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14,アタックチャンス!

「オリャ、タアッ、トリャアッ!」

 と、男の子たちはバトルをくり返し、コウタたち三人はどんどんレベルを上げていきました。男の子たちは夢中になっていましたが、迷路は果てしなく、食べ物はお菓子ばかりで、美味しいのですが、あきてしまいましたし、バトルに夢中の男の子たちもいいかげん疲れてしまいました。

「あ〜〜〜〜、も〜やんなっちゃった〜〜〜」

「お菓子じゃなくてカツ丼くいてえ〜〜〜」

「オレ、カレーライスう〜〜〜」

 と、だんだん歩くのがだらだらしてきて、文句が多くなってきました。ここに来てから……せいぜい4、5時間くらいでしょうか? 美月は腰に手を当て、とてもこいつらと100年いっしょになんていられないわね、と思いました。

 マサキくんがレーダーを見ながら言いました。

「この先にすごく大きい広場があるよ?」

 他の三人もレーダーを見て、

「ああそうだな。このエリアのボスキャラが待ってるんじゃねえか? ま、こっちはドラゴン大帝さえいれば楽勝だけどな」

 と、もうあんまりやる気がなさそうに言いました。

 その広場の入り口に近づいてくると、これまでのふつうの道の分かれ道とは違っていました。入り口に黒いバニーガールのお姉さんが立っていたのです。

「ハアーイ、みなさん、月のラビリンスは楽しんでくれていますかあ?」

 黒ウサギのお姉さんは金髪で青い瞳の、ボインで脚の長いナイスバディーです。男の子たちはみんな思わず真っ赤になりました。

「ここでビッグチャンスでえーす! ジャジャジャーーン! この先にラビリンス最強のラスボスが待ちかまえてまあす! この!、ラストボスを!、やっつけるとお!、ジャジャジャーーン! なーんと!ゴールまで直行のスーパージェットフライヤーに乗ることができまあすっ!!」

 なあーんだ、とコウタたちは安心しました。

「じゃあさっさとやっつけてゴールしようぜ? オレたちには最強のドラゴン帝王がいるんだもん、楽勝楽勝」

「チャレンジしますかあ?」

「もち。バトルするぜ!」

「それではどうぞお、頑張ってくださあい!」

 黒バニーに道を示されてコウタたちは通路に入っていきました。マサキくんも心配そうにしながら続きました。美月は黒バニーのお姉さんにききました。

「ねえ、ここってぜんぜんお客がいないんじゃなかったの?」

「今日はあなたたちの貸し切りよ?」

「ふうーん、そうなんだあ……」

 美月もマサキくんの後に続いて通路を歩きながら、100年かかるなんて、黒岩先生よくもだましたわね!と腹が立ちました。でもどうやらこれでゴールできそうで安心もしました。


 通路の先の広場は、これまでのただの広場と違って豪華なスタジアムになっていました。周りの階段状の客席には月のウサギたち……バニーガールのお姉さんたちが、何千人もヒューヒュー口笛を鳴らし、華やかな歓声を上げ、挑戦者の男の子たちをむかえました。

 スピーカーから入り口で案内したお姉さんの声が響きました。

『バニーズ・ア〜ンド・ジェントルボーイズ! ウェルカム・トウ・ザ・バトルスタジアム!

 ヒア! カミントウザ・モストパワフル・ストロング・クリーチャー・オブ・ザ・ワールド!

 バーバリアンキング・オブ・ザ・ラビリンス!

 ヒアカム! ザ・ジャイアント・ミノタウローーン!!!!』

 ワーー! キャーー!、とバニーお姉さんたちが騒ぎ、グラウンドの中央から巨大な黒いオリが現れ、同時に観客席の前に鋼鉄のさくが高々と上がっていきました。オリの中にいるモンスターを見て男の子たちはブルッと震えて青くなりました。今まで闘ってきたどのモンスターよりも巨大で凶暴そうな、大きなバッファローの頭にゴリラの体をしたモンスターが手足に鋼鉄の鎖のつながった輪をはめられていました。目を血走らせ口からだらだらよだれをたらして、思いっきり怒っているようです。

