-不法侵入と怪しい影-9P
体力が可笑しい二人を前に、僕の発言なんてもみ消される。
休憩しようの一言もなく、僕は延々と歩かされ続けた。
はぁ──。ここにルフーラかクルトが居てくれれば……。そんなもしもを考えても無意味なのに、そんなタラレバを願わずにはいられなかった。
そんな感じで疲れたー。なんて言いながらも歩き始めて多分、一時間以上は経っていると思う頃、急に茶畑の一部が風も吹いていないのに激しく揺れ始める。
もう太陽は沈み、普段と同じ白い月の光を頼らなきゃいけないほど暗くなっているから、なにがいるのかは判らない。
ただガサガサという音と、揺れているということしか判らない。
「……なんだと思う?」
「さぁ? │カルマン《あなた》見て来なさいよ」
「別に良いが、また│リーウィン《こいつ》の腕をへし折るなよ」
カルマンは、ヘレナをからかうような態度をみせたあと、怯えることなく揺れる茶の木へと近づいていく。
ヘレナは
「なによあの態度! ほっんとムカつくんだから!」
なんて文句を吐き散らしていたけど、僕はなにも居ませんように。そんな祈りを捧げた。
数秒後カルマンは、メテオリットのように心臓部に赤く吐出した核をもつ