16歳の誕生日-5P
「(ギクッ)まっ、まっさかぁ〜! そんなわけないじゃん! もう僕だって立派な成人だよ? そんな子供みたいに自分の誕生日を忘れるなんて──……」
僕は昨日貰ったばかりの成人の証を見せながら、必死に言い訳を並べる。
だけど母さんは、そんな僕の心を見透かしているように目を細め、怪しむようなジト目を向け始める。
そんな母さんに、僕はたじろぎながらも、
「プ、プレゼントは、あとで開けるね!」
話を逸らすように、プレゼントをテーブルの隅へ置いた。
だけどそんな僕の態度が気に食わなかったらしい。
「え〜、どうして〜? 今、開けてくれないの〜?」
母さんは、わざとらしく頬を膨らませ、
「リーウィンちゃんは、女心ってモノが全く解ってないわ!」
なんて意味の解らない文句を並べ始める。
「はぁ──」
こんなところで女心云々と言われても……。そう内心、呆れながらも僕は、軽くため息を吐き、
「はいはい、そうだね」
そんな感じで適当にあしらい、食事の前の挨拶をしようと胸の前で手を組む。
そんな僕を見た母さんは、
「えっ、ちょっと待って!? 一人で先に食べるなんてダメよ!」
焦った様子で席につき、僕、同様に胸の前で手を組み目を閉じた──。