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03,おしおきよ!

 翌日の午後、三太郎と美月は学校が終わる時間を見計らって小学校のまわりをぶらぶら歩きました。

「おまえが黒サンタに向いてるかどうかテストしてやる」

 三太郎は美月にアニメの魔法少女みたいなパステルカラーのファンシーなステッキを渡しました。

「マジカルステッキ黒サンタ仕様だ。1から3、MAXまで4段階でそれをふった相手に災難をふりかけることができる。例えばだ、ほれ、あそこにタバコを吸っている不良高校生がいる」

 なるほど、頭をリーゼントで固めて肩を怒らせた見るからに不良の高校生が往来をどうどうとタバコを吹かしながら歩いてきます。まるで昭和のギャグマンガに出てくるような分かりやす〜い不良ですが、下校する小学生たちは怖がって道のりょうわきによけていきます。

「ま、あんな小物、レベル2くらいでよかろう」

 美月は「2」のボタンを押しました。見た目はかわいいのにジャアーーン……とオルガンの不気味な音が出ました。

「あいつに向けてふってみろ」

「マジカルブラックシャワー!」

 えいっ!と美月は歩いてくる不良高校生向かってステッキをふりました。するとステッキの先から黒い星が飛び出して不良学生の胸に命中しました。

「あん? なんだあ?」

 不良学生は胸を手ではらってじろっと美月をにらみました。

「なんだてめえ、文句あんのかこらあ!」

 不良学生の怒った声に美月はビクッと震え上がりましたが、そのとなりの三太郎がギロッとにらむと不良学生もビクッと体を引き、

「な、なんだバカヤロ〜」

 と強がりましたが声がバカ殿みたいに震えていました。ウ〜ウ〜とサイレンを響かせて学校前の細い通りを大きな白バイが走ってきて不良学生の前で止まりました。

「往来での喫煙は市の条令で禁止されている。逮捕して保険センター喫煙健康被害教育プログラムへ連行する」

 不良学生は白バイのお巡りさんにガチャリと手錠をかけられ、びっくりした顔で白バイの後ろに乗っけられると、白バイはブロロロロンとエンジンを吹かして猛スピードで去っていきました。ひい〜〜〜、お助けえ〜〜〜〜〜……、と、不良学生の悲鳴があっと言う間に遠ざかっていきます。小学生たちはポカンとしてながめていましたが、ま、悪いお兄ちゃんが正義の白バイ隊員に連れて行かれたのでよかったよかったとうなずきあって仲良くおしゃべりしながら歩き出しました。

 美月は白バイの去っていった方を指さして三太郎にききました。

「あれでレベル2?」

「ま、あんなものだろう」

 と三太郎はうなずきました。

「手錠をはめて白バイに二人乗りって、思いっきり交通ルール違反のような気がするけど?」

「サンタのやるファンタジーだ。気にするな」

「ふうーん、サンタってすごい力があるのね」

「おっと、注意しておくぞ。俺たち黒サンタは影の存在だ。くれぐれも目立たないようにな」

「目立つなって……」

 小学生たちは見るからに怪しい黒ずくめのでこぼこ二人組を見てひそひそ話してます。

『あれって黒の組織じゃないか?』

『チビの方はきっと薬で子どもに変装してるんだぜ?』

『違うよ、ただのロシア人のジャパニメーションマニアだよ。ぷり◯ゅあのおもちゃ持ってるじゃん?』

 美月は目立つパステルカラーのステッキを持ってるのが急に恥ずかしくなって真っ赤になりました。ノリノリで呪文付きでふっちゃいました。美月は恥ずかしさを三太郎への文句にぶつけました。

「目立つなって言っておきながらこのステッキはないでしょう!? こんなのふったら思いっきり目立っちゃうじゃない!? せめて黒サンタらしく黒にしてよ!!」

 三太郎は美月を見下ろして平気で言いました。

「子どもがおもちゃで遊んでるみてえでいいじゃねえか? ちなみに呪文を唱えなくてもふるだけで魔法は発動するからな」

 美月は恥ずかしさでますます真っ赤になりました。

「ほれ行くぞ。今度はおまえが自分で悪い子を見つけて災難をふりかけてやるんだ」

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