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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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11.成仏の日③

区切りの都合で短いです

 母屋に戻って父さんに顛末を説明する。


「なるほど、だいぶ困難な状況なのですな。当寺でよければ、輪廻に戻られるその日まで、この世を見直すのも良いかと思いますぞ」

「かたじけない住職殿。世話になります」


 長篠さんは胡座から正座に直り深々と頭を下げた。体が全くぶれず、所作に美しさもある。時代劇のサムライみたいだ。武者だしなおさらね。


(わたくし)、長篠の叔父の市川と申します。長篠をよろしくお願い申し上げます」


 殺し屋も見事な所作で礼をした。くそ、俺なんかより人間的レベルが高いぞ?

 見習ってやる。


「しがない鍛冶屋をやってる。入り用があれば用意立てしよう」


 殺し屋もとい市川さんは名刺を置いて帰った。仕事が溜まってるらしい。もっと長篠さんと話をしたそうな顔をしてたな。死んだ親類と話をする機会に恵まれたら、そうなるよな。


「アタシも忙しいからこれでお暇するけど、小湊、報告書は忘れるんじゃないよ?」

「はい、わかってます」


 大多喜さんも帰路に着く。というか、みなこれから仕事だ。


「大多喜副ギルド長、私の苗字も変わりますので、今後は名前で呼んでください」

「あぁそうだったねぇ、勝浦もそうか」

「はーいママ! よろしくねー!」

「え……あ……その」


 智ちゃんが自分も言うのかともじもじしてるの可愛いなぁ。


「守、父さんは法要にいくってくる。夕飯はそこでごちそうになるから。任せたぞ」

「任されたよ。気をつけて」

「あぁ、山城さんからおはぎをいただいた。皆で食べなさい。ではな」


 父さんは軽トラで出かけて行った。帰りは代行かもしれないな。

 母屋にいるのは、俺といつもの5人に長篠さんだ。今のままだと兜が邪魔なのでサイズを小学生くらいにしてもらってる。兜の額についてる立物というもの小さくなるんだ。理由は知らんけど、そうなんだよ。


「改めて長篠零士だ。零士と呼んでくれ。享年30歳。死んだ当時はレベル27、熟練度5だった」


 小学生くらいのショタになった零士くんがキリッと決め顔で言う。小さくなると顔も幼くなるんだ。魔物って不思議。

 にしても5年前でハンターランクは135ってのは相当強かったんだろう。


「……可愛い」

「合法ショタ」


 おい、誰だ、心の声を言っちゃった奴。でも、零士くんは動じない。というか、自分のことを言われている自覚はなさそう。


「坂場守です。守と呼んでください。お飾りですがここのギルド長やってます」

「勝浦瀬奈でーす。もうすぐ守くんのお嫁さんなりまーす。主に船橋との連絡とか段取りとかしてまーす」

「小湊京香。同じくもう少しで守君のお嫁さん。事務知識情報面で守君をサポート」

「佐倉智美です。えと、先輩たちと同じく、その、守おにーさんのお嫁さん予定です。主に早朝の掃除を一緒にやってます」

「四街道美奈子です。佐倉の同級生で、このダンジョンの専属ハンターみたいな感じです」

「柏葉子、トモっちのズットモ。パイセン推し。ヨロシク」


 さっくりだけど自己紹介完了だ。


「おい、嫁が3人いる上にひとりは高校生ってのはどういうことだ?」


 ショタが眉根を寄せている。この状態の零士くんをみたら市川さんはどう思うだろう。アレな性癖に目覚めてしまうかも?

 おっと答えないと。


「それは私から説明します」


 京香さんが小さく手を挙げる。頼りになるお姉さんに任せよう。


「先日、有能なスキルを持つハンターにのみ3人の重婚が認められました」

「おいおい、誰だそんな馬鹿なことを言いだした奴は」

「入手した情報によると、ハンターでもない政治家やインフルエンサー、芸能人、スポーツ選手からの要望らしいです。リアルハーレムが欲しいとか」

「アホか……」

「守君に関しては唯一無二世界最強のスキルのなので、悪い女が来る前に私たちで枠を埋めました」

「……賢明だな。守のスキルは可能なら伏せておいた方が良い。嬢ちゃんたちはそれはわかった上なんだろう?」

「もちろーん!」

「勿論です」

「もももももちろん!」


 即答ありがとうございます。恥ずかしいけど嬉しい。


「で、俺はどうすればいい?」

「寝泊まりは母屋ですね。部屋は後で案内します。隣の家は女子用になっているので基本男子禁制です。食事は全員で母屋で。作るのは俺。ダンジョン()()は早朝にやってるので、零士さんは日中ないし夕方にお願いしたいです」

「どんなことをやるんだか見たいから明日朝はついていくぞ」


 こんな感じで、零士くんが仲間になった。

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