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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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18.動画配信④

 翌日。今日はビッチさんが商談で来る予定になってる。来るというか、実際は包帯他の件で呼びつけたんだけども。

 時刻は16時を回ったくらい。


「そろそろ駅に迎えの時間だ」


 ぼちぼち智が帰ってくる。ビッチさんに会いたいと言ってる子とそのズットモも一緒らしい。四街道ちゃんと柏ちゃんは外してもらった。


「ちょっと行ってくるね」


 定員4人の軽では乗り切らないのでハイエースで行く。運転は俺だ。

 10分ちょっとで駅のロータリーにつく。駅の改札に4人のJKがいるので待たせてしまったようだ。


「黒髪はいいとして金髪に銀髪とか、すごい学校だよなぁ」


 柏ちゃんも金髪だけどさ。

 迎えに気が付いた智を先頭に小走りで向かってくる。金髪銀髪ちゃんのスカートが極限まで短くて見えちゃわないか心配だ。


「ただいまー!」


 智が助手席に上ってきた。3人は後部の好きな場所に座ってもらう。


「あの、今日はありがとうございます。迎えまですみません」


 黒髪の子が丁寧にお辞儀をする。金銀の子は「「あざっーす」」と男子っぽい。女の子、だよね?


「どうも丁寧に。坂場守です。お飾りだけどギルド長やってます」

「守、鼻の下伸びてる」

「えー、伸びてないってば」

「のーびーてーるー」

「智、そこ耳だからそんなに引っ張らないでー」


 アイサツしただけなのに。

 ともかく出発だ。移動中に名前を聞いた。黒髪美人が寄居ちゃんで金髪ギャルが熊谷ちゃんで銀髪ギャルが浦和ちゃん。覚えるのも大変だ。

 寺の駐車場につけば、すでにビッチさんの車が止まってた。つくばナンバーの黒い高級ミニバンなので間違いない。ビッチさんの実家は筑波山のふもとにあるって聞いたし。


「もう来てるね」

「そそそそそそうなのですね。ききききんちょうしてきましたわ」


 寄居ちゃんの緊張が半端ない。歩く時も手と足が同時に前に出てる。ほほえましいけど大丈夫かなこの子。

 母屋の居間に入れば、ちゃぶ台を囲んで商談中だった。瀬奈さん京香さんとビッチさん信号機トリオ。瀬奈さんはワンピースのマタニティだけどビッチさんは体の線が出やすいマーメイドタイプの黒いマタニティだ。ふたりともナイスバディなのでエロイことなってしまっている。


