勇気と、革命。
...温かい...。
ぼんやりとした意識の中で、私は感じた。
ふわふわと私の頭を撫でる優しい掌。
耳元で、力強い鼓動が聴こえる。
「...ぅん。」
ゆっくり瞼を持ち上げると、そこは、会議室だった。
課長がソファに座り、私は彼の腕で囲われて、膝の上に乗せられていた。
「...ふゎっ?!」
その状況に、ぼんやりした意識もしっかり戻る。
「あぁ、気がついた?」
そう言って、私をそっと抱きしめる課長の顔を見た。
「本当にすまなかった...。」
眉間にしわを寄せ、薄く締まった口元が歪む。
憂いを滲ませた漆黒の瞳が、私を捉えて離さない。
私は、呼吸をすることすら忘れそうなくらい、その瞳に魅かれた。
「春陽...。もう一度言わせて欲しい。俺、君が、好きだ。」
射るような鋭くも真っ直ぐな視線に、胸が詰まるような切なさを覚える。
『私で、いいの?』
もう少しで声になりそうなのに、音になって出てこない。
黙ったままじっと見上げる私を、課長はもう一度そっと抱きしめた。
課長の鼓動がすぐ側で聴こえる。
その音に応えるように打つ、私の鼓動。
静けさの中居た堪れなくなって俯くように視線をはずすと、ひんやりと
冷たい親指でそっと頤をすくい上げられ、再び視線を合わせられる。
「春陽...。」
真っ直ぐに私を射抜く情熱的な瞳。
薄く整った唇から零れる、溶かされてしまいそうなくらい熱くて
甘い低音に、ゾクリと身体が震えた。
「...か...ちょ...?」
「俺じゃ、ダメか?」
眉間をグッと引き寄せ苦しげに表情を歪める課長を見て、
私は息を飲んだ。
なんて、表情、するの...?
「...ダメ...とかじゃ、なくて...。」
暫くの沈黙を置いて、私は漸く口を開いた。
でも、どう言えばいいかわからない。
このひとは、どんな結果も受け入れてくれるんだろうか?
困惑した視線の先で、課長はふわりと優しく微笑む。
...あぁ、いつもの微笑だ...。
この1ヶ月、私に向けてくれなかった笑顔。
見たくて焦がれた笑顔。
私の大好きな笑顔。
私の大好きな、男性...。
私は両掌を伸ばし、見上げた先にある頬を包んで、
そっと引き寄せた。
ゆっくりと近づいてくる、驚いたような課長の顔。
「ありがとう...。私も、あなたが、好きです...。」
私は消え入りそうな声でそう告げたあと、課長の唇に、自分の唇を
静かに重ねた。
...ねぇ。ちゃんと、聴こえた?
ようやっと、ココまで来れたっ!
ラストまで、あとひと踏ん張り、ガンバリマス。
できれば、勢いのあるうちにUPしたいデス(←え、願望?)
お時間が許せば、お立ち寄り下さいませ。
今日もここまでお付き合い下さったあなた様に、最上級の感謝を。
諒でした。