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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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47.多賀城親子が来た①

 智らの卒業式から二日後の午後。朝から曇りで肌寒い。せっかくの桜のつぼみが不貞寝しちゃいそうだよ。

 卒業式後は訪れるハンターも減って余裕ができた。寮の食堂でまったりしてたら京香さんが母屋から歩いてきた。今日も麗しい、お腹が大きくなったメイドさんだ。


「瀬奈先輩からメールです。大網駅に着いてタクシーで向かうとのこと」

「あれ、迎えに行こうかと思ってたんだけど」

「今日は智がいないですから、気を利かせたのかと」


 なるほど。

 智たち市船の卒業生は船橋ダンジョンに行ってる。2階以降に行けるようになったからどんな感じなのか調べに行ってるんだ。


「多賀城親子の荷物が届くのは明日です。着替えは持ってきているので問題はないでしょう」

「そんなにないって言ってたね」


 お金がないから物がないって瀬奈さんから聞いてる。


「じゃあ父さんを呼んでくる。幼稚園で入園式の準備中だったはずだな」


 それから20分くらいで瀬奈さんと多賀城親子が到着した。


「ただいまーもるくーん」


 スーツケースを放り投げた瀬奈さんの突進を食らった。とうぜんがっちり受け止めるさ。


「妊婦さんなんだから慎重にー」

「すーはーすーはー。守くん成分がたりないのよー。すーはー」

「俺は猫ですか?」


 いいけど。逆にクンカクンカしちゃうぞ?


「頑張ったから今晩は甘えるわよー」

「瀬奈さんは頑張りました。よしよし」


 瀬奈さんが抱き着いてきたのでよしよしする。臨月に近いのに遠方に行ってもらったんだ、後でたらふく甘やかそう。


「兄貴は相変わらずラブラブだぜ」


 多賀城ちゃんに言われちゃった。


「遠方からようこそおいでくださった。ささ席にどうぞ」


 父さんがスマートにふたりを席に誘ってる。出遅れた。おっとお茶を出さねば。

 テーブルには、俺、父さん、瀬奈さん、京香さん、多賀城ちゃんとそのお母さんが座る。今日はAチームもポニーも来てないので食堂も静かだ。


「先日はどうも、坂場守です。獄楽寺ギルド長とクラン長をやってます。あと家事全般ですね」

「守の父で獄楽寺の住職をやっております坂場司と申します。併設している幼稚園の園長もやっておりますな」

「守君の妻のひとりでギルド職員の小湊京香です。そろそろ坂場に苗字が変わります」

「はーい、おなじく守くんの奥さんで勝浦瀬奈でーす」


 自己紹介していくけど、瀬奈さんはやってるでしょうに。


「オレは多賀城京子だぜ! かーちゃんは涼子っていうんだぜ!」


 へへんと鼻の下を指でこすって自慢げな多賀城ちゃん。君もね。


「京子の母の涼子です。京子が大変お世話になりまして、感謝の言葉もございません」


 多賀城ちゃんのお母さんの涼子さんがテーブルに額をつけんばかり頭を下げた。


「訪ねてきたのは多賀城ちゃんですが手伝いをお願いしたのはこちらですので」


 実際は返しちゃダメだって意見で一致したからだけど言う必要はないね。解決したんだからさ。

 でも涼子さんは緊張気味で顔が硬い。


「むぐむぐ、佐倉はいねーの?」


 お茶請けの牡丹餅をもぐもぐしてる多賀城ちゃんに聞かれた。すっかりうちの子だ。お母さんに「行儀が悪い」って叱られてるけど、効いてないね。


「智は同期のみんなと船橋ダンジョンの2階を見学しに行ってていないんだ」


 「なんだよー」と残念がる多賀城ちゃんだけど、夕方には帰ってくるよと伝えると「かーちゃんを紹介するんだ!」と嬉しそう。そんな多賀城ちゃんを見る涼子さんの表情も緩んだ気がする。

 多賀城親子の呼び方だけど柏家と同じで名前で呼ぶことにした。今後は京子ちゃんと涼子さん。

 京香に京子。京子に涼子。さらには葉子とやたら似てるけど仕方ないよね。


「まず説明をさせていただいて、施設の案内の予定です」


 ということで京香さんから説明だ。


「こちらから涼子さんにお願いしたいことは、守君の補佐です。守君はハンターであり、ギルド長、クランの長、寺、幼稚園の手伝い家事全般と多忙です。それに加えてダンジョンで苦しんでいる人も助けに出張もします。涼子さんにはギルド、クランの事務処理や地域の住民との折衝、守君の家事の手伝いもお願いしたく」

「えっと、つまりお手伝いさんって事かい?」

「広義ではそうかもしれませんが、総務的業務とお考え下さい。ギルドに就職していただき、ギルドから給料を支払う形になります。クランですが、できれば京子もクランに入っていただければと思っています。そうすれば彼女の立場と収入が安定します」


 京香さんが例として自分の契約内容と給与明細を見せてる。結構な金額提示に涼子さんが目を丸くしてる。


「こ、こんなにもらっていいのかい?」


 涼子さんが俺と父さんを交互に見る。


「ギルドのことはよくわかりませんが、提示された内容で問題ないと思いますぞ」

「ギルド長としても異論はないですよ。忙しさに波はあるけど忙しいときはすごいから」


 なんやかんや、主に俺のせいで忙しくなる時が多いからそれに見合う給料は必要でしょ。


「それと京子ですが」

「うちのダンジョンは特殊で京子ちゃんはすごく活躍できるから、ぜひうちに来てほしい。そうすればより安全にダンジョンの管理ができる」


 思わず多賀城ちゃんの手を握っちゃった。うちに来た時よりも肉がついててふっくらしてきた。良き良き。


「兄貴、オレはいいけど佐倉が見たら『浮気だー!』って怒るぞ?」

「守君、浮気は厳禁です。今までも体に染み込ませているのですが。守君の身持ちはいいのにナチュラルに女を口説くのは妻として困りものです」


 京子ちゃんと京香さんにジト目で見られてる。瀬奈さんにも手の甲をつねられた。地味に痛い。


「兄貴はすぐに女の手を取って口説くからなぁ」

「口説いてるつもりはないんだけどー」


 はやる気持ちが出ちゃってるだけだよ、きっと。

 「北国分さんもそうでしたね」と京香さんにグサッと刺された。ハイソウデシタネ。


「守君は天然で口説くので京子も気を付けてください。身を任せても安全な人でもありますが」

「佐倉と敵対するなんてオレはイヤだぜ! 勝てる気がしねえ」


 京子ちゃんが腕でバッテンをつくる。

 どうやら俺が悪者のようだ。話題を変えねば。

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