「ふわぁぁぁぁぁああああ」


 寄居ちゃんが奇声を上げてぐらついた。


「おい美里」

「あっぶね」


 金銀ギャルが両脇から寄居ちゃんを支える。


「あら、その子がわたくしのファンちゃんなのかしら? もう少しで商談も終わるから、少々お待ちあそばせ」


 ビッチさんがやさしく微笑む。

 3人は商談が終わるまで部屋の隅に固まっていることに。俺は、この子らの飲み物の準備さ。


「はわわわわどうしましょうどうしましょう、ビューティ様がいらっしゃるわ。生ビューティー様です」

「美里落ち着け」

「せっかくの機会にテンパってちゃもったいねーぞ」

「だだだだだってだって!」


 台所にも聞こえてくる。冷たい麦茶とちょっとつまめるものをお盆の載せて戻ると、寄居ちゃんが正座してカチコチになってた。強火具合は柏ちゃんとどっこいかもしれない。


「これで今回の商談は完了となります。これはサービスです」

「……またこんなものを……ありがたくいただくわ」

「今後もご贔屓に」


 笑顔の京香さんがまた賄賂を渡してる。

今回の商談は綺麗な包帯と【キュア】の魔法書だ。綺麗な包帯を安く売ってほしい代わりに【キュア】を抱き合わせにする戦法だって教えてもらった。

 【キュア】の魔法書はすでに人数分以上をゲットしており、余剰が10個を超えた。運が良ければ1回で3個ほどゲットできるからね。今後も安定供給するために頑張るよ。

 なお、賄賂は【魔法書:カース】だ。

 あなたを信頼してますよ?と。半分は「裏切ったら知らんぞ?」という脅しらしい。うちのメイドさんは恐ろしい。


「さて、終わりましたけれど」


 ビッチさんが寄居ちゃんに顔を向ける。寄居ちゃんはビクッっと体を震わせるけど両隣の金銀ギャルに「ガンバレ」「やるしかねー」と励まされて口を開いた。


「あの、私『与力』です。その、スレでは大変お世話になっております!」

「与力さん!?」

「男じゃないんすか!?」

「マジで与力さん!?」


 寄居ちゃんが言い間違えたのかと思ったけどあっているらしく、信号機の3人がひどく驚いてる。


「『与力』さんがこんなかわいらしいお嬢さんだとは思いませんでしたが、貴女が『与力』さんだという証拠はありまして?」


 ビッチさんも驚いてたけど、冷静に問うた。


「どすこい。某が『与力』となったのは、ビューティ様がまだ上野と名乗っていらっしゃった時期。いつも一緒におられる信号機の騎士様に女性ファンがついたときに「よかったですわね」とほほ笑まれた後に少し寂しそうなお顔をされ、「あぁこの人を見護(みまも)らねば」と決意した小学生の夏でございます!」


 寄居ちゃんの、名乗りを上げるように、流ちょうに語られた内容に信号機トリオが「「「!!」」」という顔をした。

 てか小学生の時!?


「当時は剣で戦っている上野様があまりがうまくいかず悩んでいらっしゃったので、僭越ながら思い切ってプロレスをおすすめしたこともございました!」

「……『上野開眼事件』ですわね。わたくしが戦闘スタイルを変えたことで一気に花開いたきっかけですわね」

「どすこい! まだ上野様が駆け出しの頃の、ハンター証を忘れてたと思いきやおっぱいの谷間にあった事件で生まれて初めて鼻血が止まらなくなった思い出!」

「……『上野うっかり事件』ですわね……よく、わたくしが無名の小娘の時の逸話をまぁ……」


 ビッチさんはあきれたような口を聞いてるけど満面の笑顔だ。


「お嬢はな、相変わらずおっぱいにハンター証を挟んでは「ありませんわ!」ってやってるぜ」

「それっす。一昨日は母子手帳でやってたっすね」

「配信してないときに限ってやらかすからな、お嬢は」

「ちょっとあなたたち!」

「「「だがそんなお嬢がいいんだ!」」」

「なんとなんとなんと! ふぁぁぁぁぁ……目の前に天国が見えますわぁぁぁ」


 ビッチさんと信号機トリオのやりとりに寄居ちゃんが倒れた。JKがしちゃいけない顔をして幸せそうだ。やってることが柏ちゃんと一緒だぞ。


「美里、限界を超えちまった」

「死ぬまでには会いたいって毎日言ってたしな」


 金銀ギャルに起こされて「は!」と正気に戻った寄居ちゃん。


「ふふ、『与力』さんは本当に『与力』さんなのですわね」

「ごっつぁんです!」


 寄居ちゃんががばっと頭を下げた。


「あはは、ノータイムでそのリアクションは本物だ」

「最古参のコテハンがこんな美人ちゃんだったとは、思いもつかないっすね」

「いや、俺らもまさか『与力』さんに会えるとは思ってもみなかったぜ」


 信号機トリオも楽しそうだ。

 見かけによらないもんだなと寄居ちゃんをしげしげとみているとわき腹をつねられた。


「守、寄居は美人だけど彼氏がいるからね」

「いやいや、人には歴史ありって言葉は本当だなって感心してるとこなんだけど?ってイタタタ」


 言い訳は聞きませんって感じでむぎゅぎゅってつねられた。仕方ない。智を抱っこしてももの上に座らせる。「むー」と口に出してるけど機嫌は悪くない様子。こんなとこも可愛いんだけどね。お風呂だったらイチャコラしてるとこだ。


「佐倉はすげーやきもち焼きだってうわさを聞いてたけど、実際に見ると本物だってなったな」

「男に騙されてるとかぜってー嘘だ。騙すほうだろ」


 金銀ギャルに言われてるけど、本人はツーンとしてる。


「智、開き直ったでしょ」

「事実は事実として認めることにしたの」

「それを開き直りって言うんじゃ?」


 なんてじゃれてたら「ダンジョンでお姫様抱っこなんてしてと思っていましたら、日常的にいちゃついてるからですのね」とビッチさんに突っ込まれてしまった。

 そんな時に京香さんのスマホが鳴った。


「はい、柏どうした? うん、うん。わかった。今からそっちに行く」


 何かのっぴきならないことが起きたっぽい。

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