ベートーベン交響曲第5番ハ短調
・注意・
以下の条件に合う方は、この小説を見ずに去る事をお勧めします。
・バカップルが嫌いなお方。
・サムいセリフにサブイボが立つお方。
・そもそも恋愛物が好きでは無いお方。
・っていうかこれ恋愛物? と感づいたお方。
それ以外の方は、どうぞご覧ください。
時間を無駄にしても、一切の責任は取りません。
「きっとさ、世界っていうのは決められたレールみたいなのがあって、私達はその上を歩いているだけなんだよ」
「はい?」
昼休みの学食。
俺の彼女である、目の前に座る女は、割り箸を割りながらいきなりそんな事を言い出した。
「だけど私達はそんなもの見えないし、そのレールから無理矢理外れる事も出来ないし、外れたと思っていても実はまだレールの上だったりしてさ」
そう言って素うどんを啜る彼女。
俺はあまりのワケの分からなさに、少し奮発したカレーライスに手を付けられずにいる。
「そしてその人のレールは、至る所で交差していたりするんだよ。そうして人と人は出会うわけだね」
「……悪いけども、お前が何を言いたいのか俺には全く理解出来ない」
「だからさ」
彼女はうどんを食べる仕草を中断し、俺の目を見ながら言ってきた。
「きっと私達は、出会うべくして出会ったんだよ」
そう言って、彼女はニコリと笑って続ける。
「いわば運命ってやつかな? 運命の人。赤い糸。呼び方は色々あるけど、多分私にとって君は、そういう人なんだと思うよ」
……こいつは、また。相変わらずワケが分からない上に、恥ずかしい事を堂々と言ってくる。
どんな脳みそをしているのか、一度頭を割って見たいところだが、グロ系は苦手なので思い直す事にする。
代わりに、目の前の彼女を真似て、恥ずかしい事を言おうかと思い立った。
「……運命ねぇ。そんな大それたもんじゃねぇと思うぞ、俺は」
「それじゃあ何? 偶然?」
少しふてくされたような顔で、詰問してくる彼女。
「その割には、出来すぎてるだろ」
「じゃあ何よ」
「決まってんだろうが」
俺は笑みを浮かべて、言葉を連ねた。
「必然」
じゃじゃじゃじゃーんでお馴染みの、ベートーベンの運命ですが、運命というタイトルは日本でしか通じないそうです。
だからアメリカで、「マイ、フェイバリットミュージック、ディステニー」(英文法無視)と言ったところで通じないので気をつけてください。
そんなどうでも良い話。