朝は、また、来る。
いつの間にか眠ってしまったようで。
気がつくと、朝だった。
そして、目覚めはサイアクだった。
「.........。」
泣き明かして厚ぼったく腫れた瞼。カラカラに枯れてしまった声。
きちんとベッドで眠らなかったから、身体もますます重く感じる。
昨日帰ってきてそのままの服には、嫌な皺がついてしまった。
「とりあえず、シャワー...かな?」
左腕につけたままの時計を覗いて、出勤する時間までに十分な
余裕のあることを確認したあと、昨夜、ベッドの代わりをしてくれた
ソファからムクリと起き上がった。
モヤモヤした気持ちも一緒に流れて行ってしまえ!と、勢い良く
シャワーを頭からかぶる。
その温かい飛沫は、ほんの少し、嫌な気分を持ち去って
くれたようだ。
チームのみんなに、どんな顔して、逢えばイイ?
シャワーを浴びて、着替えた服を洗濯機に入れたあと、キッチンで
淹れたコーヒーをすすりながら、昨日、仕事を放ったまま帰ってきて
しまった自分に、今更ながら、後悔した。
「ちゃんと、謝らなくちゃ...。」
私は時計を見て、いつもより1時間近く早い時間に家を出た。
会社までは、電車で20分。
随分と早い時間帯なので、いつも乗る電車と違い、車内の空間に
余裕がある。
幾分振りに座席に座った私は、窓の外の朝の街を眺める。
窓から差し込む朝日が眩しくて、手をかざして目を細めながら、
ほぅと小さく溜息をついた。
いつもはあっという間の通勤時間が、今日はなんだか、とても
長く感じられる。
...気が重い。会社に行くのが、嫌だ。
「...って、小学校の子供かいっ...!」
窓に映る自分に向かって、小さく突っ込みをいれて苦笑した。
電車を降り、最寄りの駅から、徒歩5分。
やっぱり重い気持ちをずるずると引きずったまま、歩いてきた。
早い時間の営業課のフロアは、予想通り、まだ誰も出社して
いなかった。
私は、フロアの窓を開けて空気を入れ替え、給湯室で台拭きを
固く絞り、営業課全員の机を、1つ1つ拭いていく。
メンバーの机を手前から拭き上げ、最後にフロアの一番奥にある
課長席が残った。
『...俺のオンナになれ、春陽。』
机の前に足を進めたとたん、呪縛のようにその言葉が甦り、
そこから一歩も動けなくなる。
そして、心臓がザワザワと騒ぎ、身体が小さくカタカタ震えだす。
...ダメ、私。負けちゃ、ダメ。
大きく息を吸い込み、台拭きを持っている手に、グッと力を込める。
落ち着け、私。ダイジョウブ。大丈夫だから。
暫くゆっくりと深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着かせる。
何度も何度も繰り返すうちに、ざわめいていた心臓も、震えていた
身体も、日常通りを取り戻した。
時計を見ると、ここに着いてから30分以上も過ぎていた。
「さっさと拭いて、片付けちゃいましょ!」
そう呟いて、課長席の机を拭くべく、右足を一歩前へ、踏み出した。
昨日、累計PVが3,000を、累計ユニークが700を超えました。
想像以上のたくさんの方にご覧いただけて、本当に嬉しいです。
予想以上の数字に、顔が『にたぁ~』と溶けてます。
((*´▽`*)にたぁ~←こんな感じ?)
説い文章ですが、ご期待に適えるよう頑張りますので、
どうぞ、これからも宜しくお願い申し上げます。
(...とりあえず、もう少し、シリアス(?)が続きそうですが...)
また、ご意見・ご感想、誤字・脱字のご連絡もお待ちしております。
下さった方には精一杯の愛情を...(←え?いらない??(iДi))
それでは、そろそろ。
ここまでお付き合いくださったあなた様に、最上級の感謝を。
諒でした。