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12,コスプレ!

 コウタ、イチロウ、コマツの三人はでぃーえすゲーム機を持ってきていました。

「なんで夢の中にまで持ってきてんのよー?」

 と美月は文句を言いましたが、コウタは

「知らねーよ、ポケットに勝手に入っていたんだよ」

 と言いました。ちなみに美月以外の男の子たち全員はパジャマを着ていて、はだしです。月の表面はサラサラした砂で、はだしで歩いていてもぜんぜん痛くありません。

「あー、ちくしょう、疲れた。休もうぜ」

 もうどれくらい歩いたのでしょう、空の上の青い三日月の地球はぜんぜん変わらず、ここには時間を示す物は何もなく、これじゃあ1日たとうが2日たとうが、1週間たとうが1ヶ月たとうが、1年たとうが2年たとうが、10年たとうが100年たとうがまるで分かりません。しかもゴールの見えない迷路を歩き続けるのはとてつもなく退屈で、気ばかりイライラして、ものすごく時間が長く感じられます。

「やめだやめだ。休んで、ゲームやろうぜ?」

 コウタたちは壁に寄りかかって座りこみ、三人ででぃーえすを開いてゲームを始めようとしました。

「ちっくしょー、モンスターバトラーのデータ、どっかのインチキねーちゃんにぶっこわされちまったんだよなあ〜〜」

 コウタはいやみったらしく文句を言って美月をにらみ、ディスプレーでゲームを呼び出そうとしましたが、

「あれ? なんか知らねーのが入ってるぞ?」

 「MOONMAZEムーンメイズ」というスイッチが追加されていて、タッチすると、丸いわくの中に迷路が現れました。その真ん中の通路に濃い青い点と水色の点が二つ、灯っています。

「なあ、これって?」

 三人は顔を見合わせ、自分のでぃーえすを見せ合いました。

「やっぱここの迷路じゃねえか?」

「この先に広場があるみたいだぞ?」

「よし、たしかめようぜ?」

 三人は元気に立ち上がり、でぃーえすを見ながら走り出しました。

「待ちなさいよー」

 美月とマサキくんも後を追って走りました。

「あっ、広場だ! やっぱこの迷路が映ってるんだぜ?」

「すっげー、じゃあこれレーダーじゃん?」

「あっ、お菓子の木だ! でぃーえすのステーションもあるぞ!」

 男の子たちは大喜びで広場の中央にあるモミの木に駆け寄り、枝からチョコバーやこあらのまーちを取ってボリボリ食べ、ステーションにでぃーえすを通信接続しました。

「セーブしますか?だってさ。じゃ、先の迷路で迷ったらここに自動的に戻ってこられるってことかな?」

「コスチュームチェンジってのがあるぜ?」

 コウタがボタンをタッチすると、ビュンンン…、とかっこいい効果音が鳴ってパジャマからゲームのキャラクターのコスチュームに変身しました。

「あっ! やっりーー! 炎戦士レッドバロンだぜ!!」

 コウタは大喜びで腰から剣を抜いてシュッシュッと技をくり出すポーズを決めました。オレもオレもとイチロウとコマツもボタンにタッチして変身しました。

「オレは水戦士ソードフィッシャーだぜ!」

「オレは土戦士ダイハードブロッケンだぜ!」

 二人ともゲームのキャラになりきって大盛り上がりです。

「おもしろいぞこれ! この先ぜったいバトルするモンスターが出てくるんだぜ!?」

「よっしゃー! 燃えてきたあー!」

「よし、早く行ってモンスターやっつけて経験値上げようぜ!」

 オー!と三人は盛り上がって、左手に装着したでぃーえすレーダーを見ながら迷路の先へ飛び込んでいきました。

「こらー! 待ちなさいよー!!」

 美月とマサキくんは走って三人を追いかけました。

「なんなのよこれえ! なーんで夢の中まであいつらだけあんないい思いをしてるわけ!?」

 美月はカッカと怒り、マサキくんは走りながらがっかりした寂しい顔をしています。

「おっ、待て!」

 先頭を走るコウタがでぃーえすレーダーを見て立ち止まりました。

「この先の広場にでかい赤い点があるぞ?」

「ああ。きっとモンスターだぞ!」

「よし、気合い入れていこうぜ」

 三人は慎重に様子をうかがいながら広場へ入っていきました。野球の内野くらいの広さの丸い広場ですが、がらんとして何もありません。

「おかしいな、何もないぞ?」

「いや待て、下だ!」

 ゴゴゴゴゴ、と地面が鳴って、バリバリ地面を裂いて子どもたちの3倍も背がある怪獣が現れました。

「よろい獣ジライアンだ!?」

 怪獣は巨大なアルマジロみたいなやつで、凶暴そうな目と、とがった牙をして、しっぽの先にとげとげの鉄の玉をくっつけていました。男の子たちは顔を青くして震え上がりました。

「いきなりレベル25の強敵じゃん!? オレたちレベル3からのスタートだぞ!?」

「ちっくしょう、本当ならレベル33まで成長してたのにいっ」

 コウタたちは後ろから駆けてきて巨大モンスターにびっくりしている美月とマサキくんをうらめしそうににらみました。

「コウタ、やべえよ、こんなのに勝てっこねえよ、戻って別の道に行こうぜ?」

「ちくしょー…。いや、やろうぜ! どうせさっきセーブしたばっかじゃん? こいつで俺たちの強さを試してみようぜ?」

「うーーん、やるか?」

「よっしゃあ、行くぜ!」

 三人は武器をかまえてモンスターにバトルをいどんでいきました。

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