「じゃ、ジャイアント・ミノタウロンだって……」

「だ、だいじょうぶだよな? な、なんてったってオレたちにはドラゴン大帝がついてるんだもんな? な?」

「う、うん…………」

 ドラゴン大帝のマサキくんは青い顔で自信なさそうにうなずきました。

『レディーーーーー…、バトル!』

 ガラガラガラ、と大きな重い音を立ててモンスターの入れられたオリが下がっていきました。モンスターはきゅうくつなオリから手足を伸ばし、

「ウオオオオオオーーーーッッッ!!」

 とものすごい声で吠えると、腕を伸ばして戦士たちをつかまえようとしました。しかし床につながれた鎖が伸びきってギリギリで届きませんでした。それでも驚いて飛びのいた四人は

「あ、あっぶねえ〜〜…」

 と肝を冷やしました。

「こいつのリーチはここまでだ! 無理しないでビーム攻撃で化け物のライフを削っていくんだ!」

 四人はグラウンドの外側ギリギリのところを四方に散って炎、水、石、雷の技で遠くからモンスターを攻撃しました。攻撃がきいているのかどうか分かりませんが、モンスターは戦士たちをつかまえられずに怒って吠えまくりました。

 遠くから攻撃してばかりの四人に客席のバニーガールたちから「ブーブー」とブーイングがおきました。

 怒り狂うモンスターはブン!とバッファローの頭をふりました。すると毛が飛んで、数十本の太い針になって炎戦士コウタを襲いました。

「うわあっ!」

 ガガガガガンッ!とよろいを矢のような針に打たれてコウタは吹っ飛ばされ、客席の鋼鉄のさくに激突しました。ひどいダメージにヒットポイントが一気に半分下がりました。客席のバニーお姉さんたちはキャーキャー大喜びです。

 モンスターは巨大な体でジャンプするとふり上げた二つの拳を地面にたたきつけました。ドンッッッ!!!とものすごい衝撃波がグラウンド全体を下からつき上げて、4人の戦士は悲鳴を上げて宙に弾き上げられました。ヒットポイントのゲージが表示され、ぐんぐん下がっていき、これまで一度もダメージを受けなかったドラゴン大帝のマサキくんもはじめてゲージが現れ50もポイントが下がってしまいました。もっともドラゴン大帝のヒットポイントは5000もあるので平気ですが、他の三人は100ずつ下がって、しかも彼らは500くらいしかヒットポイントがありませんのでダメージは深刻です。先に針攻撃を受けたコウタはもう残り200を切ってしまいました。

 モンスターの衝撃波のあおりで座席から飛び上がったバニーお姉さんたちは激しいバトルに興奮してキャーキャー大喜びしています。やれー!やっつけちゃえーーっ!なんて大声でモンスターに声援を送っています。さすが黒バニーです。スピーカーからまたお姉さんの声がしました。

『あっあー、言い忘れてましたが、

 この特別ステージでヒットポイントがゼロになるとここまでのセーブポイントがすべて無効になり、経験値もゼロになり初期値で自動的にスタート地点にワープして、最初からやり直しになりま〜す。これはチームが勝ってもヒットポイントがゼロになった人は復活することなく、チームから脱落することになりますので、戦士の皆さん、仲間のことなんてとりあえずほうっといて、まずは自分が生き残るようにせいぜい頑張ってくださあ〜〜い!』

 四人はびっくりしました。通路でさくの後ろから観戦している美月もびっくりして思わず大声で抗議しました。

「そんなあーー! バトルが始まってからそんなこと言うなんて卑怯よおっ!!!」

 でもスタジアムは大盛り上がりで、美月の声などぜんぜん誰も聞いてません。

 モンスターはギロリとダメージを受けて弱っているコウタをにらみました。弱い者から先にやっつけてバトルから消してしまうつもりです。モンスターは肩をそらして腕を後ろにかまえると、ブンッッッ!、とものすごい勢いでコウタ向けてパンチをくり出しました。コウタまで拳は届きませんが、ものすごいパンチの衝撃が空気の大砲となってコウタを襲いました。ドッカーーン!と弾き飛ばされてコウタは

「うわああああっ」

 と悲鳴を上げました。

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