-魂喰いじゃないけど魂喰いの討伐要請が来たらしい-9P
「じゃあ姿・形なんかの解っている部分を情報提供してくれないかしら?」
ヘレナが知る噂話でも姿・形はなにも聞かなかったという。
サンプル体と噂話が同一個体だとして、体格や特徴などが不明確な分、下見をしたところで自身らの命を守れるのか? と疑問を投げつける。
「姿・形は俺も詳しく教えられていないが、獣のような姿をしていると言う意見と、植物のような姿をしていると言う意見で分かれている」
「どうしてそんな別々の姿になったの?」
カルマンの言い分だと、アーム・ド・リーパーは二体以上存在しているとも捉えることが可能だ。
だけど、そんなことはありえない気がする。
ということは、一つはフェイクで、一つが本当? だとしても、教会関係者に嘘を言うメリットは? もしかして教会に裏切り者でも……? いや、そんなはずない。
教会には黒い噂なんて聞かない。それがなによりの証拠だ。
それに、リクカルトが誇るフォルトゥナ教会でそんなことあるわけがない。
僕は盲目な信者同様に、教会が絶対に悪になることは有り得ない。そう考え、可能性の一部を放棄した。
「知らん」
「もう! カルマンは全部知らないで済ませるんだから! もうこれなんの意味もないよ!? 時間がもったいないし、早く下見に行こうよ!」
どうせ僕が強制参加なのは覆らない。
僕はそう諦めを覚え、嫌なことは先に済ませるのが得策。と、いそいそと外へ出かける準備を始めた。
「おまえ、腹を括ると大胆になるんだな」
「うるさいな! 早く終わらせようよ!」
僕はそう言い、カルマンとヘレナに準備を進めるように促し、家をあとにした。