っている。

チャンスはある。

炎龍が本格的な攻撃をしてこない内に、ケリを付けねば。

もう一度あの龍を"封印"せねば。


「もしかして、まだ何とかなるって思っているのかしら?」


当たり前だ。

まだ手札は残されているのだから。

最後の一枚になろうと、手札が全てなくなってしまおうと、私は抗う。

カードが残っているのをわかっているからこそ、炎龍はこれ以上の攻めをしてこない。

彼女はそれを理解しているだろうか。

恐らくしていないだろう。

あくまで彼女と炎龍は主従関係なのだ。

炎龍は彼女に従うのみ。

彼女は炎龍を従えるのみ。


リリーゼよ、君がその剣を振るうには、少し荷が重すぎる。


彼女が炎龍に新たな指示を与えるのと、私がカードを切ったのはほぼ同時だった。







錠の音だけが、静寂を貫く。




――おやすみ、レーヴァテイン。


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