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【完結】キミと手を繋ぎたい。オリーブの香る島で。  作者: 咲山けんたろー
第3章 必ず会いに行く。恋の修学旅行編。
15/32

第15話 オレの修学旅行


 飛行機に揺られて、1時間20分。思ったより、早く着いた。というのが今の率直の感想である。




 着陸のアナウンスが機内に鳴り響き、オレ・翔月(かづき)たちは、即座にシートベルトを外す。




「お前らーー。集団行動だからなー。はぐれるじゃないぞーー。」




 奥村先生の言うことなんか、当然みんなフル無視。




 なんだって、オレらは今、憧れの東京にいるのだから。




 空から見下ろした景色をみた瞬間、オレらの興奮はさらに加速。海しかなかった殺風景な景色から一変、たった1時間20分待つだけ、たくさんの高層ビルがお出迎えしてくれるから。




 飛行機から降りると、オレは1歩、足を踏み出す。






 息をすーーっと吸う。







 ついに、初上陸だ。






 その空気でさえ、味わったことのない、神秘的な新しい味に感じた。







「なあ! 翔月!! 東京だなぁ!! すげえー…おれら、遂に着いたんだな。」




 飛行機で隣の席に座っていた田中が、オレのそばで呟く。




 空港の窓から見える初めての景色に、胸を躍らせる。




「ほんとにな! 写真撮ろうぜ!!」




 オレがそう言うと、田中だけではなく、次々とクラスメイトたちがカメラのなかに入り込んでくる。背後から、『え!? お前も入るん?』という声が聞こえてくる。




 人が多すぎて、逆に景色が隠れてしまっている。まあ、これも思い出の醍醐味か。








※ ※ ※



 ロビーに着くと、既に奥村先生は目印の前に立っていた。


 まだ空港なのに、相当な写真を撮ってしまった。『東京』というだけで、こんなにもハイテンションになれる自分が、ひどくおめでたいと思う。




 でも、空港だけでも高松とは全然違う。人の数はもちろん、ゲートの種類も、電光掲示板もまるで暗号のようだ。




 あと、みんなせかせかとしていて、歩くペースが異様に速い気がする。






「はーい、静かにしろ。トイレ行きたいやつは今行っておくようにー。これから観光バスで東京タワーまで向かう。」





 先生のその言葉で、生徒が話を遮って、大きな歓声をあげる。




 非日常な体験の連続で、生徒たちは話を聞く余裕なんてないのだ。







「キターーー!! 東京タワー!!」




「ねえ! 東京タワーだって! テレビで見た!」




「絶対映えるでしょ!!」






 彼らがそう口々に騒ぎ出すと、先生は静かにため息つく。




「お前ら……さっきから田舎モン全開だぞ…。こっちが恥ずかしいんだわ。」




「だってセンセー!!」




 オレも口々に言い返す。






「うるさい、波原。」




「えーーー!? オレ???」





 なぜか注意されたのはオレだけで、他の人はへらへら笑っている。先生もまた、笑っていた。





※ ※ ※



 バスで揺られること20分。


 噂で聞いていた通り、東京は交通量が異次元に多い。簡単には進まないし、車の量も大量だ。それに、難しい道も数多くあり、都会の人は、よくスムーズに運転できるなと思う。




 オレは、流れる景色すべてを写真に収めたいため、進むたびに連写をする。




「おい、翔月…カシャカシャうるせぇ……。窓側のおれの身にもなれ。」




 隣に座る田中は苦情している。それも無理はない。通路側のオレが窓側へ乗り出して、永遠に写真を取っているからだ。はっきり言って、邪魔なんだろう。




「ごめんごめん。でも、田中、もっと写真撮ったほうがいいよー? 次いつ行けるかわかんないし。」




「限度があるんだよ。何事も。」




 軽く彼にチョップされる。『痛っ』と声を漏らした。



 カメラで収めたギャラリーを見て、不意に笑みが溢れる。




 先程まで飛行機に乗っていたから、電波の関係でLINEが送れなかった。だが、もうバスなので安心してメッセージを送ることができる。







『やっほー! ひなこちゃん!!! 遂に東京初上陸!!! 』




『東京まじやべぇ!! ビルとかキラキラしてるお店いっぱいある!!! すごすぎ!!!』




『今から東京タワーいくよー!!』







 3件のメッセージを送ったあと、先程田中たちと撮った空港の写真、今撮った景色の写真を送信。




 合計5件の通知になってしまった。ハイテンションすぎたのが彼女にバレそうで、うれしいような、恥ずかしいような。





 ひなこちゃんとは、今日の午後に会えたら会うことになった。


 今日は平日だから、当然午前中には会えない。午後にはお台場で、班別自由行動。


 そこで、うまく皆にごまかして抜け出していく、という作戦。




 ただ、バスで景色を見ていて、道が地元と全く違うのでGoogleマップを見ないといけない。








 また―――会える。








 まさか、こんなに早く会えるなんて。









 早くひなこちゃんの顔を見たいよ。











 せっかく来てくれるんだから、精一杯の振る舞いをしないと。

















 この時のオレはまだ知らなかった。








 まさか、彼女に会う前に『あんなこと』が起こってしまうなんて―――。





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