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音芸神話 - yukito's side story -  作者: 七海 雪兎
第二章 -providence-
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シュレーディンガーの猫 / Cait Sith

「さてみなさん、今このケージに入れられている黒猫が見えますか?

見えない人は前に来てもらって構いません。

ほら、可愛いでしょう?

今からこのケージに『20時間以内に50%の確立でON信号を送る機械』を入れます。

ちなみに20時間を越えると、絶対に作動しなくなります。

機械がONを送ると、このケージの中にガスが噴出される仕組みです。

そして、猫がこれを浴びてしまうと体毛が一日中真っ白になってしまいます。

一体全体どういうガスか、だって?

ふふ、まあ世の中にはたくさん不思議なことがあるんだよ。

……よっと、はい機械を取り付けました。

ではこのケージにカバーをかけて、中の様子が見えないようにしましょう。

ここからが今日の課題です。

『この黒猫は、20時間後白猫になっているでしょうか?』

YES / NO だけでも構いません。

必ず考えてくるように。

はい、では一旦講義は終わります。

えぇっと、では明日の私の講義にまた会いましょう。

みなさんお疲れ様でした」










…………。

あのじじいの声が遠くなっていく。

くそ、こんな暗いところに閉じ込めやがって。

おまけに変なものまで置いていきやがった。

上手く俺が触れないように配置してあるし、とりあえず放置しておこう。

どれだけこの状態なのかわからないが、餌を入れてあるということはすぐには解放してもらえなさそうだ。

やれやれ。

仕方ない、こういう時は寝るに限る。

寝て起きたらきっと解放されてるだろ。


そう考えて前足に顎を乗せて、目を閉じた時だった。

何かが黒猫の背中をつついた。


っ!!??

な、なんだ?

俺以外に誰かいたのか!?

そんな訳ないはずなんだが……。

…………。


「ねぇ、僕と遊ぼうよ」


し、白い…猫……?

というかここはどこだ。

さっきまで俺は暗くて狭いケージの中にいたはずだ。

なのに今では草原にいる。

草と土しかない。

……夢、かな。


「聞いてるかい?

ほら、僕と遊ぼうよ」


で、こいつはなんなんだ。

いきなり現れて遊ぼうだ?

……まあいいか。

どうせ夢の中だ。

何をすればいいかわからないし、とりあえず付き合ってやるか。


「決まりだね。

それじゃあ行くよ、付いておいで!」


ちょ、待て。

どこに行く。

待たんか!


「あいて!

ちょっと、何をするんだい。

僕の大事な尻尾に傷が付いたらどうするんだ」


…そんなもん舐めとけば治るだろ。

で、どこに行くって?


「さあ?

とりあえずあそこに見える洞窟までかけっこしようよ」


洞窟?

……………………あぁ、アレか、やっと見えた。

いいだろう、俺の速さを見せてやるよ。

伊達に普段から走り回ってるわけじゃないんだぜ。


「おっけーおっけー。

じゃあ行くよ?

…よーい、ドン!」


あ、ズルいぞ!

お前が号令出すのかよ!

くっそ、少し出遅れた。

でもまだ追いつく距離だな。

いけるいける。


「お、結構やるじゃん。

ほらほらペースあげるよ~」


ぐ、追いつきそうで追いつかない……。

…っくおおおああああああ!


「…っ!?…速い」


へへ、どうだ、そこらの野良ちゃんとは違っ、ってうおっ!


「危ない!」







……いってぇ…。

思いっ切り転んでしまった…。

幸いけがはなさそうで良かった…。


「ちょっと、大丈夫かい?」


あぁ、大丈夫だ。

そんな心配そうにすんなって。

……今回はお前の勝ちだけど、次は負けねぇからな。


「ん、是非頑張ってちょーだい」


……。

さて、そんなこんなで洞窟まで着いたわけだが、次はどうするんだ?

どうせならこの洞窟入ってみるか?


「いいね、入ってみよう!」






…暗いな。

一体どこまであるんだか。

…お、あれ出口じゃないか?


「あ、ほんとだ。

またかけっこする?」


……いや、いいや。

こう暗いとまたコケそうだしな。

…おい、何笑ってんだ。

牙折るぞ。

おい。


「あはは、ごめんごめん。

ほら、もうすぐ出るよ」


おう、って眩しいな。

今度は一体どこに出たんだ…?




「…………台所?」


…だな、台所だ。

どこのご家庭にもある台所に違いないな。

しかし何故またこんなところへ……。

夢にしても脈絡なさすぎだろ。


「ねぇ、あっちの部屋から赤ん坊の声が聞こえるよ」


お、おい、あんまうろうろすんなって。

……あぁ、確かに赤ん坊だな。

おもちゃもその辺にごろごろしてやがる。

ほら、これなんか転がしたら音なるぞ。


「お、それ面白いね。

へい、パース」


ほらよ、コロコローっとな。

へぇ、結構色々あんのな。

多分全部この赤ん坊のためなんだろうな。


「うわははは、おもしろーい。

わ、何コレ、これも面白い。

見てほら、これ、これ」


わかったわかった。

あんまはしゃぐなって。

お、なんだそれ、面白そうじゃん。


「ね?

……あ、やば…」


…ん?


【・・・・・っ・・・・・っ!!!!・・・・・っ・・!!!】


げ、こいつの母親か。

何言ってるかわからないが、確実に怒ってる感じだな。

なんていってる場合じゃねえ!逃げるぞ!


「あ!待ってよ!」


早くしろ!

っ…痛ってぇ!

何か踏んだ!


「ちょっと!遊んでないで!」


【・・・!・・・・・っ!!!!】


ぎゃああああ、遊んでねぇよ!

うわっ、スリッパ投げてきた!

危ねぇなおい!

さっきの洞窟どこだ!

あそこからなら逃げれるだろ!


「ダメ!そっちからも人来てるよ!ほらこっち!」


…あいわかった!

って階段かよ!

くっそ、仕方ないか、一気に行くぞ!


「ラジャー!」


よっ、ほっ、はっと。

よし、この調子で下まで行って……。

行ってどうするよ!?


「ちょ!前見て!前!」


は?

…………ちょ、かb…あっ。






「……っ!」


【・・・っ・・!】


「……っ…ごめん!」


うっ……意識が…。

あぁ、お前は逃げろ……それでいい……。

…………………………。














「はーいみなさん昨日の課題は考えてきましたか?

色んな答えがあると思います。

YES / NO 以外の答えだって構いません。

なぜならそれらは全て正解だからです。

……このカバーを外すまでは、ね。

黒猫は白猫になったし、黒猫のままだし、それ以外の何かなんです。

ではカバーを外してみましょう。




はい、ご覧の通り白猫になっていますね。」



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