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-フェルはもしかすると物だったのかもしれない-5P
「ぶへっ──」
僕がその餌食になる。
「な、なにガウか!?」
飛んできたのはフェルだった。
そして投げたのは紛れもなくヘレナ。
ヘレナはスローイングポーズの体制を取り、固まっている。
だから天地がひっくり返ってもヘレナじゃないということは有り得ない。
「もうヘレナ! フェルは物じゃないんだから投げちゃダメだよ!?」
「リーウィンが悪いのよ!?」
「人のせいにしないの! フェルだったからまだ良かったけど、これが別の誰かだったら、その誰かが怪我してたからね!」
僕は不貞腐れるヘレナを叱りつけ、今後はこんなことしないようにと強く言い聞かせる。
「ちょっと待てガウ! オレサマなら問題ないってことガウか!? オレサマを物じゃないって言う割には、物みたいな言い方するなガウ!」
だけどヘレナへの注意を聞いたフェルは、すかさず僕にツッコミを入れてきた。
「フェルは猫なんだし問題ないじゃん? クネッて体をくねらせて、怪我しないでしょ?」
「……オレサマって