-不法侵入と怪しい影-1P
「どこから行くの?」
僕はそそくさと家をあとにしたあと重大点に気づく。
そう行き先をなにも聞かされていない。
カルマンの前を悠々と歩いていたけど、どこに行くか解らない。
だからどこに行くのかと聞いたのに、めちゃくちゃ笑われて、
「おまえは肝心なところでダメだな」
なんてバカにされた。
「仕方ないじゃん! これも全部、カルマンが悪いんだよ!」
そう言い不貞腐れていると、
「適当なところを歩いても良いんじゃないのかしら?」
なんて、ヘレナは見当外れも甚だしいことを言い出した。
「それじゃあ本末転倒になるよ!」
僕は早く終わらせたいのに! そんな気持ちで言うものの、なぜかカルマンはそれも良いな。なんてヘレナの肩を持ち始める。
なにさ、なにさ! 二人してなにか企んでるんでしょ!
そう思いながら僕は、むくれ面でリクカルトの南の最果て、セレンディブに向かった。
まぁ、セレンディブに向かっても関係者以外は立ち入り禁止区域だから、中には入れないけど。なんとなくそこに行きたくなって勝手に行った。
どうせカルマンのことだ。勝手な行動は慎め。なんて言ってくると思ったっていう理由もあるけど。でも結果、そんなことはなくセレンディブに着いてしまった。
セレンディブに着く頃にはさすが南の最果て。という距離にある。
空はオレンジ色に染まり、日は傾いていた。
ここから家に帰る頃には……