34.後始末②
「スタンピードで管理されている一家が亡くなられたいわきダンジョンも、息子さんの大けがで管理する心が折れてしまわれた備後ダンジョンも、うちが預かりました。ダンジョンを無くしてほしいって嘆願もいくつか来てます。ギルド長や唐津組のパワハラで職員が自殺してしまったここも潰しました。ほかに同じようなギルドがあるようなので、放置するならすべて潰しますよ、と国に通告もしました。やることはやってるんででかい口叩いてます」
マッシブハンターは黙ったままだ。何かしゃべってほしいんだけどなぁ。
「そーゆーことなので、貴殿も頑張ってください」
ぺこりと頭を下げる。
職員さんの応援をしないと。
「守! そもそも勝負してたんでしょ? それはどーすんの?」
職員さんの応援をと思ってカウンターに行ったら智にそんなことを言われた。
「そうだった。踏破が目的になっちゃってたから」
「で、なにか出たの?」
「色々出たけど、俺じゃ名前は判明するけど何に使えるのかわからなくってさー」
「そーねー。えっと、おねーさん、鑑定を頼んでもいい? 対価は払いますから!」
智がカウンターの隅っこにいる女性に声をかけた。くせっけで、少し猫背で、瀬奈さんよりも年上っぽく見える女性だ。
「わわわわわたしですかかか?」
女性は汗が飛び散りそうなくらい驚いてる。でも智がわざわざご指名してるんだ、何かあるんでしょ。
「大量にあるけど、お願いできるかな」
にっこりスマイルでお願いする。「ひぇ」って怯えられてしまった。俺のスマイルではだめか。
顔か?
やはり顔なのか?
そうですか……
「守、あんたが脅してどーすんのよ!」
「脅したつもりはなくって……土下座すれば許してもらえそう?」
俺の土下座なんて綿ぼうしよりも軽いんだ。いくらでもするぜ。
「ああああの土下座なんてしなくていいですううううう!」
「じゃあ、その、鑑定をお願いしたく。ひとつあたりおいくら万円なんでしょう?」
かなりあるんだよな。
えっと確認しよう。
最終リザルト。
【オオトカゲの魔石×57】
【毒蛇の魔石×21】
【ランドドラゴンの魔石×12】
【ランドドラゴンハム×600kg】
【ランドドラゴンの甲羅×12トン】
【ワイバーンの魔石×107】
【ワイバーンの肉×53キロ】
【ワイバーンの皮×107】
【飛翔の魔法書×10】
【リザードマンの魔石×534】
【リザードマンの鱗×267キロ】
【リザードマンの槍×534】
【エキドナの魔石×8】
【ヒールの魔法書×8】
【自己治癒のスキル書×7】
【ケルベロスの魔石×85】
【炎の息吹のスキル書×16】
【オルトロスの魔石×140】
【ポーション×140】
【ブルードラゴンの魔石×35】
【フリーズスパイラルのスキル書×3】
【ブルードラゴンの鱗×35キロ】
【竜骨×35】
【レッドドラゴンの魔石×21】
【フレアスパイラルのスキル書×1】
【レッドドラゴンの鱗×21キロ】
【竜骨×19】
【ツインヘッドドラゴンの魔石×1】
【シャイニングブレスのスキル書×1】
【ダークネスブレスのスキル書×1】
【竜骨+×1】
【ツインヘッドドラゴンの鱗×1キロ】
【日比谷ダンジョンマスターのスキル書×1】
いや多いな(汗)
出せないのもあるし。
「魔石は別にするとして、まずは10階のボスと20階のボスのドロップ品から」
ランドドラゴンでゲットしたハムと甲羅、エキドナでゲットしたヒールの魔法書と炎の息吹のスキル書とポーションを出す。ケルべロスとオルトロスのもだね。
ドンドンと甲羅を重ねたら崩れちゃってドドドって床が揺れちゃった。サーセン。
「……多いわね」
「多いって言ったよ? これでもまだ一部だけどさ」
「まだあるの? っていうかダンジョンボスって何だったの?」
「ドロップ品から分かったけど、ツインヘッドドラゴンだって」
「強かった?」
「ブレスに当たったら消滅しそうな気配はあった」
零士くんですら溶けてるしね。
「あ………」
鑑定をお願いした女性がドロップ品の山を見て固まってる。待合場にいるハンターも職員もみんな見てるね。
「ごめんね、まだこれの倍くらいあるから」
「す、すごい! これ、ランドドラゴンの甲羅ですよね! こっちは【ヒール】の魔法書!?」
「魔法書はエキドナからドロップしたやつだね」
【自己治癒】のスキル書はやばそうだから出してない。
「エ、エキドナからのドロップですか!? 日本では初めてじゃないですか? ってこれはランドドラゴンのハム! これ高級すぎて庶民の口には入らないやつ! これは【炎の息吹】のスキル書! ケルベロスのドロップ品!? ケルべロスにドロップ品ってあったの!? すごいすごい!」
この人、なんかすごい食いついてきた。でも鑑定してる姿は楽しそう。
よーし、もっと出しちゃうぞー。
「じゃあリザードマンとワイバーンとレッドドラゴンとブルードラゴンのも出しちゃいましょう」
リザードマンの鱗と槍。ワイバーンの肉と皮に【飛翔】の魔法書。ドラゴンの鱗と竜骨にブレスのスキル書を出していく。
ドロップ品の量が多いので山がもうふたつできた。
「ワイバーンの肉! キロ10万円の超高級お肉! 高級バッグに使われる皮もこんなに! 【飛翔】の魔法書!? え、何それ知らない! ブルードラゴンとレッドドラゴンで鱗の効果が違うの! 竜骨ってなにこれ!? 鉄に混ぜるの? こっちは、また違うブレスのスキル書!? ブレスってそんなに種類があるの?」
女性は目をキラキラさせながら鑑定していく。時折両手を広げてヒャッハーもしてる。
知らなくても鑑定はできるっぽい。スキルだし、不明な点はあるよね。
「守、まだあるの?」
「ダンジョンボスのドロップ品を出してない」
「出したらヤバいやつってある?」
「ある。いまも出してない」
智と小声でこしょこしょ話す。【日比谷ダンジョンマスター】のスキル書なんて出せない。
「ダンジョンボスのツインヘッドドラゴンの魔石と鱗と竜骨です」
ブレスも隠そう。あれはヤバい。
「ダダダンジョンボスゥゥゥ!!」
「踏破したからね」
「ふわぁぁぁぁ」
鑑定さんが仰向けに倒れちゃった。




