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音芸神話 - yukito's side story -  作者: 七海 雪兎
第二章 -providence-
15/69

Almagest / Galdeira


いつからだろう。

この宇宙は戦争の渦中にあった。

誰もが我こそが真理だと騙り、虚偽を滅せんとした。


ネヴァーハとトルヤ。


その戦争の中で、最後まで争い続けた二大勢力。

彼らもまた、己の真理を貫いた。

後に『アルマゲスト』と呼ばれる最後の戦い。

今では私だけが、その戦いがあったことを知っている。




―――。






我らこそが真理と説くネヴァーハ。

真理は天より与えられしものと説くトルヤ。

ふたつが戦争を起こすきっかけを作ったのはネヴァーハだった。


トルヤからの使者の処刑。


これまで友好とは言えないまでも、なんとか互いに睨み合いを続けてきていた。

いつかどこかで争うことになるだろう。

そう思ってはいたが、仕掛けるのはトルヤの方だと私は考えていた。

勢力差で言えば、確実にトルヤは劣る。

だからこそトルヤは常に最先端だった。

最先端でなければならなかった。

常に先を行き、追い付かれる前に潰す。

天から与えられた我々の力。

それがトルヤの真理。

負けるはずがない。

天が我らを動かすのだ。


ところが実際はどうだ。

ネヴァーハが先を行ってしまったではないか。

彼らが彼らのために築いた力。

ネヴァーハの真理が正しいと言うのか?

・・・ふざけるな。

奴らが天を動かすだなんて笑止千万。



そうしてトルヤは、未完成の機械を戦場に繰り出した。

天が与えたそのままに従って。

これ以上後手に回るわけにはいかないと。


『リャガ』

それがトルヤが天より授かった最先端。

それが未完成であるなどと、誰が疑っただろう。

なにせ天が我らに与えたもの。

未完成でありながらの完成形。

私はそれに乗り込み、ネヴァーハへと向かって行ったのだった。




真空を貫く数々の攻撃兵器。

そのどれもがトルヤにとっては時代遅れでしかない。

だからこそたどり着いた先で、私は恐れた。

“アレ”がトルヤの先だなんて、信じられなかったから。


『ソ・オデュー』

ネヴァーハが自身らのために得た力。

なんて・・・なんて脆いんだろう。

そう思わずにはいられなかった。

あれに乗り込んだ人間の正気を疑う。

一歩間違えれば動くことなく自身が耐えられなくなる。

それほどまでに高密度な殺意。

彼らが生み出したのは機械などではなかった。

人間を越えた「何か」だったのだ。


「これ」だけは残してはいけない。

天がそう告げているのがわかる。

天を動かすどころか、奴らは天を殺しにかかった。


襲い掛かる暴力。

降り注ぐ殺意。


当事者でなければわからぬ恐怖。

こればかりは説明のしようがない。

どうしようもない。

本当にどうしようもない。


削り取られる技術。

意味を無くした知能。


それでも私は戦ったのだ。

天が我らに与えた力を信じて。

『リャガ』と共に。

なんとか喰らい付いてやろうと。






―――――。



ここまでが私の記憶である。

とても断片的で確かなものではないが、それでも「知っている」ことだけは変わらない。


今この世界には私しかいないということ。

そして、私は『リャガ』であり『ソ・オデュー』であるということ。






あぁ、もうひとつ忘れていた。


・・・私自身が世界であるということ。


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