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『あの日』の告白。

 

 

「んもぅ、意地悪はイケナイんだな、ハルちゃん。今度やったら、お仕置きよっ?」

希望(のぞみ)先輩はそう言いながら、親指と人差し指で私の左頬をキュッとつまんだ。


「ふぁい、もうひまへん、ほめんなはい(はい、もうしません、ごめんなさい)。」

私は目にうっすら涙を浮かべ、必死で許しを請うた。

先輩はそんな私をみて、満足気に頷き、にこりと微笑んで右手を離した。


「...で、早川(アイツ)に、何をされたの?」

次に口を開いた瞬間、先輩の表情(かお)がスッと変わった。

「慎ちゃんがこんなに心配して、アタシに話す位だもの。『何でもない』はずが

ないわよね?」

真剣な眼差しが、私を捉えて離さない。

「...ヒトってね?誰かに話すだけで、気持ちが少し楽になることもあるのよ?」

声色は優しいのに、なぜか、ズキリと胸が痛む。

私はその視線と思いに耐えられなくなって、俯いた。


胸が詰まって、苦しくて、息ができない。

ふるふると弱々しく震える私の肩に、先輩はそっと手を置いた。


「...今から1ヶ月くらい前...。」

私は両手で顔を覆ったまま、重い口を開いた。



最後までどうにか話し終えると、嗚咽を抑えることができなかった。

苦しかったの。辛かったの。

どうしてなのか、わからなかったの。

どうしていいか、わからなかったの...。




泣きじゃくる私を、そっと優しく抱きしめて、先輩はポツリと言った。

「ハルちゃん、よく頑張ったね?辛かったでしょう?女のコにこんな思いを

させるなんて、早川はホントにひどい(ヤツ)ね?...でもね、庇うわけでは

ないけれど、アイツは今までこんなにひどいヤツじゃなかった。少なくとも

大学時代は。」

その声の哀しさに、私はゆっくりと顔を上げて先輩を見た。

「あの風貌(みてくれ)でしょう?大学の頃も、相当引く手数多(あまた)だった。

でも不器用でね...。それは今も変わらない。だけど、こんなに強引なこと

するようなオトコじゃなかったよ。女のコを傷つけるヤツじゃなかった。

どうしちゃったんだろうね、アイツ...。」

遠い目で哀しげにそう言って、笑った。


コン、コン、コン。

医務室の引き戸をノックする音が聞こえた。


「...ハルちゃん、いますか?」

小さいけれど、私の存在を確認する声が聴こえる。


希望先輩の手でカラリと開けられた引き戸の向こうに、泣きそうな顔をした

祥子ちゃんが立っていた。

「祥子ちゃん...。」

「どうしたの?祥子ちゃんまでそんな顔して?」

先輩が祥子ちゃんに声を掛ける。途端、彼女は声を上げて泣き出した。

「先輩、どうしよう...。課長と、伊藤さん、フロアで大喧嘩しちゃって、

2人とも出てっちゃったの!」

「え?」

「喧嘩?」

私と先輩は顔を見合わせた。

 

 


2人が喧嘩したときの状況を、祥子ちゃんは涙声で一生懸命話してくれた。


課長にお得意先のお客様があり、その対応中に伊藤さんが課長を呼び出したこと。

課長が伊藤さんと、応接室から離れた、奥の会議室で言い争いをしていたこと。

その声が、いつもの2人らしくないほど大きかったこと。

そして、会議室から何かがぶつかったような大きな物音が聞こえたこと。

直後に伊藤さんが会議室を飛び出していったこと。

少しおいて、課長が応接室に戻り、お客様が帰られたこと。

お見送りをした課長も、そのままどこかへ出てしまったこと。


私にはその状況が信じられなかった。

いつも冷静な伊藤さんや課長のそんな姿を、思い浮かべることすらできなかった。

「う〜ん、なんとなく状況は読めたけど。で、2人には、連絡ついたのかなぁ?」

「それが、2人とも、全然、携帯繋がらなくて...。」

祥子ちゃんは赤く腫れた目を(こす)りながら呟いた。

「あ、ダメよ、擦っちゃ。それにしても、社会人失格ね。」

先輩はとても冷静に祥子ちゃんの手を止め、はぁ〜と溜息をつき、呆れたように言った。

 

 

 



 

すみません...m(_ _;m

サブタイトル、イイ言葉が浮かびませんでした。

 

本日、もう1話続きます。

なんとなく、キリがいいかな...なんて思いまして。

お時間のある方、宜しければ、お付き合い下さい。 

 

                    諒でした。

 

 

 


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