43.札幌ダンジョンと四街道の課題⑥
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
「とまらなーい!」
「智、どうしたの!?」
「ドウシター」
佐倉の様子がおかしいからか、四街道と柏が駆け寄る。
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
「ドロップ品が止まらないのー」
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
佐倉の足元には夥しい数のラビットフットが落ちている。いいことだと思うが増えていくスピードが問題だった。四街道と柏が眺めている間もどんどん増えていく。
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
【盗品:ラビットフット×1】
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「トモ、そいつを離セバ?」
「あ、そっか!」
佐倉はえいっと気合一発、雪ウサギを放り投げた。空高く上がった雪ウサギは放物線を描きながら雪原に墜落。そして魔石になった。落下の衝撃で倒してしまったようだ。
「やっちまったー」
佐倉は足元のラビットフットを見てそう言うしかなかった。
「大漁ダナ」
ニハハと笑う柏の言葉がグサッと刺さった。
「大丈夫ー?」
ジモティ6人が雪を跳ね上げて駆けてくる。そして佐倉の足元に転がる大量のラビットフットを見て絶句した。
「はーーーーー。もう疲れた」
佐倉たちはダンジョンを出て待合場に戻ってきた。目立たないようにすみっこの席についてぐったりしている。
ラビットフットを数えた結果、132個あった。口封じに6人にはひとり一個を押し付けた。渡すと同時に「他言無用よ」と圧をかけた佐倉の迫力に。6人はコクコクと頷くのみだ。
残り126個のうち3つは自分たちが持った。守たちに分けたとしても100個以上は残る。ここで売ると間違いなく騒ぎになるので持ち帰ることにした。だってレアものだし1個50万円が本当であれば合計5000万円を超えるし。身の危険さえある。リュックに詰め込んで隠している。
「あのスキルを覚えるって言ったのはあたしだけどさー。こうなるとは思ってもないじゃん?」
愚痴である。
「【盗人】っていうか【カツアゲ】よね」
「ぐはっ」
四街道の言う通りである。まさに『体を持ち上げてチャリンチャリーン』だった。
「そもそも魔物を捕まえようとしなければよかったんじゃない?」
「ぐぅ、正論でお腹が痛い」
佐倉は胃に痛みを感じる。ストレスってこうなのね、と身をもって知った。
「お土産と思えばいージャン」
「そっちに切り替えたほうが気が楽ねー」
そうしよう。開き直れば頭もすっきりである。
今の時間はまだ午前11時。撤収するには早すぎる。だがもう一度ダンジョンに入るには気力が萎えてしまった。
「あの、よかったら高校に来ない?」
声をかけてきたのは名寄だ。見るに見かねての提案だろう。せっかく札幌に来たのにつまらない思い出を持ち帰ってほしくない。
「いくいくー」
佐倉は元気よく答える。気分転換と交流だ、と理由付けた。
「智は楽しんでるかなー」
なんて現実逃避をしたいくらい忙しい。市船の生徒が帰ったら今度は日比谷の生徒が来た。俺が知ってるのは三島ちゃんと由比ヶ浜君だけで後は「初めまして」が20人ほどいる。
日比谷高校ハンターコースの生徒は全員で40名だけど約半数は船橋へ行ってくれてる。あそこはコケケケが大繁殖してるから高校生でも元が取れるようになったらしい。2泊3日で交代するみたいだけど。
「多賀城ちゃん、タオルはあっち!」
「よっしゃーオレにまかせとけー!」
「そして俺は夕食の仕込みだ!」
船橋ではドロップした鶏肉を買い取る焼き鳥屋も出てきたと聞いた。そのバックには大多喜さんがいるとの噂も。あの人も悪くはないけど黒いよな。
「「「「ただいまー……」」」」
「あー、いいところに!」
ポニーの4人が池袋から帰って(?)来た。お手伝いを頼める!
でも、遊びも含めて1週間くらいいるって聞いてたんだけど、まだ数日しか経ってない。
「あそこはだめだわ」
「虫がね」
「ってか大きさが」
「もう行かない……」
敗残兵のごとくうなだれてる。敗残兵を知らないけどイメージってやつよ。
「あらあらお疲れねー。ママが話を聞くわよー」
瀬奈さんが彼女たちを食堂に誘導するのでお茶菓子をだす。愚痴を聞くのも大人の役目。
「カブトムシが」
「大きいのはまだしも」
「飛ぶんです」
「……Gにしか見えなくて」
4人が湯呑を持ちながら「はぁぁ」とため息をついてる。虫が嫌いな太田ちゃんなんか半ベソだ。
「黄金騎士団の女の人は良く平気だなーって」
「飛んでくるでかいカブトムシもざっくり剣で斬ってたし」
「わたしらにはちょっとね」
「ゴブリンがかわいく見えたぁぁぁぁ」
4人の愚痴を聞きながら瀬奈さんも苦笑いだ。魔物でなくとも虫が苦手な人は多いし、責められないよね。
「人には得手不得手があるからねー、合うダンジョンへ行けばいいのよー。4人とも頑張りました!」
瀬奈さんが4人を順にイイコイイコすると、「ママー」と4人に抱き着かれてた。
「あの、あの金髪の子は……」
背後から話しかけられて振り向いたら三島ちゃんだった。今日はおさげにしてて純朴な女の子になってる。
前は来た時には多賀城ちゃんはいなかったし、働いてるからバイトに見えたのかも。
「あの子は仙台第一から来た多賀城ちゃんで、三島ちゃんと同じ【祈り】スキルの子」
「仙台!」
「後で紹介するから」
「はいッ!」
三島ちゃんはニッコリ笑顔でパタパタと由比ヶ浜君のとこへ駆けて行った。報告しに行ったっぽいね。
「【祈り】持ち……」
「あの子も佐倉みたいになるの?」
ポニーの4人がぼそぼそ話してる。もう復活したようだけど、聞いてたな。4人にも紹介しないとね。
「守君、札幌ギルドから、智が待合場でテーブルに伏せてったと連絡がきました。札幌東高校の生徒といたので何かあったのかもしれません」
今日も麗しいメイド服の京香がしずしずやってくる。今日はどこも忙しいね。
「いまも伏せってる?」
「いえ、すぐに札幌東の生徒と出かけたようです」
「トラブってなきゃいいけど。いま聞くのもあれだから夜に聞くよ」
「日比谷の件でビッチさんから承諾の連絡がきました。それと新たにダンジョン買取の打診も」
「えっと、洗濯が終わったら話を聞く!」
あちこち忙しい!




