-フェルはもしかすると物だったのかもしれない-9P
なぜかなにもない時ほど二人は、同じタイミングに来訪してくることがなかった。
僕はそれを思い出し、もしかしてまた厄介なことを──。なんて危惧しながらカルマンをチラリと見つめた。
「ん? あぁ。今回も魂の使命こん願者の仕事を持ってきてやった」
カルマンは一瞬、なにが? そう言いたげな表情をし、そして僕の想像通りのことを口にする。
「あー。ですよね〜」
ということは、ヘレナが言っていた魂喰い関連か……。また魂の使命こん願者の成れの果てみたいなことになったら嫌だな……。
僕はそう思いながら憂いを帯びた息を小さく零した。
「なんだその溜め息は」
「どうせカルマンのことだから魂喰いが〜とかいうんでしょ?」
僕はできるならば協力したくない。そう思いながらもボソボソとやる気のない声を捻り出す。
「魂喰い? なんだそれ」
「えっ!? 違うの!? ならなに!?」
だけど魂喰いというものは存在しないらしい。今回はただの噂に過ぎないことを、ヘレナが話したかっただけらしい!
別の小さな案件かもしれない! 僕は犬の散歩とか、ちょっと魂を貸す程度で留まれば良いな〜。それか、僕が倒せるくらい弱い敵なら! なんて少しだけ希望を持つ。
このあと、魂の使命こん願者の成れの果て事件と同じようなことになるなんて知らずに──。