05,テスト続き!
三太郎と美月は学校帰りの小学生たちを見張りながら商店街のパトロールを続けました。すると、商店街は自動車の通行は禁止されているのですが、自転車に乗った男の子たちの集団が猛スピードで走ってきました。小回りのきく小さなタイヤをあやつって器用に通行人たちをよけて走りますが、それにしても危ない! 一人が急ハンドルで人をよけると、後に続いて走ってきた男の子は突然目の前に現れた通行人にびっくりして本当にギリギリでよけて、それでもスピードを落とさずに走り続けました。
三太郎は眉をひそめて、
「こいつはちっとおしおきが必要だな」
と言いました。美月は待ってました!とステッキをかまえ、レベル3のボタン押して「えいっ! えいっ! えいっ!」とステッキをふっていきました。星がビュンビュン飛んでいって、少年たちの胸に命中しました。
ビュウッと木枯らしが吹き、飛んできた白い買い物袋が先頭を走っていた少年の顔におおいかぶさりました。少年は驚き、ハンドル操作をあやまって休憩用のベンチにぶつかって弾かれ、横倒しになる自転車からポーンと吹っ飛ばされました。後ろに続いて猛スピードで走っていた少年たちは慌てて急ブレーキをかけましたが倒れた自転車にぶつかり、次々ポーン、ポーン、と宙に吹っ飛ばされました。
「わあーーーーっ!!!」
と悲鳴を上げる少年たちは、ものすごいスピードで駆けていった三太郎に危機一髪、次々キャッチされていきました。三太郎がキャッチした5人をまとめてアスファルトの上に下ろしてやると少年たちは真っ青な顔で
「あ、ありがとう……」
とお礼を言いました。でも三太郎はものすごい大声で、
「こおの、バカヤロウどもおーーーーーーっ!!!!
こんなせめえ人の歩いているところでスピード出して自転車乗り回してんじゃねえっっっっ!!!!!」
と叱りつけました。少年たちはビクウッッッと震え上がると、あまりの怖さにギャーーーーッと大声を上げて泣き出しました。
「ふんっ」
三太郎は鼻息荒くふんぞり返ると、のっしのっしと歩き去りました。美月も怖い顔の三太郎が本気で怒ったものすごい怖さにビビリながらこそこそ後を追いかけました。
三太郎と美月は商店街を抜けてふつうの家が並ぶ通りを歩いていきました。
すると、小路(こうじ)の入り口で女の子たちが突っ立ってなにやらとげとげしい様子です。どうやら口げんかをしているようですが、向こうの一人に対してこちらは三人です。向こうの女の子は口をとがらせて、目に涙を浮かべて、こちらの女の子たちにののしられながらじいっと悔しそうにうつむいています。
「一人を三人がかりで攻撃するなんて許せない! ひどい悪い子たちだわ!」
美月はステッキのMAXボタンを押し、ふりかぶりました。
その手を三太郎の大きな手がつかみました。
「もういい。テストはここまでだ。帰るぞ」
美月は悪い子たちを前に不満です。
「あの子たちをおしおきしてから帰りましょう?」
三太郎は面倒くさそうに言いました。
「あんなのは放っておけ。さあ、帰るんだ」
と、三太郎は美月を軽々引きずって女の子たちから離れました。