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-不法侵入と怪しい影-10P
コルグラーダ……。角の生えたうさぎの耳を掴み、僕たちに見せ、
「ただのうさぎもどきだな」
そう一言。
「コルグラーダってこんなところにも生息しているのね」
そう言いながら、危機感が薄いのか、ヘレナはコルグラーダの武器でもある脚に触れる。
コルグラーダはカルマンが僕たちに見せる前に素手で触って殺したのか、それとも死にかけていたのかは解らないけど、微動だにせず、瞳にも光が灯っていなかった。
僕はただのコルグラーダか、良かった。そう安堵しかけた。
だけど──。
「オマエ、ホカノフタリトハチガウ……ソノタマシイ……クワセロ」
気配なんてなにも感じなかった。なにかがいる気配も、足音さえも聞こえなかった。
いや