エピローグ
数日後、環状道路は無事に開通した。
蒼の護衛任務も、そこで終わりを迎える。
その間の宿泊先は、例のホテルだった。
蒼たちは数日間そこに滞在し、紗彩との交流も続いていた。
今回の騒動の真相を知っているのは、支配人と紗彩だけ。
他のスタッフたちは本当の原因を知らないまま、騒動の起きた現場で僅かな不安を抱きながら業務を続けていた。
「今回のことで、ホテルは一旦規模を縮小しないといけないな。スタッフの数が足りない」
支配人はそう言い、予約数をピーク時の半分ほどに抑えていた。
「仕事が忙しい間は、騒動を忘れられるわ」
紗彩はそう言って微笑む。
心の奥には、まだ責任や罪悪感が残っている。
それでも――前を向こうとしていた。
そして、別れの時が来る。
「ママ。私たち、帰るわね」
「会えて嬉しかったわ。また遊びに来てね」
「えぇ。必ず」
紗羅と紗彩は、強く抱き合った。
離れていた時間を埋めるように。
「紗彩さん。中央街にも遊びに来てください」
蒼が言うと、紗彩は笑顔で頷く。
「えぇ。必ず遊びに行くわ」
二人は固く握手を交わした。
「紗羅ママ! また遊ぼうね! バイバイ!」
「ミチルちゃん。また遊びましょうね」
紗彩はミチルの頭を優しく撫でた。
三人はバスに乗り込み、窓を開ける。
バスがゆっくりと走り出した。
「ママーッ!」
紗羅が身を乗り出して叫ぶ。
「また! 絶対に会いに行くからねー!」
紗彩は涙ぐみながら、大きく手を振っていた。
紗彩の姿が、少しずつ小さくなっていく。
走り出したバスは、やがて街の景色の中へと消えていく。
それぞれの場所へ戻る魂たち。
それでも――
また会える。
この世界で生き続ける限り。
それが、魂楽界という世界なのだから。




