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-フェルはもしかすると物だったのかもしれない-8P
フェルはカジノに行く。
「じゃあなガウ!」
フェルはそう言うなり、嬉々として窓から飛びだした。
「ヘレナ、さっきも言ったけど、もう今回みたいなことはしないでよ!」
フェルがいなくなったことで平和が──訪れる訳もなく。
僕は何回目だろ……もう解んないけど、何度目かの注意をヘレナにした。
「それはリーウィンが悪いんじゃない! 私ってものがありながら、どーしてこんな性格の悪い人のところに行っちゃうのよ!」
ヘレナは僕の注意なんて聞く耳も持たず、僕が悪いの一点張り。
そしてカルマンにまで八つ当たりする始末。
因みに、僕はヘレナを所有物にしたこともされた覚えもない。だからなにいってるんだろ、って感じ。別の意味で頭を抱えてしまった。
「あー、うん……そういえばカルマンってどうして今日来る予定だったんだっけ? もしかして──」
ヘレナの相手を適当にしたあとは、僕はカルマンが来訪した理由を確認する。
カルマンとヘレナが僕の家に居合わせたのは、魂の使命こん願者の成れの果て事件があって以来初めてのこと。