meme / Zektbach
私がこれまで君に語った物語は覚えているだろうか。
これから君は長い旅に出ることだろう。
そして色んな人に出会い、色んなことを語り合うだろう。
その時ひとかけらでもいい。
彼らを思い浮かべてくれ。
口に出す必要はない。
きっと彼らは君に何かを授けてくれる。
そして君の行く先に何かを伝えてくれる。
遺伝子のもっと奥。
意識の海の底よりも深く。
君に伝わるはずだ。
そして君を通じて、君の前に現る人々にも伝わってゆくことだろう。
君が彼らに抱いた感情を、人々も抱いてくれる。
君と人々は繋がる。
繋がりは繋がりを生み、いつかは私に帰ってくる。
私はそれを楽しみにしている。
私から始まり私で終わる。
旅のようなものさ。
君の旅も、ここから始まりここで終わる。
そう、君はきっと帰ってくる。
予言だとか運命だとか、そんなくだらないものじゃない。
……おっと、これから旅する君に今のは失言だったかな。
とにかくだ、全ては始まりに帰る。
これは揺るがないさ。
すまなかったな、長々と引き留めて。
もう旅に出たくて仕方がないという顔だ。
なに、気にするな。
君の成長ぶりを楽しみにしている。
ではいつかまた、ここで。