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音芸神話
ここはいつ来ても騒がしい。
しかしその喧騒が私にとってはいい音楽だ。
順番待ち用の椅子に座る。
ふと隣のやつの携帯を覗き込む。
あまり褒められた行為ではないのはわかっているがしかし、
その画面に写る文字に私は吸い寄せられた。
「音芸神話」
音芸……音ゲーだろうか。
神話はなんだろう、よくわからない。
どこかの小説投稿サイトのようだ。
私はおもむろに自分の携帯を取り出す。
いつまでも他人の携帯を覗くのはやはりよろしくない。
そして私は検索する。
「音芸神話」と。